StudyNurse

壮年期は『下がる』がキーワード!加齢で変わる身体機能を整理しよう

看護師国家試験 第115午後8 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午後8

壮年期の身体的変化はどれか。

  1. 1.残気量の減少
  2. 2.柔軟性の向上
  3. 3.基礎代謝の低下
  4. 4.視機能の調節力の向上

対話形式の解説

博士博士
今日は壮年期の身体的変化について勉強しよう。問題は『壮年期の身体的変化はどれか』だ。選択肢は、残気量の減少、柔軟性の向上、基礎代謝の低下、視機能の調節力の向上の4つだよ。
サクラサクラ
壮年期って、何歳くらいの時期ですか?
博士博士
いい質問だね。明確な定義は文献によって少し違うけれど、一般的には30歳代後半から60歳代前半くらいを指すよ。働き盛りで社会的にも責任が増える時期だ。
サクラサクラ
ちょうど親世代のイメージですね。じゃあ選択肢を見てみますね。うーん、『柔軟性の向上』はトレーニングすれば上がりそうな気がするけど…
博士博士
個人差はあるけれど、加齢全体の傾向としては柔軟性は低下していくんだ。靱帯や腱を作るコラーゲン線維が硬くなって、関節包も伸びにくくなる。だから40歳を過ぎると、急に体が固くなったと感じる人が多いんだよ。
サクラサクラ
なるほど。じゃあ『残気量の減少』はどうですか?呼吸機能が落ちるって聞いたことがあって、それなら肺に残る空気も減りそう…
博士博士
ここはひっかけポイントだね。実は加齢では残気量は『増加』するんだ。肺の弾性収縮力が落ちて、息を吐ききっても空気が肺の中に残りやすくなる。逆に肺活量は減るから、深く息を吸って吐く能力は低下するんだよ。
サクラサクラ
えっ、減るんじゃなくて増えるんですか!意外です。
博士博士
じゃあ『視機能の調節力の向上』はどう思う?
サクラサクラ
これは…老眼って言葉を聞くから、調節力は下がるんじゃないですか?
博士博士
その通り。水晶体が加齢で硬くなって、近くにピントを合わせる調節力が低下する。これが老視、いわゆる老眼だ。40歳代から自覚されることが多いね。
サクラサクラ
ということは残るのは『基礎代謝の低下』ですね。これが正解!
博士博士
正解だよ。基礎代謝は安静にしていても消費するエネルギーで、骨格筋量に大きく依存している。加齢で筋肉量が減るから、基礎代謝も下がっていく。だから若い頃と同じ量を食べていると太りやすくなるんだ。
サクラサクラ
壮年期にメタボリックシンドロームが増えるのはそういう理由なんですね。
博士博士
その通り。さらに国試で大事なのは、知能の変化との対比だ。流動性知能(新しい問題を処理する力)は加齢で低下するけれど、結晶性知能(経験や学習で蓄積した知識)は維持される、あるいは向上する。身体機能は『下がる』けど、人生経験は『積み上がる』と覚えておくといいよ。
サクラサクラ
覚え方がイメージしやすいです!

POINT

壮年期に起こる加齢に伴う身体的変化を正しく理解しているかを問う問題で、代謝・呼吸・運動機能・視機能それぞれの加齢変化の方向(増加か低下か)を整理できているかがポイントです。

解答・解説

正解は3です

問題文:壮年期の身体的変化はどれか。

解説:正解は3の「基礎代謝の低下」です。壮年期は一般に30歳代後半から60歳代前半までを指す時期で、加齢に伴う身体機能の変化が徐々に顕在化してくる年代です。基礎代謝量は身体が生命維持のために安静時に消費するエネルギー量を指し、おおむね10歳代後半をピークに加齢とともに低下していきます。低下の主な要因は、加齢に伴う除脂肪体重(特に骨格筋量)の減少です。筋肉は安静時にもエネルギーを多く消費する代謝活性の高い組織であるため、筋肉量の減少はそのまま基礎代謝の低下に直結します。さらに、ホルモン分泌の変化(成長ホルモンや性ホルモンの低下)や活動量の減少も基礎代謝低下に拍車をかけます。壮年期に同じ食事量を続けていると太りやすくなり、メタボリックシンドロームや生活習慣病のリスクが高まるのはこのためです。

選択肢考察

  1. ×1.  残気量の減少

    誤りです。残気量とは最大呼出後に肺内に残る空気の量で、加齢に伴って肺の弾性収縮力が低下し、終末細気管支が早期に閉塞しやすくなるため、残気量はむしろ増加します。同時に肺活量は低下し、機能的残気量も増加するのが加齢変化の特徴です。

  2. ×2.  柔軟性の向上

    誤りです。加齢とともに関節周囲の結合組織のコラーゲン架橋形成が進み、靱帯や腱、関節包の弾性が低下します。さらに筋肉量と水分量の減少により、柔軟性(関節可動域)は低下していきます。壮年期以降、肩や腰の動きづらさを感じやすくなるのはこのためです。

  3. 3.  基礎代謝の低下

    正解です。加齢に伴い骨格筋量が減少することで基礎代謝量は低下します。男性では18歳前後、女性でも10歳代後半に基礎代謝量のピークを迎え、以降は徐々に減少していきます。壮年期にはこの低下が顕在化し、体重管理や生活習慣病予防が重要な課題となります。

  4. ×4.  視機能の調節力の向上

    誤りです。水晶体は加齢により弾力性を失い、近くにピントを合わせる調節力が低下します。一般に40歳代から老視(老眼)が自覚されるようになり、新聞や手元の文字が見づらくなります。壮年期の代表的な身体変化の一つで、調節力は低下するため誤りです。

壮年期(おおむね30〜60歳代前半)の身体的変化は「下がる・低下する」がキーワードです。基礎代謝低下、筋力低下、骨密度低下(特に女性は閉経後に急減)、柔軟性低下、視力の調節力低下(老視)、聴力低下(高音域から)、肺活量低下、皮膚の弾力低下などが代表的です。一方で、結晶性知能(経験に基づく知識・判断力)はむしろ向上または維持される点も国試で頻出です。臨床では生活習慣病、メタボリックシンドローム、更年期障害などへの対応が中心となります。

壮年期に起こる加齢に伴う身体的変化を正しく理解しているかを問う問題で、代謝・呼吸・運動機能・視機能それぞれの加齢変化の方向(増加か低下か)を整理できているかがポイントです。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。