鼻腔・口腔内吸引
基礎看護学 / 創傷管理・呼吸ケア
解説
鼻腔・口腔内吸引とは、鼻や口からカテーテルを挿入し、貯留した分泌物(痰や唾液など)を吸い取って取り除く援助技術のことをいいます。今回は鼻腔・口腔内吸引について解説します。
鼻腔・口腔内吸引の目的
鼻腔・口腔内吸引の主な目的は、気道確保と分泌物の除去です。自力で痰を喀出することが困難な患者では、分泌物が気道にたまることで呼吸状態の悪化や窒息のリスクが高まります。そのため、カテーテルで吸引して気道を清浄に保つ必要があります。
清潔操作と無菌操作の区別
鼻腔や口腔といった上気道には常在菌が存在しています。そのため、鼻腔・口腔内吸引は清潔操作で行います。一方で、気管内(下気道)は本来無菌の領域であるため、気管内吸引では無菌操作が必要となります。この区別は国家試験でも頻出のポイントですので、しっかり押さえておきましょう。
手技の原則
カテーテルを挿入する際には、吸引圧をかけずに挿入するのが原則です。圧をかけたまま挿入すると、粘膜を傷つけたり出血を招いたりするおそれがあります。
挿入が完了したら吸引圧をかけ、カテーテルを回転させたり前後に動かしたりしながら、満遍なく分泌物を吸引していきます。同一部位に圧をかけ続けると粘膜損傷の原因となるため避けます。引き抜く際もカテーテルを左右に回しながら引き抜くのがポイントです。
数値の基準
鼻腔・口腔内吸引では、いくつかの基準となる数値があります。
吸引時間
1回の吸引(陰圧をかけている時間)は10〜15秒以内にとどめます。長時間にわたって陰圧をかけ続けると、低酸素血症を招くほか、迷走神経反射による徐脈や血圧低下、不整脈、粘膜損傷などの合併症が起こるおそれがあります。「短く・手早く」が原則です。
吸引圧
成人の吸引圧は20kPa(約150mmHg)以下、目安としては20〜26kPa(150〜200mmHg)程度に設定します。小児ではさらに低い圧に設定する必要があります。
挿入長
成人の場合、鼻腔からの挿入長は15〜20cm程度が目安で、鼻翼から耳たぶまでの距離を参考にすると良いでしょう。
安全管理上の注意点
吸引は患者にとって苦痛を伴う処置であり、低酸素状態を招く危険があるため、実施前後には必ずSpO2やバイタルサインを確認します。必要に応じて吸引の前後に十分な酸素化を行います。
また、鼻腔の入口にあるキーゼルバッハ部位は毛細血管が豊富で出血しやすい部位ですので、無理な挿入は避ける必要があります。1回の吸引で分泌物を取り切れない場合には、患者の呼吸状態が回復するまで短い休憩を挟んでから再度実施します。
まとめ
鼻腔・口腔内吸引は気道確保と分泌物除去を目的とし、上気道に常在菌があるため清潔操作で実施します。カテーテルは吸引圧をかけずに挿入し、挿入後は回転させながら満遍なく吸引します。1回の陰圧時間は10〜15秒以内、成人の吸引圧は150mmHg程度、挿入長は15〜20cmが目安となります。長時間の吸引は低酸素血症や徐脈、粘膜損傷を招くため、短く手早く行うことが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
鼻腔・口腔内吸引の主な目的は、気道確保との除去である。
- 2.
上気道には常在菌が存在するため、鼻腔・口腔内吸引は操作で行う。
- 3.
気管内吸引は鼻腔・口腔内吸引と異なり、操作で行う。
- 4.
カテーテルを挿入する際は、粘膜損傷を防ぐため吸引圧を挿入する。
- 5.
1回の吸引(陰圧)時間は秒以内とする。
- 6.
成人の吸引圧は約mmHg以下が目安である。
- 7.
成人における鼻腔からのカテーテル挿入長はcm程度が目安である。
- 8.
長時間の吸引はを引き起こすおそれがある。
- 9.
鼻腔入口部にあり出血しやすい部位を部位という。
- 10.
吸引の前後には患者のやバイタルサインを確認する。
