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導尿と膀胱留置カテーテル

基礎看護学 / 食事・嚥下・排泄援助

解説

導尿とは、尿道口からカテーテルを膀胱内へ挿入し、人為的に尿を体外へ排出させる看護技術のことです。今回は導尿と膀胱留置カテーテルについて解説します。

尿道の解剖と男女差

導尿手技を理解するうえでまず押さえておきたいのが、尿道の解剖学的特徴です。成人男性の尿道は約16〜20cmと長く、前立腺部・膜様部・海綿体部を通るS字状の屈曲を有しています。前部尿道と後部尿道に分けられ、屈曲があるためカテーテルをそのままでは進めにくい構造です。一方、成人女性の尿道は約4〜5cmと短く、ほぼ直線的に走行しているため、挿入角度を意識せずに進めることができます。この男女差が、挿入手技や挿入長、合併症リスクの違いを生みます。

導尿の種類と適応

導尿には目的に応じていくつかの種類があります。一時的導尿(一回導尿)は、排尿困難時や検査用採尿のために一度だけカテーテルを挿入し、尿を排出後すぐに抜去する方法です。間欠的導尿は、神経因性膀胱などに対して一日数回、決まった間隔で導尿する方法で、患者自身が行うものを清潔間欠導尿(CIC)と呼びます。持続導尿は膀胱留置カテーテルを用い、バルーンを膨らませて膀胱内に固定し、持続的に尿を排出させる方法です。適応としては、尿閉、術後の尿量管理、重症患者のモニタリング、尿失禁による皮膚障害の予防、終末期ケアなどがあります。

男性のカテーテル挿入手技

男性ではS字状の屈曲を伸展させることが手技のポイントです。まず陰茎を腹壁に対して80〜90度(垂直)に牽引し、前部尿道の屈曲を直線化します。これによりカテーテルがスムーズに通過できるようになります。15〜20cm進めて抵抗を感じたら、陰茎を60度程度に倒し、後部尿道へと進めていきます。挿入長はおおむね18〜20cmで、尿の流出を確認してからさらに2〜4cm進め、バルーンを膀胱内に位置させてから膨らませます。間欠的導尿でも成人男性ではカテーテルを18〜20cm程度挿入します。挿入後の固定では、陰茎を頭側(臍方向)に向けて下腹部にテープ固定します。これは陰茎陰嚢角部での屈曲による尿道圧迫を防ぎ、尿道損傷や尿道皮膚瘻の発生を予防するためです。

女性のカテーテル挿入手技

女性では陰唇を開いて尿道口を確認し、無菌操作でカテーテルをまっすぐ挿入します。尿の流出を確認したらさらに2〜4cm進めてバルーンを膀胱内に位置させます。体内に留置される長さは尿道長4〜5cmに2〜4cmを加えたおおむね6〜9cm程度となります。バルーンが尿道内で膨らむと尿道損傷や強い疼痛を招くため、必ず膀胱内に到達したことを確認してから膨らませることが重要です。固定は大腿内側に行います。

物品と無菌操作

潤滑剤には水溶性の滅菌潤滑剤(キシロカインゼリーなど)を用います。油性潤滑剤はラテックス製カテーテルを劣化させるため使用しません。バルーンの固定には滅菌蒸留水約10mLを用います。生理食塩水は塩析・結晶化によりバルーンの収縮不良を起こすため不可です。挿入全過程で無菌操作を徹底し、尿道口の消毒は中心から外側へ向かって行います。

留置中の管理と感染予防

蓄尿バッグは必ず膀胱より低い位置に保ち、尿の逆流を防止します。**カテーテル関連尿路感染(CAUTI)**は院内感染の上位を占めるため、閉鎖式回路の維持、清潔操作、陰部洗浄、毎日の必要性評価と早期抜去が予防の要点となります。

シャワー浴時のケア

膀胱留置カテーテル挿入中でもシャワー浴は可能です。実施前には蓄尿バッグを空にすることが大切で、これは尿の重みによるカテーテルの牽引や誤抜去、尿の逆流を防ぐためです。また、固定テープは毎回位置を変えることで、同一部位への持続刺激によるテープかぶれや表皮剥離などの皮膚障害を予防できます。観察項目としては、尿量、尿性状(色・混濁・血尿の有無)、発熱、尿路感染徴候、尿道口周囲の状態などを継続的に確認します。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    成人男性の尿道の長さは約cmで、S字状の屈曲がある。

  2. 2.

    成人女性の尿道の長さは約cmで、直線的に走行している。

  3. 3.

    男性に導尿を行う際、挿入開始時は陰茎を腹壁に対して度に牽引し、前部尿道の屈曲を伸展させる。

  4. 4.

    成人男性への膀胱留置カテーテル挿入後は、陰茎陰嚢角部の圧迫による尿道損傷を防ぐため、陰茎をに向けてテープ固定する。

  5. 5.

    成人男性の間欠的導尿では、カテーテルをcm程度挿入する。

  6. 6.

    成人女性の膀胱留置カテーテルの体内留置長は、おおむねcm程度となる。

  7. 7.

    膀胱留置カテーテルのバルーン固定にはを約10mL用い、生理食塩水は結晶化するため使用しない。

  8. 8.

    導尿時の潤滑剤にはの滅菌潤滑剤を用い、油性のものはラテックスカテーテルを劣化させるため使用しない。

  9. 9.

    蓄尿バッグは尿の逆流を防ぐため、膀胱より位置に保つ。

  10. 10.

    膀胱留置カテーテル挿入中のシャワー浴前には、牽引や逆流を防ぐためを空にする。

導尿と膀胱留置カテーテル」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。