酸素療法とデバイス
基礎看護学 / 創傷管理・呼吸ケア
解説
酸素療法とは、低酸素血症や低酸素症の改善を目的に、空気中よりも高い濃度の酸素を吸入させる治療法です。今回は酸素療法について、デバイスの選択、酸素の特性に基づく安全管理、ボンベの取り扱いと残量計算など、看護師が確実に理解しておくべき内容を解説します。
酸素の特性と安全管理
医療用酸素は無色・無臭の気体で、それ自体は燃えませんが、他の物質の燃焼を強く助ける支燃性をもちます。したがって酸素吸入中は裸火が極めて危険であり、ライター、マッチ、たばこなどの火気を流量計やボンベから2m以内に近づけてはいけません。在宅酸素療法ではたばこの火による火災事故が多発しており、患者・家族への禁煙指導が不可欠です。電気毛布や暖房器具、ドライヤー、静電気の発生する衣類なども発火源となり得るため注意します。
医療用酸素ボンベは黒色で識別されます。窒素は灰色、亜酸化窒素は青色、二酸化炭素は緑色と色分けされており、取り違え防止のため色とラベルの確認が重要です。ボンベ内圧は充填時14.7MPa(約150kgf/cm²)です。
酸素ボンベの取り扱いと保管
高圧ガス保安法に基づく保管基準は、周囲2m以内に火気や引火性物質を置かないこと、温度40℃以下で直射日光を避けること、転倒防止のため立てて固定すること、使用時以外はバルブを閉じることです。使用にあたっては元栓を全開にしてから流量調節ハンドルを回し、流量計内の浮子で指示流量に合わせます。
残量と使用可能時間は次の式で算出します。残量(L)=ボンベ容量(L)×現在の圧力(MPa)÷14.7。使用可能時間(分)=残量(L)÷流量(L/分)。臨床では安全係数として0.8を掛け、余裕をもって交換時期を判断します。残圧が5MPa(約1/3)を切る前に早めに交換します。例えば500Lボンベで内圧5MPa、流量3L/分のときは、残量約170L、使用可能時間約57分です。同じボンベで内圧10MPa、流量3L/分のときは、残量約340L、使用可能時間約113分となります。
酸素投与デバイスの分類
酸素投与デバイスは、患者の総吸気流量を満たせるかどうかで低流量システムと高流量システムに大別されます。
低流量システムには鼻カニューレ、簡易酸素マスク(フェイスマスク)、リザーバー付きマスクが該当します。供給される酸素流量が患者の吸気流量に満たないため、不足分は周囲の空気を吸い込みます。したがって患者の1回換気量や呼吸パターンによってFiO₂が変動します。鼻カニューレは1〜6L/分で約24〜44%、簡易マスクは5〜10L/分で約40〜60%、リザーバーマスクは6〜10L/分で約60〜90%の高濃度を供給します。
高流量システムにはベンチュリーマスクとネブライザー式酸素吸入器が該当します。患者の総吸気流量を上回るガスを供給するため、1回換気量や呼吸パターンに左右されず安定したFiO₂を維持できます。
ベンチュリーマスクとダイリューター
ベンチュリーマスクはベンチュリー効果を利用した高流量システムで、24〜50%の範囲で安定した酸素濃度を供給できます。ベンチュリー効果とは、細い噴出口から高速で酸素を流すと周囲に陰圧が生じ、空気が引き込まれて混合される現象です。酸素濃度を決定する部品がダイリューターで、噴出口の口径と空気取り込み口の大きさにより混合比が決まります。ダイリューターは色分けされており、青24%、黄28%、白31%、緑35%、ピンク40%、橙50%が一般的です。指定された酸素流量を守らないと所期のFiO₂が得られない点に注意が必要です。Ⅱ型呼吸不全(COPD)患者など、CO₂ナルコーシス予防のため精密な濃度管理を要する場合に特に有用です。
まとめ
酸素療法では支燃性ガスである酸素の特性を理解し、火気から2m以上離す安全管理が基本となります。医療用酸素ボンベは黒色で内圧14.7MPaであり、残量と使用可能時間は容量と圧力から計算します。デバイスは低流量システムと高流量システムに分類され、ベンチュリーマスクはダイリューターで安定したFiO₂を供給できる代表的な高流量システムです。各デバイスの特徴と適応、ボンベの取り扱い、安全管理を一体として理解することが、安全で効果的な酸素療法の実施につながります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
酸素は他の物質の燃焼を助ける性質である性をもち、酸素吸入中は裸火を流量計やボンベからm以内に近づけてはならない。
- 2.
医療用酸素ボンベの色は色で、充填時の内圧はMPaである。
- 3.
酸素ボンベ使用時は元栓を全開にしてからを回し、流量計内の浮子で指示流量に合わせる。
- 4.
ベンチュリーマスクは効果により周囲の空気を引き込んで酸素と混合し、24〜50%の安定したFiO₂を供給するシステムである。ベンチュリーマスクで酸素濃度を決定する部品をといい、色により供給されるFiO₂が決まっている。
- 5.
鼻カニューレや簡易酸素マスクなどのシステムでは、患者の1回換気量によって吸入酸素濃度が変動し、リザーバー付きマスクは6〜10L/分で約%の高濃度酸素を供給できる。
- 6.
500Lボンベ(14.7MPaで充填)の現在の圧力計が5MPa、流量3L/分のときの使用可能時間は約分である。
- 7.
500Lボンベ(14.7MPaで充填)の内圧が10MPa、流量3L/分のときの使用可能時間は約分である。
- 8.
酸素ボンベは温度℃以下で直射日光を避け、転倒防止のため立てて保管し、COPD患者では高濃度酸素投与によりを招く危険があるためベンチュリーマスクで精密に管理する。
「酸素療法とデバイス」の過去問演習
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第115回 午前 第22問
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第107回 午前 第89問
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第105回 午前 第23問
酸素ボンベの各部の役割を整理
第104回 午後 第24問
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第104回 午前 第43問
酸素吸入中の火気厳禁を理解しよう
第103回 午前 第21問
