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身体拘束の三要件と禁止行為

老年看護学 / 老年看護総論・その他

解説

今回は身体拘束の三要件と禁止行為について解説します。

身体拘束とは

身体拘束とは、患者や利用者の身体の自由を制限する行為全般を指します。ひもやベルト、抑制帯、ミトン型手袋、つなぎ服などで身体を直接動かせなくする行為に加え、ベッドを柵で囲んで自力で降りられなくする行為や、向精神薬を過剰に投与して行動を抑制する行為も含まれます。介護保険制度では平成12年(2000年)から介護保険指定基準上で身体拘束が原則禁止と定められ、翌平成13年に厚生労働省から「身体拘束ゼロへの手引き」が示されました。これが現在の高齢者ケアにおける基本指針となっています。

身体拘束が原則禁止される理由

身体拘束には深刻な弊害があるため、原則として禁止されています。身体的弊害として関節拘縮や筋力低下、褥瘡、誤嚥性肺炎などが生じます。精神的弊害として不安や屈辱感を抱かせ、認知症の悪化やせん妄を誘発します。さらに本人の尊厳を著しく傷つけ、家族にも苦痛を与えます。こうした弊害から、身体拘束は人としての尊厳を守る観点で原則禁止とされているのです。

身体拘束が許される三要件

身体拘束は原則禁止ですが、緊急やむを得ない場合に限り例外的に実施が認められます。その判断基準が身体拘束の三要件であり、3つすべてを同時に満たさない限り実施はできません。 第一は切迫性で、利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いことを意味します。第二は非代替性で、身体拘束以外に代替する介護方法がないことを意味します。第三は一時性で、身体拘束が一時的なものに限られることを意味します。 さらに、三要件を満たすかは個人で判断してはならず、医師・看護師・介護職員などによる多職種カンファレンスで組織的に検討し、本人および家族への説明と同意を得たうえで、拘束の態様・時間・心身の状況・やむを得ない理由を記録に残すことが義務づけられています。

禁止される具体的行為

厚生労働省は身体拘束として禁止される行為を11類型示しています。代表例として、徘徊防止のためにひもでベッドや椅子に縛る行為、転落防止のためにベッドを柵(サイドレール)で囲んで自力で降りられないようにする行為、点滴やチューブ類の自己抜去防止のために手足を縛る行為やミトン型手袋を装着させる行為、車椅子からのずり落ち防止のためにY字型抑制帯や腰ベルトで固定する行為、自分で脱衣できないようにつなぎ服を着せる行為、行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に投与する行為、自室から出られないように部屋に隔離する行為などが該当します。一方、センサーマットの設置や低床ベッドへの変更、見守りの強化などは身体拘束ではなく、予防的工夫として推奨されます。

まとめ

身体拘束は介護保険指定基準上で原則禁止されており、例外的に実施できるのは切迫性・非代替性・一時性の三要件すべてを満たし、多職種で組織的に検討し、本人・家族への説明と記録を残した場合に限られます。サイドレールでの囲い込み、ミトン、Y字抑制、つなぎ服、向精神薬の過剰投与などが禁止行為に該当することを正確に押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    介護保険指定基準上、身体拘束を例外的に実施できる三要件のうち、利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いことを意味する要件はである。

  2. 2.

    身体拘束の三要件のうち、身体拘束以外に代替する介護方法がないことを意味する要件はである。

  3. 3.

    身体拘束の三要件のうち、拘束が一時的なものに限られることを意味する要件はである。

  4. 4.

    厚生労働省が平成13年に示した、身体拘束の原則禁止と例外要件、禁止される具体的行為を定めた指針をという。

  5. 5.

    転落防止を目的として、自力で降りられないようにベッドを柵で囲む行為は、身体拘束としてされている。

  6. 6.

    点滴やチューブ類の自己抜去を防ぐ目的で装着させる、指の動きを制限する手袋をといい、身体拘束に該当する。

  7. 7.

    行動を落ち着かせる目的で薬剤を過剰に投与し、活動性を抑制する行為も身体拘束に該当し、特にの過剰投与が禁止対象として明記されている。

  8. 8.

    身体拘束をやむを得ず行う際には、その態様・時間・入所者の心身の状況・やむを得ない理由をすることが介護保険指定基準で義務づけられている。

  9. 9.

    身体拘束による精神的弊害として、認知症の悪化や、意識障害を伴う一過性の精神症状であるの誘発が挙げられる。

身体拘束の三要件と禁止行為」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。