家族介護支援とレスパイトケア
地域・在宅看護論 / 介護保険・地域包括ケア・権利擁護
解説
家族介護支援とは、在宅で要介護者をケアする家族が、心身ともに健康を維持しながら介護を継続できるよう支える看護援助の総称です。今回は家族介護支援とレスパイトケアについて解説します。
家族介護を取り巻く現状
わが国では高齢化の進展に伴い、在宅介護を担う家族の負担が深刻な社会課題となっています。令和元年(2019)国民生活基礎調査によると、同居の主な介護者の年齢階級は男女ともに60〜69歳が最多で、全体の約3割を占めます。70歳以上の介護者も増加しており、介護者と要介護者がともに65歳以上である老老介護は約7割近くに達し、双方が75歳以上の超老老介護も増えています。性別では女性介護者が約7割を占め、続柄は配偶者、子、子の配偶者の順に多くなっています。また、介護を理由に仕事を辞める介護離職は年間約10万人にのぼり、家族の生活基盤を揺るがす問題となっています。
家族システム論と支援の原則
家族看護では、家族を一人ひとりの集まりではなく相互に影響し合う一つのシステムとして捉える家族システム論の視点が重要です。高齢者の同居開始など家族のライフサイクルに変化が生じた際には、家族全員で役割を再編成する必要があります。
役割分担と負担集中の予防
在宅介護を始める家族への支援では、介護負担が特定の一人に集中しないよう、家族全員で役割を話し合うことが原則です。負担集中は、介護者の心身が消耗しきる介護バーンアウト、家族内葛藤、高齢者虐待、介護離職、介護うつなどのリスクを高めます。介護負担の客観的評価にはZarit介護負担尺度が用いられます。
ヤングケアラーへの配慮
近年、本来大人が担うべき介護を未成年が日常的に行うヤングケアラーの問題が注目されています。学業や友人関係、心身の発達に影響が及ぶため、教育・福祉と連携し早期発見と支援につなげる配慮が求められます。
レスパイトケアの定義と目的
レスパイト(respite)とは「小休止・息抜き」を意味する語で、レスパイトケアは在宅で介護を担う家族が一時的に介護から離れ、休息やリフレッシュをはかれるよう支援するサービスの総称です。目的は、介護者のバーンアウト予防、在宅介護の継続性確保、虐待予防にあります。
レスパイトケアの主な形態
介護保険制度では、特別養護老人ホーム等に短期間入所する短期入所生活介護(福祉型ショートステイ)、医療管理が必要な人を対象とする短期入所療養介護(医療型ショートステイ)、日帰りで利用する通所介護(デイサービス)などが利用できます。また、訪問看護の長時間利用も介護者の休息に寄与します。小児領域では、医療的ケア児を対象とする医療型短期入所が整備されつつあります。
介護保険サービスと支給限度額
介護保険サービスは要介護度に応じて月ごとの支給限度額が定められています。たとえば要介護2は、立ち上がりや歩行に支えが必要で、排泄や入浴に一部介助を要するレベルであり、2024年時点の支給限度額は月19万7,050円です。限度額の範囲内で利用すれば自己負担は原則1〜3割となり、超過分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながら計画的にサービスを組み合わせることが重要です。
地域資源との連携
在宅介護を支えるには、地域の社会資源との連携が欠かせません。地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口として機能し、ケアマネジャー(介護支援専門員)が居宅サービス計画を作成します。訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせ、家族の負担を分散させていきます。
まとめ
家族介護支援では、家族をシステムとして捉え、役割分担の調整と介護者の休息確保を両輪で進めることが求められます。レスパイトケアを適切に活用することは、介護者の健康を守り、虐待や介護離職を予防し、在宅療養を長く続けるための鍵となります。看護師は介護負担を継続的に評価し、地域資源につなぐ役割を担います。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
家族を相互に影響し合う一つのシステムとして捉える看護の理論をという。
- 2.
在宅介護を担う家族が一時的に介護から離れ、休息できるよう支援するサービスの総称をという。
- 3.
介護保険制度において、特別養護老人ホーム等に短期間入所するサービスを(福祉型ショートステイ)という。
- 4.
医療管理が必要な要介護者を対象とした短期入所サービスを(医療型ショートステイ)という。
- 5.
介護者の心身が消耗しきった状態を介護といい、レスパイトケアはその予防を目的の一つとする。
- 6.
介護者と要介護者がともに65歳以上である状態をといい、令和元年国民生活基礎調査では約7割を占める。
- 7.
本来大人が担うべき介護を日常的に行っている未成年者をといい、近年その支援が課題となっている。
- 8.
介護者の介護負担を客観的に評価する代表的な尺度を介護負担尺度という。
- 9.
令和元年国民生活基礎調査では、同居の主な介護者の性別はが約7割を占めている。
- 10.
高齢者の総合相談窓口として地域に設置されている機関をという。
