壮年期と成人期の特徴
成人看護学 / 成人看護総論・その他
解説
壮年期と成人期とは、人間の生涯発達のなかで身体的成熟が完成し、社会的役割が最も大きくなる時期を指します。今回は成人期の発達段階区分と、壮年期にみられる身体的・心理的・社会的特徴について解説します。
成人期の発達段階区分
成人期は、青年期・壮年期・向老期に区分されます。青年期はおおむね15〜30歳前後で、身体的成熟が完成し、自己同一性の確立が課題となる時期です。壮年期は30〜60歳前後を指し、狭義には40〜64歳と区分されることもあります。向老期は60歳代後半以降で、老年期への移行期にあたります。区分の年齢はあくまで目安であり、個人差が大きい点に留意します。
壮年期の身体的特徴
基礎代謝と筋骨格系の変化
基礎代謝量は青年期にピークを迎え、その後年齢とともに低下します。男性では15〜17歳、女性では12〜14歳が基礎代謝量のピークとされ、壮年期に入ると徐々に減少していきます。同じ食事量を続けると体脂肪が蓄積しやすく、肥満につながります。骨量は20歳代でピークに達し、その後緩やかに減少します。筋肉量も加齢とともに低下し、活動量が少ない場合はサルコペニアの素地が形成されます。
感覚機能の変化
視機能の老化は40歳代から顕在化します。水晶体の弾力性が低下することで近くの物が見えにくくなる老視が代表的な変化です。さらに明暗順応の低下、調節力の低下、コントラスト感度の低下も生じ、夜間運転時の見えにくさにつながります。聴力は高音域から低下し、加齢性の聴力低下が始まります。
更年期の変化
女性では45〜55歳ごろに更年期を迎え、卵巣機能の低下によりエストロゲンが急激に減少します。これによりほてり、発汗、不眠、抑うつなどの更年期症状が生じます。エストロゲン低下は骨量減少や脂質代謝異常にも関与し、骨粗鬆症や脂質異常症のリスクを高めます。男性でも加齢に伴いテストステロンが緩やかに低下し、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)として倦怠感や性機能低下、意欲低下などを呈することがあります。
壮年期の心理社会的特徴
エリクソンの発達課題
エリクソンの発達理論では、壮年期の発達課題は生殖性対停滞とされます。生殖性とは、次世代を育成し、職業や社会的活動を通じて後進に貢献する姿勢を意味します。この課題を達成できない場合は停滞に陥り、自己中心性や無関心が強まるとされます。
社会的役割と心理的負担
壮年期は職業上の責任が増し、管理職や指導的立場を担う時期です。同時に、思春期の子の養育と高齢の親の介護を同時に担うサンドイッチ世代として、心理的・経済的負担が重なります。役割葛藤やストレスから抑うつ、心身症が生じやすくなります。
壮年期と健康課題
壮年期では生活習慣病の発症が増加します。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などが顕在化し、動脈硬化を介して脳血管疾患や虚血性心疾患の基盤となります。これを早期発見・予防するため、40〜74歳を対象に特定健康診査・特定保健指導が実施されています。メタボリックシンドロームに着目し、保健指導により生活習慣の改善を図ることが重要です。看護では身体変化の受容を支援し、健康行動を継続できるよう関わることが求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
基礎代謝量は( )期にピークを迎え、その後年齢とともに低下する。
- 2.
壮年期の発達課題はエリクソンによると( )対停滞である。
- 3.
水晶体の弾力性低下により40歳代から生じる近見障害を( )という。
- 4.
壮年期の視機能変化のうち、夜間運転時の危険性増加に関与するのは( )の低下である。
- 5.
女性の更年期では卵巣機能低下により( )が急激に減少する。
- 6.
男性の加齢に伴うテストステロン低下による症候群を( )症候群という。
- 7.
特定健康診査・特定保健指導の対象年齢は( )〜74歳である。
- 8.
壮年期に子の養育と親の介護を同時に担う世代を( )世代という。
- 9.
加齢に伴う聴力低下は( )音域から始まる。
