育児・介護休業法
健康支援と社会保障制度 / 労働法規と職業衛生
解説
今回は育児・介護休業法について解説します。育児・介護休業法は正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、子の養育や家族の介護を行う労働者が、仕事と家庭を両立しながら働き続けられるよう支援することを目的とした法律です。労働者の福祉の増進と、経済・社会の発展を図ることを基本理念としており、国家試験では他の労働関連法(労働基準法、男女雇用機会均等法など)との区別と、各制度の具体的な内容を問う問題が頻出します。
育児・介護休業法と母性保護関連法との違い
働く女性や子育て・介護を担う労働者を守る法律にはいくつかの種類があり、それぞれ目的と所管する制度が異なります。労働基準法は妊産婦の保護を目的としており、産前6週間・産後8週間の産前産後休業、妊産婦の時間外労働や深夜業の制限、危険有害業務の就業制限、生後1年未満の児を育てる女性の育児時間(1日2回それぞれ少なくとも30分)などを定めています。男女雇用機会均等法は雇用における男女の均等な機会と待遇の確保、母性健康管理措置(妊婦健診の時間確保など)を規定しています。
これらに対して育児・介護休業法は、性別を問わず、仕事と育児・介護の両立支援を行うための法律です。妊産婦の身体保護そのものではなく、子どもの養育や家族の介護を担う労働者が休業や勤務時間の調整を行えるようにし、職業生活と家庭生活を両立できるよう企業に義務付けている点が特徴です。「母性保護なら労働基準法、両立支援なら育児・介護休業法」と整理して覚えることが、国試対策の出発点になります。
育児休業
育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育する労働者が、事業主に申し出ることで取得できる休業制度です。父母ともに取得することができ、男女を問わず適用されます。保育所に入所できないなど特別な事情がある場合には、子が1歳6か月まで、さらに必要があれば2歳まで延長することが可能です。父母双方が育児休業を取得する場合に休業期間を延長できる「パパ・ママ育休プラス」の仕組みもあります。
近年は男性の育児参加を促進するため、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、2回までの分割取得や休業中の就業も一定範囲で認められるようになりました。育児休業期間中は所得保障として雇用保険から育児休業給付金が支給され、原則として休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、それ以降は50%が給付されます。
子の看護休暇と所定外労働などの制限
小学校就学前の子を養育する労働者は、病気・けがをした子の世話、予防接種・健康診断を受けさせる目的で、子の看護休暇を年に5日(対象となる子が2人以上の場合は年10日)取得できます。1日単位だけでなく時間単位での取得も可能です。
育児・介護休業法は、子育て中の労働者が過重な勤務にならないよう、勤務時間に関する複数の制限措置を定めています。3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超える労働(所定外労働の制限、いわゆる残業の免除)を行わせてはならないとされています。小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合は、1か月24時間・1年150時間を超える時間外労働をさせてはならず(時間外労働の制限)、また深夜業(午後10時から午前5時まで)の制限も適用されます。
所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)
育児・介護休業法において事業主の義務として特に重要なのが、3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合の所定労働時間の短縮措置です。事業主は短時間勤務制度(原則として1日6時間)を設けることが義務付けられており、対象労働者が申し出れば適用しなければなりません。在宅勤務やフレックスタイム制などの代替措置だけで済ませることはできず、まず短時間勤務制度の設定が原則となります。
介護休業と介護休暇
介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために取得できる休業制度です。要介護状態とは、負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態を指し、介護保険制度の要介護認定とは独立した概念です。
対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで取得でき、3回を上限に分割して取得することができます。介護休業中は雇用保険から介護休業給付金として休業開始時賃金日額の**67%**が支給されます。
これとは別に、要介護状態にある対象家族の介護や通院の付き添いなどのために、年に5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)取得できる介護休暇もあります。こちらも時間単位での取得が可能です。さらに介護を行う労働者についても、所定外労働の制限、時間外労働の制限(1か月24時間・1年150時間以内)、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置が定められています。
まとめ
育児・介護休業法は、性別を問わず子育てや家族介護を行う労働者の仕事と家庭の両立を支援する法律で、母性保護を目的とする労働基準法とは区別されます。育児に関しては原則1歳(最長2歳)までの育児休業、小学校就学前の子の看護休暇、3歳未満の子を養育する労働者への所定外労働の制限と短時間勤務制度、小学校就学前の子を養育する労働者への時間外労働の制限(月24時間・年150時間以内)と深夜業の制限が中心です。介護に関しては、対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可能な介護休業、年5日の介護休暇、対象家族の範囲などが頻出ポイントとなります。どの制度がどの法律で定められているか、対象となる子・家族の範囲、日数や時間の数値を正確に押さえることが、国試対策の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」は通称と呼ばれ、仕事と育児・介護の両立支援を目的としている。
- 2.
産前産後休業や妊産婦の時間外労働の制限など、母性保護に関する規定はに定められている。
- 3.
育児休業は原則として子が歳に達するまで取得でき、保育所に入所できない等の事情がある場合には最長2歳まで延長できる。
- 4.
育児・介護休業法において、3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合に事業主が措置を講じることを義務付けられているのは、原則1日6時間の制度である。
- 5.
小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合、事業主は1か月24時間、1年時間を超える時間外労働をさせてはならない。
- 6.
小学校就学前の子の病気やけが、予防接種等のために年5日(子が2人以上で年10日)まで取得できる休暇をという。
- 7.
介護休業は、対象家族1人につき通算日まで、3回を上限に分割して取得することができる。
- 8.
介護休業の対象となる「要介護状態」とは、負傷・疾病等により週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいう。
- 9.
介護休業の対象家族には、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれる。
- 10.
子の出生後8週間以内に4週間まで取得でき、男性の育児参加を促進するために創設された制度をという。
