母子保健法と母子保健事業
健康支援と社会保障制度 / 母子保健・学校保健
解説
今回は母子保健法と母子保健事業について解説します。
母子保健法とは
母子保健法とは、昭和40年(1965年)に制定された法律で、母性ならびに乳児および幼児の健康の保持・増進を図ることを目的としています。対象は、母性(妊産婦を含む)、乳児(生後1年未満)、幼児(満1歳から小学校就学前)です。保健指導、健康診査、医療などを総合的に進めるための法的根拠となっています。 母子保健事業は住民にとって身近で日常的なサービスであるため、原則として市町村が実施主体となります。妊娠届の受理、母子健康手帳の交付、乳幼児健康診査、新生児訪問、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)などはすべて市町村が担います。一方、小児慢性特定疾病医療費助成のように専門性や財政負担が大きい医療費助成は児童福祉法に基づき都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市が実施主体となり、市町村業務との区別が国試で問われます。
妊娠届と母子健康手帳
妊娠した者は、速やかに妊娠の届出を市町村長に提出する義務があります。届出を受けた市町村は、母子保健法第16条に基づき母子健康手帳を交付します。母子健康手帳は、妊娠・出産・産後の経過、乳幼児期の発育・発達、予防接種歴などを継続的に記録する重要な書類で、妊婦健診や乳幼児健診の際にも活用されます。
乳幼児健康診査
乳幼児健康診査は母子保健法第12条・第13条に規定されており、市町村に実施が義務づけられています。第12条で定められた集団健診として、1歳6か月児健康診査(満1歳6か月から満2歳未満)と3歳児健康診査(満3歳から満4歳未満)の2つがあります。1歳6か月児健診では運動発達、言語発達、栄養状態、う蝕予防などを確認します。3歳児健診では身体発育や精神発達に加え、視覚・聴覚の異常、発達障害のスクリーニングが重視されます。
未熟児への支援と低出生体重児の届出
出生時の体重が2,500グラム未満の児を低出生体重児といいます。母子保健法第18条により、低出生体重児が出生したときは、保護者は速やかに市町村へ届け出る義務があります。また、養育のため病院または診療所に入院する必要のある未熟児に対しては、第20条に基づき未熟児養育医療(医療費の公費負担)が市町村から給付されます。
こども家庭センター
2017年の改正で、市町村は子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)の設置に努めることとされました。さらに2024年4月からは、母子保健機能と児童福祉機能を一体化したこども家庭センターの設置が市町村の努力義務となり、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援が強化されています。
まとめ
母子保健法は母性と乳幼児の健康保持・増進を目的とし、妊娠届の受理、母子健康手帳の交付、1歳6か月児・3歳児健診、未熟児養育医療、低出生体重児の届出など、住民に身近な事業を市町村が実施します。小児慢性特定疾病医療費助成のような医療費助成は都道府県等が担う点が市町村業務との重要な対比です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
母性ならびに乳児および幼児の健康の保持と増進を目的として昭和40年に制定された法律をという。
- 2.
妊娠した者は速やかにに妊娠の届出を行わなければならない。
- 3.
妊娠の届出をした者に対して市町村が交付する、妊娠・出産・乳幼児期の健康記録を継続して記載する手帳をという。
- 4.
母子保健法に基づき市町村が実施する乳幼児健康診査のうち、満1歳6か月から満2歳未満の児を対象とするものをという。
- 5.
母子保健法に基づき市町村が実施する乳幼児健康診査のうち、満3歳から満4歳未満の児を対象とし、視覚・聴覚異常や発達障害のスクリーニングも行うものをという。
- 6.
出生時の体重がグラム未満の児を低出生体重児といい、保護者は速やかに市町村へ届け出なければならない。
- 7.
養育のため病院または診療所に入院する必要のある未熟児に対し、市町村が医療費を公費負担する制度をという。
- 8.
母子保健法および児童福祉法の改正により、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を提供するため、母子保健機能と児童福祉機能を一体化させた機関として市町村に設置が努力義務化されたものをという。
- 9.
小児慢性特定疾病医療費助成は児童福祉法に基づく制度であり、その実施主体は市町村ではなく・指定都市・中核市・児童相談所設置市である。
