労働関係法(労基法・安衛法)
健康支援と社会保障制度 / 労働法規と職業衛生
解説
今回は労働関係法、なかでも看護師国家試験で問われやすい労働基準法と労働安全衛生法について解説します。看護師は夜勤や交代勤務を伴う職種であり、自分自身の働き方を守るためにも、これらの法律の基本を正確に理解しておく必要があります。
労働関係法の全体像
労働者を守る法律はいくつかに分かれており、それぞれ守備範囲が異なります。労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律、労働安全衛生法は職場の安全と健康の確保を目的とする法律、雇用機会均等法は男女の均等な機会と待遇を保障する法律、雇用保険法は失業時の給付を定める法律、労働者災害補償保険法(労災保険法)は業務上・通勤途上の傷病に対する補償を行う法律です。国家試験では「どの法律に何が規定されているか」を区別させる出題が多いため、まずこの住み分けを押さえることが重要です。
労働基準法
労働基準法は、賃金・労働時間・休憩・休日・休暇など、労働条件の最低基準を定めた法律です。これを下回る労働契約は無効となり、法定基準まで自動的に引き上げられます。
法定労働時間と休憩
労働基準法第32条では、使用者は労働者に休憩時間を除き、1週間に40時間、1日に8時間を超えて労働させてはならないと定めています。これを法定労働時間といいます。これを超えて働かせる場合には、使用者と労働者代表との間で労働基準法第36条に基づく労使協定、いわゆる36(サブロク)協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。さらに時間外労働には25%以上、深夜労働(22時から翌5時)には25%以上、休日労働には35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
休憩は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を労働時間の途中に与える必要があります。休日は毎週少なくとも1回、または4週を通じて4日以上と定められています。
年次有給休暇
年次有給休暇は、雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して10日付与されます。以後勤続年数に応じて日数が増えていきます。看護師は交代勤務であっても要件を満たせば同様に付与されます。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、労働基準法から職場の安全衛生に関する部分を独立・拡充させて1972年に制定された法律で、職場における労働者の安全と健康の確保および快適な職場環境の形成促進を目的としています。労働条件そのものを定める労基法とは目的が異なる点が国試で頻出です。
健康診断の実施義務
労働安全衛生法第66条では、事業者は労働者に対し医師による健康診断を行わなければならないと定められています。具体的には、雇入れ時健康診断、年1回以上の定期健康診断、有害業務に従事する者への特殊健康診断、深夜業など特定業務従事者健康診断などが事業者に義務づけられています。労働者に対する健康診断は労働安全衛生法に基づく代表的な規定であり、国試で問われた際には労基法ではなく労安衛法を選ぶ必要があります。
安全衛生管理体制とストレスチェック
労働安全衛生法は、総括安全衛生管理者・産業医・衛生管理者・安全管理者の選任、安全衛生委員会の設置などの安全衛生管理体制も定めています。また2015年から導入されたストレスチェック制度は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対して年1回の実施を義務づけており、メンタルヘルス不調の未然防止を目的としています。受動喫煙防止対策も同法に位置づけられています。
看護師の労働と関連法規
看護師は夜勤を含む交代勤務に従事することが多く、深夜業の割増賃金や健康診断、ストレスチェックなどの規定が実務上重要となります。労基法と労安衛法に加え、日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」も参照されますが、これは法律ではなく指針である点に注意が必要です。
まとめ
労働基準法は労働条件の最低基準を定め、1週40時間・1日8時間の法定労働時間、36協定、割増賃金、休憩、休日、年次有給休暇などを規定します。労働安全衛生法は職場の安全と健康の確保を目的とし、健康診断の実施、安全衛生管理体制、ストレスチェック制度などを定めています。国家試験では「健康診断は労働安全衛生法」「労働時間は労働基準法」というように、各法律の守備範囲を正確に区別することが攻略の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
労働基準法で定められている法定労働時間は、休憩時間を除き1週間時間である。
- 2.
労働基準法における1日の法定労働時間は時間である。
- 3.
法定労働時間を超えて時間外労働を行わせるために必要な労使協定を、労働基準法第36条にちなみ通称という。
- 4.
雇い入れの日から6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に付与される年次有給休暇の日数は日である。
- 5.
職場における労働者の安全と健康の確保および快適な職場環境の形成促進を目的とする法律はである。
- 6.
労働者に対する健康診断の実施を事業者に義務付けているのはである。
- 7.
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場に年1回の実施が義務付けられている、心理的負担の程度を把握するための検査をという。
- 8.
労働条件の最低基準を定める法律はである。
