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口腔内吸引の鉄則!挿入時に「吸引圧をかけない」のはなぜ?

看護師国家試験 第115午後22 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後22

成人の口腔内吸引で正しいのはどれか。

  1. 1.吸引は無菌操作で行う。
  2. 2.吸引時間は25秒以上で行う。
  3. 3.挿入時は吸引圧をかけない。
  4. 4.吸引圧は100kPaを目安とする。

対話形式の解説

博士博士
今日は口腔内吸引の正しい手技について学ぶぞ。臨床で日常的に行う技術じゃが、ポイントを外すと患者を傷つけてしまう繊細な処置なんじゃ。
サクラサクラ
吸引って、ただチューブを入れて分泌物を吸えばいいだけじゃないんですか?
博士博士
それが落とし穴じゃよ。今回の問題では「挿入時は吸引圧をかけない」が正解なんじゃが、なぜそうするのか分かるかな?
サクラサクラ
うーん…吸いながら入れた方が早く取れそうな気がしますけど…。
博士博士
実はその逆なんじゃ。陰圧をかけたままカテーテルを進めると、先端の側孔に粘膜が吸い付いてしまう。すると粘膜が引っ張られて出血したり、潰瘍ができたりするんじゃ。
サクラサクラ
あっ、掃除機の口に布が吸い付いちゃう感じですね。あれが粘膜で起きたら大変ですね…。
博士博士
その通り!だから挿入時はチューブを折り曲げるか、分岐管の指穴を開放して陰圧を逃がし、目的の深さまで届いてから初めて圧をかけて、回旋させながら引き抜くのが正しい手順じゃ。
サクラサクラ
じゃあ選択肢1の「無菌操作で行う」はどうして違うんですか?吸引って清潔そうなイメージですけど。
博士博士
ここも大事な点じゃ。口腔内はもともと常在菌だらけの不潔域。だから口腔内吸引は「清潔操作」で十分なんじゃ。一方で気管内は本来無菌の領域だから、気管内吸引は「無菌操作」でやる必要がある。この区別はよく試験に出るぞ。
サクラサクラ
なるほど!吸引する場所によって清潔レベルが違うんですね。じゃあ吸引時間や圧はどれくらいが目安ですか?
博士博士
1回の吸引は10〜15秒以内が目安じゃ。問題の「25秒以上」は論外。吸引中は酸素も一緒に吸い出されるから、長すぎると低酸素血症や徐脈、不整脈を起こす危険がある。
サクラサクラ
15秒って結構短いですね。タイマー意識しないとうっかり超えそうです。
博士博士
そうなんじゃ。ベテランナースほど時間を意識しておる。吸引圧については、成人の場合おおよそ20〜26kPa、つまり150〜200mmHg程度が目安。選択肢4の100kPaは桁が一つ違うレベルの強さで、絶対に使ってはいかんぞ。
サクラサクラ
100kPaって大気圧に近いですもんね。そんな圧をかけたら肺がつぶれちゃいそう…。
博士博士
まさにその通り。粘膜損傷だけでなく無気肺のリスクもある。だから「短く・優しく・的確に」が吸引の三原則じゃ。
サクラサクラ
吸引する前後で気をつけることもありますか?
博士博士
もちろん。実施前には患者に声をかけて説明し、SpO2やバイタルを観察。必要なら事前に酸素を高めに投与しておく。吸引後は呼吸状態を再評価し、患者の苦痛を最小限にすることが大切じゃ。
サクラサクラ
手技の手順だけじゃなく、患者さん全体を見る視点も忘れちゃいけないんですね。
博士博士
その通りじゃ。技術と観察、そして声かけ。この3つが揃って初めて「安全な吸引」になる。国試でも臨床でも、ここはしっかり押さえておこう。

POINT

成人の口腔内吸引における手技の基本(清潔操作の範囲、吸引時間、挿入時の吸引圧、適切な吸引圧の数値)を問う問題。粘膜損傷と低酸素血症を防ぐためのポイントを正確に押さえているかが鍵となる。

解答・解説

正解は3です

問題文:成人の口腔内吸引で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。口腔内吸引では、カテーテルを挿入する時点で吸引圧をかけてしまうと、咽頭粘膜や口腔粘膜を強く吸い付けて出血や損傷を引き起こす危険があります。そのため、挿入時は吸引圧を解放(折り曲げる、または分岐管の側孔を開放するなど)して陰圧をかけず、目的の深さに達してから吸引圧を作用させ、ゆっくり回旋させながら引き抜いて分泌物を取り除くのが基本手技です。これにより粘膜損傷と低酸素血症のリスクを最小限に抑えることができます。

選択肢考察

  1. ×1.  吸引は無菌操作で行う。

    口腔内は常在菌が多く存在する不潔域であるため、口腔内吸引は「清潔操作」で行うのが原則です。無菌操作(滅菌手袋・滅菌カテーテル・滅菌水の使用)が求められるのは気管内吸引や気管切開部の吸引など、本来無菌である下気道へのアプローチの場合です。口腔内吸引ではディスポーザブル手袋と単回使用カテーテル、洗浄用の水道水で対応するのが一般的です。

  2. ×2.  吸引時間は25秒以上で行う。

    吸引中は気道から空気と一緒に酸素も吸い出されるため、長時間の吸引は低酸素血症や徐脈、不整脈、頭蓋内圧亢進などを招きます。1回の吸引時間は10〜15秒以内(カテーテル挿入から抜去までを含めて15秒程度)に留めるのが標準で、25秒以上は明らかに長すぎます。分泌物が残っている場合は患者の呼吸状態を整えてから再度吸引を行います。

  3. 3.  挿入時は吸引圧をかけない。

    正解です。挿入時に陰圧がかかっていると、カテーテル先端の側孔が粘膜を吸着し、出血・浮腫・潰瘍の原因となります。挿入時はチューブを折る、または分岐管の指当て孔を開放して吸引圧を解除し、目的の部位に到達してから圧をかけ、回旋させながら引き抜くのが安全な手技です。

  4. ×4.  吸引圧は100kPaを目安とする。

    成人の口腔・気管内吸引の吸引圧は、一般に20〜26kPa(およそ150〜200mmHg、−0.02〜−0.026MPa)が目安とされます。100kPa(およそ750mmHg)は大気圧に近い極めて強い陰圧で、粘膜損傷や肺胞虚脱を起こす危険があり不適切です。施設マニュアルで具体的な数値は確認しますが、桁を意識して覚えておくことが重要です。

口腔内吸引の基本原則は「清潔操作・短時間(10〜15秒以内)・必要最小限の回数・挿入時は陰圧をかけない・適切な吸引圧」です。実施前には患者にこれから吸引することを説明し、SpO2やバイタルサインをモニターしながら行います。吸引前後で十分な酸素化を確保し、必要に応じて100%酸素投与を併用します。カテーテルのサイズは成人で12〜14Fr程度が用いられ、挿入の深さは口腔内であれば咽頭手前まで(おおむね7〜10cm程度)です。気管内吸引(無菌操作・吸引圧20〜26kPa・1回15秒以内)との手技の違いを整理して覚えておくと国試・臨床ともに役立ちます。

成人の口腔内吸引における手技の基本(清潔操作の範囲、吸引時間、挿入時の吸引圧、適切な吸引圧の数値)を問う問題。粘膜損傷と低酸素血症を防ぐためのポイントを正確に押さえているかが鍵となる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。