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糖尿病合併症のアセスメント

成人看護学 / 内分泌・代謝

解説

糖尿病合併症とは、慢性的な高血糖が血管・神経・臓器を障害して引き起こす多彩な病態の総称です。今回は糖尿病合併症のアセスメントについて、看護学生が国家試験に対応できるよう基礎から解説します。

糖尿病合併症の全体像

糖尿病の合併症は、発症の経過から急性合併症と慢性合併症に大別されます。急性合併症には糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、低血糖が含まれ、いずれも意識障害や生命の危険を伴うため迅速な対応を要します。一方、慢性合併症は数年から十数年かけて進行し、細小血管症と大血管症に分けられます。慢性高血糖により全身の血管内皮が障害されることが共通の機序であり、HbA1cを指標とした血糖コントロールが合併症予防の基本となります。

三大細小血管合併症(しめじ)

細小血管症は糖尿病に特徴的な合併症で、神経障害・網膜症・腎症の三つを覚え方として「しめじ」と表現します。発症する順番もおおむねこの順で、神経障害が最も早期に出現します。

神経障害(し)

糖尿病性神経障害は両側下肢遠位部から始まる左右対称性の感覚障害が典型で、足のしびれ・痛み・感覚低下を訴えます。自律神経も障害され、起立性低血圧、胃排出遅延、便秘や下痢、勃起障害などが出現します。感覚低下により足の傷に気付きにくく、糖尿病足病変や壊疽の重大なリスクとなります。診断にはアキレス腱反射の低下、振動覚(C128音叉)、モノフィラメント検査が用いられ、毎日のフットケアによる早期発見が重要です。

網膜症(め)

糖尿病網膜症は網膜の細小血管が障害される疾患で、単純網膜症から増殖前網膜症、そして増殖網膜症へと進行します。増殖網膜症では新生血管の破綻により硝子体出血や網膜剥離を起こし、成人の失明原因として上位を占めます。自覚症状が乏しいまま進行するため、定期的な眼底検査が不可欠です。

腎症(じ)

糖尿病性腎症は糸球体硬化を背景に進行し、病期分類では第1期(腎症前期)、第2期(早期腎症期:微量アルブミン尿)、第3期(顕性腎症期:持続性蛋白尿)、第4期(腎不全期)、第5期(透析療法期)と段階的に進みます。わが国の透析導入原因疾患の第1位を占め、進行抑制には血糖・血圧管理に加え食事療法が要となります。

大血管症(えのき)

大血管症は動脈硬化が基盤となり、糖尿病で進行が加速されます。覚え方は「えのき」で、**壊疽(え)・脳卒中(の)・冠動脈疾患=虚血性心疾患(き)**を指します。心筋梗塞や脳梗塞は致死的であり、足趾の壊疽は下肢切断につながるため、禁煙・脂質管理・血圧管理を含めた包括的介入が必要です。

糖尿病食事療法の基礎

2型糖尿病の食事療法における1日エネルギー摂取量は、標準体重(kg)×身体活動量(kcal/kg)で算出します。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で求め、BMI22が疾病罹患率最低とされる値に基づきます。身体活動量は軽労作で25〜30、普通労作で30〜35、重労作で35以上(kcal/kg)が目安です。栄養素配分は炭水化物50〜60%、たんぱく質20%以下、残りを脂質とするのが基本です。

糖尿病性腎症の食事療法

腎症が進行すると糸球体濾過量が低下するため、腎臓の負担を減らす目的でたんぱく質制限を行います。第3期以降は0.8〜1.0g/kg/日、第4期では0.6〜0.8g/kg/日と段階的に厳格化されます。同時に高血圧と浮腫を防ぐため食塩を1日6g未満に制限し、十分なエネルギーを確保します。高カリウム血症があればカリウム制限が追加されます。

血液透析療法

末期腎不全に至ると腎代替療法が必要となります。血液透析では前腕で橈骨動脈と橈側皮静脈を吻合する内シャントを造設し、原則週3回・1回4時間で施行します。シャント側では血圧測定・採血・点滴を行わず、患者自身が毎日シャント音とスリルを確認することが自己管理の基本です。

腎心症候群と緊急透析

末期腎不全では水分とナトリウムの排泄能が著しく低下し、体液過剰から心不全・肺水腫を発症します。これを腎心症候群と呼びます。短期間の体重増加、全身浮腫、呼吸苦、高血圧を呈し、胸部エックス線では心胸郭比の拡大、肺うっ血、カーリーB線、バタフライ陰影がみられます。緊急血液透析の適応は「AIUEO」(アシドーシス、中毒、尿毒症、電解質異常、体液過剰)で整理できます。

医療費助成と自立支援医療

維持血液透析を受ける患者は身体障害者手帳の対象となり、**自立支援医療(更生医療)**を利用できます。これは18歳以上の身体障害者手帳所持者を対象に、障害の除去・軽減を目的とした医療の自己負担分を公費で助成する制度で、人工透析や腎移植が該当します。特定疾病療養受療証や重度心身障害者医療費助成と併用することで自己負担を最小化でき、医療ソーシャルワーカーと連携した制度案内が看護師の重要な役割です。

看護のポイント

HbA1cの目標は、合併症予防を目指す場合7%未満、血糖正常化を目指す場合6%未満、治療強化が困難な場合8%未満を目安に個別化します。日々のSMBG(血糖自己測定)、フットケア、シックデイルール、低血糖時のブドウ糖摂取など、患者教育を通じて合併症の進展を防ぐことが看護の中心です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    糖尿病の三大細小血管合併症は神経障害・網膜症・の3つで、覚え方として「しめじ」と呼ばれる。

  2. 2.

    糖尿病の三大細小血管合併症のうち、最も早期に出現するのはである。

  3. 3.

    2型糖尿病の食事療法における1日エネルギー摂取量は、標準体重(kg)×(kcal/kg)で算出する。

  4. 4.

    標準体重は身長(m)×身長(m)×で算出する。

  5. 5.

    糖尿病性腎症の食事療法では、腎臓の負担を軽減するため制限を行い、高血圧と浮腫を防ぐため食塩を1日6g未満に制限する。

  6. 6.

    糖尿病性腎症の病期分類で、透析療法期は第期である。

  7. 7.

    血液透析の内シャントは、前腕で橈骨動脈とを吻合して造設するのが代表的である。

  8. 8.

    末期腎不全で水分・ナトリウム排泄能が低下し、体液過剰から心不全・肺水腫を起こす病態をという。

  9. 9.

    維持血液透析患者が身体障害者手帳を取得して利用できる、障害の軽減を目的とした医療費助成制度を(更生医療)という。

  10. 10.

    糖尿病大血管症の覚え方「えのき」が示す三疾患は、壊疽・脳卒中・(冠動脈疾患)である。

糖尿病合併症のアセスメント」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。