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感染症・ウイルス治療薬

成人看護学 / 薬理学(横断的)

解説

感染症治療薬とは、細菌やウイルスなどの病原微生物に作用して感染症を治療する薬剤の総称です。今回は感染症・ウイルス治療薬について解説します。

抗微生物薬の総論

感染症治療薬は、対象となる病原体によって抗菌薬抗ウイルス薬に大別されます。抗菌薬は細菌の細胞壁合成やタンパク質合成などを阻害する薬剤で、細菌にのみ有効です。ウイルスは自身の細胞構造を持たず宿主細胞内で増殖するため、抗菌薬は無効です。抗ウイルス薬はウイルスの増殖過程(侵入・複製・放出)を阻害して効果を発揮します。投与経路は経口・点滴・外用など多様で、感染部位や重症度に応じて選択されます。

抗菌薬の適正使用と耐性菌対策

抗菌薬の不適切な使用により、薬剤に抵抗性をもつ耐性菌が選択的に増加することを**薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)といいます。代表例にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、多剤耐性緑膿菌、ESBL産生菌、CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)などがあります。これに対し、狭域スペクトラムの抗菌薬を選択し、培養結果に基づきデエスカレーション(広域から狭域へ変更)を行い、投与期間を適正化する取り組みをAntimicrobial Stewardship(AS、抗菌薬適正使用支援)**といいます。

抗菌薬投与時の看護のポイント

抗菌薬投与にあたっては、投与前に培養検体の採取が行われているかを必ず確認します。投与後では起因菌の同定が困難になるためです。血中濃度を維持するため投与時間の遵守が重要で、特にβラクタム系は時間依存性に効果が発揮されます。副作用としてアレルギー、下痢、肝・腎機能障害などをモニタリングします。患者教育では、症状が軽快しても自己判断で内服を中断しないこと、ウイルス性感冒には抗菌薬は無効であることを伝えます。

ウイルス性肝炎の治療

**C型慢性肝炎(HCV)は放置すると肝硬変・肝細胞癌へ進展します。従来はインターフェロン(IFN)とリバビリンの併用療法が主流で、ウイルス増殖抑制と免疫応答調節を行いました。インターフェロンの副作用には発熱、倦怠感、インフルエンザ様症状、うつ症状、甲状腺機能異常、間質性肺炎があります。近年はDAA(直接作用型抗ウイルス薬)**による経口治療が標準となり、ソホスブビル、レジパスビル、グレカプレビル、ピブレンタスビル等で治癒率95%以上が得られています。なお国試の必修ではC型肝炎=インターフェロンと押さえます。**B型肝炎(HBV)**にはエンテカビル、テノホビルなどの核酸アナログやインターフェロンが用いられます。

その他の抗ウイルス薬

抗インフルエンザ薬にはノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラニナミビル)と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(バロキサビル)があります。抗ヘルペス薬ではアシクロビル、バラシクロビルがHSV・VZVに、ガンシクロビルがCMVに用いられます。HIV治療では**ART(多剤併用療法)**が標準で、NRTI、NNRTI、PI、INSTI、CCR5阻害薬を組み合わせます。

まとめ

抗菌薬は細菌のみに有効で、ウイルス性感冒には効きません。耐性菌の出現を防ぐためAMR対策とAS(抗菌薬適正使用)が重要であり、看護師は培養採取の確認、投与時間の遵守、患者教育を担います。C型肝炎ではインターフェロンからDAAへと治療が進化し、その他ウイルス感染症にも病原体に応じた抗ウイルス薬が用いられます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    抗菌薬はにのみ有効であり、ウイルスには無効である。

  2. 2.

    抗菌薬の不適切な使用により耐性菌が選択的に増加することを(AMR)という。

  3. 3.

    狭域スペクトラム選択や培養結果に基づくデエスカレーションなど、抗菌薬の適正使用を推進する取り組みを(AS)という。

  4. 4.

    抗菌薬投与前には起因菌同定のため検体の採取が行われているかを確認する。

  5. 5.

    C型慢性肝炎の従来の治療はとリバビリンの併用療法であった。

  6. 6.

    近年のC型慢性肝炎治療では経口で治癒率95%以上が得られる(直接作用型抗ウイルス薬)が標準となっている。

  7. 7.

    インターフェロンの副作用には発熱、倦怠感、インフルエンザ様症状、、甲状腺機能異常などがある。

  8. 8.

    B型肝炎治療には核酸アナログであるやテノホビルが用いられる。

  9. 9.

    抗インフルエンザ薬のオセルタミビルやザナミビルは阻害薬に分類される。

  10. 10.

    HIV感染症の治療では多剤併用療法であるが標準治療として行われる。

感染症・ウイルス治療薬」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。