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有訴者率と通院者率

健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計

解説

有訴者率と通院者率とは、国民の自覚症状や医療機関への受療状況を示す指標で、いずれも国民生活基礎調査から得られる代表的な健康指標です。今回は有訴者率と通院者率について解説します。

国民生活基礎調査の概要

国民生活基礎調査は、厚生労働省が毎年実施している国の基幹統計調査です。3年ごとに大規模調査を行い、その間の年は簡易調査として実施されます。調査票は世帯票、所得票、健康票、介護票などから構成され、国民の生活実態を多面的に把握しています。健康票では自覚症状や通院状況、健診の受診状況などが調査されており、有訴者率や通院者率はここから算出される重要な指標です。これらの結果は、医療や介護、福祉に関する施策立案の基礎資料として広く活用されています。

有訴者と有訴者率

有訴者とは、世帯員のうち病気やけがなどで自覚症状のある者をいいます。入院中の人は分子には含めませんが、分母である世帯人員には入院者を含む点に注意が必要です。有訴者率は人口千人当たりの有訴者数(人口千対)で表されます。

平成25年(2013年)の総数では約312.4(人口千対)で、およそ3人に1人が何らかの自覚症状を訴えている計算になります。性別では女性のほうが男性より高く、加齢に伴って上昇する傾向があります。

自覚症状の男女別順位

長期的な傾向として、男性の1位は腰痛、2位は肩こりで、3位以降は鼻がつまる・鼻汁が出る、せき・たん、頻尿などが続きます。女性の1位は肩こり、2位は腰痛、3位は手足の関節が痛む、続いて頭痛や目のかすみなどが多くみられます。なお、令和4年(2022年)の大規模調査では女性の1位が腰痛となり、男女ともに腰痛が1位となるなど、年度により順位の変動がみられます。いずれにしても筋骨格系の愁訴が上位を占めることが特徴です。

通院者と通院者率

通院者とは、病気やけがで病院・診療所に通っている者のほか、あんま・はり・きゅう・柔道整復師などの医療類似行為を受けるために通っている者も含みます。ただし入院者は除きます。人口千人当たりの通院者数を通院者率といい、人口千対で示されます。

通院者率の水準は総数で約400前後(人口千対)で、男性が約372、女性が約406と、女性のほうがやや高い傾向にあります。年齢が上がるにつれて急激に上昇し、高齢者ではほとんどの人が何らかの傷病で通院していることが分かります。

傷病別通院者率の第1位

傷病別の通院者率では、男女ともに高血圧症が第1位を長年占めています。日本における高血圧有病者は約4,300万人と推計され、脳血管疾患や心疾患の最大の危険因子とされています。高血圧症は自覚症状に乏しく、長期にわたる通院・服薬・生活指導が必要となるため、通院者率を押し上げる大きな要因となっています。第1位が長く高血圧症であることは、生活習慣病が国民の健康に及ぼす社会的影響の大きさを示しています。

男女別に多い傷病

男性では高血圧症に続いて糖尿病が比較的多く、代謝性疾患や生活習慣病の影響が顕著です。女性では腰痛症や眼の病気が多く、筋骨格系の不調や加齢に伴う変化を反映しています。脂質異常症も男女ともに上位に挙がります。

看護への示唆

有訴者率と通院者率の傾向から、看護では生活習慣病の予防と管理、特に高血圧症の継続的な服薬・生活指導の支援が重要となります。また、腰痛や肩こりなどの整形外科的愁訴は労働や日常生活動作と密接に関係するため、健康教育や姿勢指導も看護の重要な役割です。

まとめ

有訴者率と通院者率は国民生活基礎調査によって明らかにされる健康指標で、いずれも人口千対で表されます。有訴者率は約312(平成25年)、通院者率は約400前後で、女性のほうがやや高くなっています。自覚症状は男性で腰痛、女性で肩こりが上位、傷病別通院者率は男女とも高血圧症が第1位であることを押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    国民生活基礎調査はが毎年実施しており、年ごとに大規模調査が行われる国の基幹統計である。

  2. 2.

    有訴者率とは、人口人当たりの有訴者数で表される指標である。平成25年の総数は約(人口千対)で、およそ3人に1人が自覚症状を訴えている。

  3. 3.

    通院者率の分子・分母には者は含めない。一方、医療機関のほかに、あんま・はり・きゅう・等への通院も通院者に含まれる。

  4. 4.

    自覚症状の男女別順位(長期傾向)では、男性の1位は、女性の1位はである。

  5. 5.

    傷病別通院者率の第1位は、男女ともにである。日本での有病者は約人と推計され、脳血管疾患や心疾患の最大の危険因子となっている。

  6. 6.

    通院者率の水準は総数で約前後(人口千対)で、のほうが男性よりやや高い。

  7. 7.

    男性に比較的多い傷病としてが挙げられ、生活習慣や代謝の影響を反映している。

有訴者率と通院者率」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。