人間の基本概念(欲求・発達)
基礎看護学 / 看護過程・看護理論
解説
今回は人間の基本概念のうち、欲求と発達について解説します。人間を理解するうえで、何を求めて行動するのか(欲求)と、人生のどの段階でどんな課題に取り組むのか(発達)の二つの視点は、看護の基礎となる重要な枠組みです。国家試験では特にマズローの欲求階層説とハヴィガーストの発達課題が頻出となります。
マズローの欲求階層説
マズローは人間の基本的欲求を低次から高次へ5段階に整理した心理学者です。下位の欲求が満たされると次の段階の欲求が表出するという階層構造をもつため、欲求階層説とよばれます。
最下層は生理的欲求で、食欲・睡眠欲・排泄など生命維持に直結する欲求です。次が安全の欲求で、身の安全や経済的安定、健康の維持などを求める段階です。三つ目は所属と愛の欲求で、家族や集団に受け入れられたい、人を愛し愛されたいという社会的なつながりへの欲求です。四つ目は承認(自尊)の欲求で、自分自身を価値ある存在と感じたいという自己評価と、他者から認められ尊敬されたいという二側面をもちます。最上位が自己実現の欲求で、自分のもつ可能性を最大限に発揮したいという欲求です。
国試では具体的な行動がどの段階に当たるかを判断させる問題が出ます。たとえば高齢者が趣味の作品を展覧会に発表して他者に認めてもらいたいという思いは、他者からの評価を求める点で承認(自尊)の欲求に該当します。承認の欲求と自己実現の欲求は混同しやすいため、「他者からの承認」が含まれるかどうかで区別すると整理しやすくなります。なお、マズローは後年、最上位にさらに自己超越の欲求を加えた6段階説も提唱しました。
ハヴィガーストの発達課題
ハヴィガーストはアメリカの教育心理学者で、人間の一生を乳幼児期・児童期・青年期・壮年期・中年期・老年期の6段階に分け、それぞれの段階で達成すべき課題を発達課題として提唱しました。
発達課題が生じる源泉は三つあるとされ、身体的成熟によるもの(歩行や排泄の自立など)、社会の文化的圧力によるもの(読み書きの習得や職業選択など)、個人の価値観や意欲によるものに分類されます。各段階の課題は独立しているのではなく、前段階の達成が次段階の達成を支えるという連続的・階層的な性格をもつ点が特徴です。
類似する理論としてエリクソンの心理社会的発達段階(8段階)があり、こちらは各段階を「基本的信頼対不信」などの心理的な葛藤として描きます。国試ではハヴィガーストとエリクソンを取り違えないこと、特に「段階の数」と「課題の表現の仕方」で区別することが求められます。
まとめ
マズローの欲求階層説は生理的欲求から自己実現の欲求まで5段階の階層構造をもち、承認の欲求と自己実現の欲求は他者からの承認の有無で区別します。ハヴィガーストの発達課題は人生を6段階に分け、身体的成熟・社会文化的要請・個人の価値観の三つを源泉として、前段階の達成が次に影響する連続的な構造をもちます。両理論の枠組みと段階の名称を正確に押さえることが、国試対策の基本となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
人間の基本的欲求を低次から高次へ5段階に整理した欲求階層説を提唱したのはである。
- 2.
マズローの欲求階層のうち最下層に位置し、食欲・睡眠欲・排泄など生命維持に関わる欲求をという。
- 3.
マズローの欲求階層において、家族や集団に受け入れられたい、人を愛し愛されたいという欲求をという。
- 4.
高齢者が趣味の作品を展覧会に発表して他者から認められたいと願う思いは、マズローの欲求階層ではに該当する。
- 5.
マズローの欲求階層の最上位に位置し、自分のもつ可能性を最大限に発揮したいという欲求をという。
- 6.
人間の一生を6段階に分け、各段階で達成すべき発達課題を提唱したアメリカの教育心理学者はである。
- 7.
ハヴィガーストは人間の発達課題の源泉を、身体的成熟・社会の文化的圧力・の3つに分類した。
- 8.
ハヴィガーストと並んで国試で問われる、人生を8段階に分け各段階の心理社会的葛藤を示した発達理論を提唱したのはである。
