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看護師の業務と法的責任

健康支援と社会保障制度 / 看護師関連法規

解説

今回は看護師の業務と法的責任について解説します。看護師は国家資格を持つ専門職で、業務範囲と責任は法律で定められています。国試では根拠法名や条文番号までセットで問われやすい分野です。

看護師の業務を定める法律

看護師の業務は保健師助産師看護師法(保助看法)で規定されています。保助看法第5条は、看護師を「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定義しています。じょく婦とは分娩後の女性のことで、看護師の業務対象には傷病者だけでなくじょく婦も含まれる点に注意が必要です。

療養上の世話

療養上の世話とは、食事・排泄・清潔・移動など患者の日常生活を援助する行為で、看護師が自律的判断で実施できる固有業務です。原則として医師の指示は必要ありません。

診療の補助

診療の補助とは、注射・採血・処置の介助など、本来は医師が行うべき医行為の一部を補助する行為で、医師の指示を必要とします。処方の決定、検査オーダーの最終決定、診断の確定などは医師の独占業務であり、看護師は行えません。

看護師の法的責任

看護師が医療事故で患者に損害を与えた場合の法的責任は民事責任・刑事責任・行政責任の3つに整理され、同時に問われることもあります。

民事責任

民事責任は、患者や家族に対して損害賠償という形で金銭的に償う責任です。根拠は民法第709条の不法行為責任で、過失によって損害を与えた場合に賠償義務が生じます。さらに民法第715条の使用者責任により、雇用主である病院も連帯責任を負うことがあります。目的は被害者の救済であり、刑罰ではありません。

刑事責任

刑事責任は、犯罪行為に対して国家が刑罰を科す責任です。医療事故で問題となる代表的な罪名は業務上過失致死傷罪で、根拠は刑法第211条です。業務上必要な注意を怠り人を死傷させた場合に成立し、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されます。刑事責任は個人責任が原則です。

行政責任

行政責任は、看護師資格に対して厚生労働大臣が行う処分です。根拠は保助看法第14条で、罰金以上の刑に処せられた者などに対し、戒告・3年以内の業務停止・免許取消しの3種類の処分が定められています。資格に対する処分であり、刑罰とは別物です。

守秘義務

看護師には業務上知り得た患者の秘密を漏らしてはならない守秘義務があり、保助看法第42条の2に規定されています。違反すると6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科され、退職後も継続する点に注意しましょう。

まとめ

看護師の業務は保助看法第5条で療養上の世話と診療の補助の2つに定められ、前者は看護師の固有業務、後者は医師の指示を要する業務です。医療事故時の法的責任は民事責任(民法709条)、刑事責任(刑法211条・業務上過失致死傷罪)、行政責任(保助看法14条)の3つに分けられます。守秘義務(保助看法42条の2)もあわせて条文番号で覚えましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    看護師の業務範囲を定めている法律はである。

  2. 2.

    保助看法第5条では、看護師の業務を傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話とと定義している。

  3. 3.

    看護師が自律的判断で実施でき、医師の指示を必要としない看護師固有の業務をという。

  4. 4.

    診療の補助行為を行うには原則としてが必要である。

  5. 5.

    看護師が医療事故を起こした際に問われる法的責任は、民事責任・刑事責任・の3つに大別される。

  6. 6.

    医療事故により患者に損害を与えた場合の損害賠償責任は、民法第条の不法行為責任を根拠とする。

  7. 7.

    看護師が医療事故で問われる代表的な刑事責任の罪名は、刑法第211条のである。

  8. 8.

    看護師に対する行政処分は保助看法第14条に規定されており、戒告・3年以内の業務停止・の3種類がある。

  9. 9.

    看護師が業務上知り得た患者の秘密を漏らしてはならないという義務をといい、退職後も継続する。

看護師の業務と法的責任」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。