蓄尿と採尿方法
基礎看護学 / 食事・嚥下・排泄援助
解説
今回は蓄尿と採尿方法について解説します。
尿検査の意義
尿は腎臓で血液中の老廃物や水分・電解質をろ過してつくられるため、その性状を調べることで腎・尿路の異常、代謝異常、内分泌疾患などを評価できます。検査の目的によって採尿する時間帯や方法が異なり、目的に合った採尿を行わないと正しい結果が得られません。 また、排尿直後の尿は体温に近く栄養を含むため、放置すると細菌が増殖し、尿中の蛋白や成分が分解されて性状が変化します。そのため、採取した尿は速やかに検査室へ提出することが原則です。長時間の保存が必要な場合は冷暗所で管理します。
採尿方法の種類
採尿方法は目的別に大きく5種類に分けられます。それぞれの特徴と用途を理解することが国試対策の基本になります。
随時尿
時間を定めず採取する尿です。外来や健診のスクリーニング検査に用いられ、最も簡便な方法です。
早朝尿
起床直後に排泄される最初の尿で、夜間に膀胱内で濃縮されているため成分が検出されやすい特徴があります。一般尿定性検査や妊娠反応の判定に適しています。
中間尿
排尿の最初の部分を捨て、途中の尿を清潔な容器に採取する方法です。最初の尿には外尿道口周辺の常在菌が混入するため、それを避けて細菌汚染の少ない検体を得るのが目的です。主に尿細菌検査(尿培養)や尿路感染症の診断に用いられます。女性では採尿前に外陰部を前から後ろへ向かって清拭し、肛門側からの菌の混入を防ぎます。
分杯尿
1回の排尿を2杯あるいは3杯に分けて採取する方法です。初尿・中間尿・終末尿のどの部分に血液や膿が混じるかを比較することで、血尿の由来部位(尿道・膀胱・腎などの出血源)を推定できます。
24時間尿(蓄尿)
1日に排泄されたすべての尿を集める方法で、1日当たりの排泄量を定量的に評価するために行います。腎機能、蛋白尿、電解質、ホルモンの排泄量などの評価に不可欠です。 なお、無菌的な検体が必要なときには、カテーテルを用いて膀胱から直接採尿することもあります。
24時間蓄尿の手順
24時間蓄尿で最も重要なのは、開始時刻と終了時刻の尿の扱いです。開始時刻に出た最初の尿は捨てます。これは、その時点で膀胱内に貯まっていた尿が前日からの尿であり、24時間に新たに産生された尿に含まれないためです。膀胱を一度空にしてから蓄尿を開始すると考えるとわかりやすいです。 それ以降に排泄された尿はすべて専用容器に集め、開始から24時間後の最後の尿は採取して締めくくります。途中で排便があるときは、尿を便器に流してしまわないよう注意します。保存剤入りの容器を用いる場合は冷暗所で保管し、揮発や成分変化を防ぎます。
24時間蓄尿で測定する項目
24時間蓄尿は定量的な検査に用いられます。代表的なものに、1日尿量、尿蛋白定量、電解質(Na・K・Clなど)、クレアチニンクリアランス(同日の血清クレアチニンも採血して計算します)、カテコールアミン、17-KS・17-OHCS、バニリルマンデル酸(VMA)などがあります。クレアチニンクリアランスは糸球体ろ過量の指標となる重要な検査で、国試で頻出です。
検体の取り扱い
採取した尿は時間が経つと細菌増殖・蛋白分解により正確な結果が得られなくなります。採取後は速やかに検査室へ提出することが原則で、やむを得ず保存する場合は冷蔵または冷暗所で保管します。
まとめ
採尿方法は目的別に使い分けます。スクリーニングは随時尿、定性や妊娠反応は早朝尿、尿培養は中間尿、血尿の部位推定は分杯尿、定量検査は24時間蓄尿が基本です。中間尿では女性の清拭方向は前から後ろです。24時間蓄尿では開始時の尿は捨て、終了時の尿は集める点が最重要で、保管は冷暗所、提出は速やかに行います。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
外尿道口周辺の常在菌混入を避けるため、排尿開始後の最初の尿を捨ててから採取する方法をという。
- 2.
中間尿は主に尿路感染症の診断に用いられるのために採取される。
- 3.
女性が中間尿を採取する際は、外陰部をへ向かって清拭してから採尿する。
- 4.
起床直後に排泄される濃縮された尿で、一般尿定性検査や妊娠反応の判定に適した尿をという。
- 5.
血尿の出血部位を推定するために、1回の排尿を複数杯に分けて採取する方法をという。
- 6.
24時間蓄尿では、開始時刻に出た最初の尿はし、終了時刻の尿は最後に採取する。
- 7.
24時間蓄尿で測定する代表的な検査で、糸球体ろ過量の指標となるのはである。
- 8.
保存剤入りの蓄尿容器は、成分の変化を防ぐためにで保管する。
- 9.
採取した尿は放置するとが増殖して性状が変化するため、速やかに検査室へ提出する。
