看護提供方式
看護の統合と実践 / 看護管理・組織・チーム医療
解説
今回は看護提供方式について解説します。
看護提供方式とは
看護提供方式とは、病棟や施設において看護師が患者へケアを提供する際の業務分担や責任の持ち方を組織的に決めた仕組みのことです。看護の目的である継続性・効率性・専門性を確保するために、病棟の特性や人員配置、患者の状態に応じて方式を選び、必要に応じて組み合わせて運用します。代表的な方式として、機能別看護方式、受け持ち看護方式、チームナーシング、プライマリーナーシング、モジュール型継続受け持ち方式、パートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)があります。それぞれの長所と短所を理解することが国試対策の基本となります。
機能別看護方式
機能別看護方式とは、看護業務を内容(機能)ごとに分類し、検温係・与薬係・注射係・処置係・記録係などの担当を決めて、複数の看護師で分担して実施する方式です。第二次世界大戦後の人員不足の時期に米国で広まり、日本では高度経済成長期に普及しました。 長所は、少人数のスタッフでも効率的に業務を回せる点、業務の流れが単純で習熟しやすい点にあります。一方で短所として、一人の看護師が同じ患者を継続的に把握しにくく、患者との信頼関係が築きにくいこと、患者中心のケアが分断されやすいことが挙げられます。業務中心の方式であり、現代の患者中心ケアの理念とは合いにくい側面があります。
受け持ち看護方式
受け持ち看護方式とは、勤務帯ごとに看護師が患者を受け持ち、その勤務時間内に必要なケア全般を実施する方式です。患者ごとの全体像を把握しやすい一方で、勤務交代によって担当者が代わるため、入院から退院までの一貫した継続性は弱くなります。
チームナーシング
チームナーシングとは、複数の看護師で構成されるチームを編成し、リーダー看護師を中心にチーム全体で受け持ち患者のケアを行う方式です。経験年数の異なるメンバーで構成することで、教育的効果やフォロー体制を保ちやすい利点があります。リーダーが計画を統括し、メンバーが実施を担う形になります。
プライマリーナーシング
プライマリーナーシングとは、1970年代に米国のマンソープらによって提唱された看護提供方式で、1人のプライマリーナースが特定の患者の入院から退院まで、看護計画の立案・実施・評価に責任をもつ仕組みです。24時間を通じた一貫したケアの提供が大きな特徴です。 プライマリーナースが勤務していない時間帯は、アソシエートナースがプライマリーナースの立てた看護計画に沿ってケアを実施します。長所は、看護の自律性と継続性が高まること、患者との信頼関係が構築されやすいことです。一方で、看護師個人の能力に依存しやすく、不在時の引き継ぎや責任の重さが課題となります。
モジュール型継続受け持ち方式とPNS
モジュール型継続受け持ち方式とは、プライマリーナーシングと固定チームナーシングを折衷した方式で、少人数のモジュール(小チーム)で患者を継続的に受け持ちます。プライマリーナーシングの継続性と、チームナーシングの安全性を両立させることを狙いとします。 **パートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)**は、近年の日本の急性期病院で主流となっている方式の一つで、2人1組のパートナーが協力して複数の患者を受け持ちます。経験のあるベテランと若手などを組ませることで、安全性の確保と教育効果の両立が図られる点が特徴です。
各方式の選択と使い分け
看護提供方式は、患者の特性(急性期・慢性期・回復期・在宅など)や病棟の規模、人員配置、看護師の経験構成によって使い分けられます。効率性を重視する場面では機能別、継続性を重視する場面ではプライマリーナーシング、安全性と教育を両立させたい場面ではPNSが選ばれやすくなります。実際の臨床では単一方式ではなく、複数方式を組み合わせて運用することが一般的です。
まとめ
看護提供方式には、業務分業型の機能別看護方式、勤務帯ごとに受け持つ受け持ち看護方式、リーダー中心のチームナーシング、入院から退院まで1人が責任をもつプライマリーナーシング、折衷型のモジュール型、2人1組のPNSがあります。なかでもプライマリーナーシングはマンソープが提唱し、アソシエートナースとの連携で24時間の継続的ケアを実現する方式として国試で頻出です。各方式の特徴・長所・短所を整理し、場面に応じた選択ができるようにしておくことが学習の要となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
看護業務を検温・与薬・注射・処置などの内容ごとに分担して複数の看護師で実施する方式をという。
- 2.
機能別看護方式は少人数で効率的に業務を行える長所がある一方、患者とのが築きにくく、患者中心のケアが分断されやすい短所がある。
- 3.
1人の看護師が特定の患者の入院から退院まで看護計画の立案・実施・評価に責任をもつ看護提供方式をという。
- 4.
プライマリーナーシングは1970年代に米国のらによって提唱された。
- 5.
プライマリーナースが不在の時間帯に、立案された看護計画に沿ってケアを実施する看護師をという。
- 6.
複数の看護師で構成されるチームを編成し、リーダー看護師を中心にチーム全体で受け持ち患者をケアする方式をという。
- 7.
2人1組のパートナーで患者を受け持ち、安全性と教育効果の両立を図る方式をという。
- 8.
プライマリーナーシングと固定チームナーシングを折衷し、小チームで継続的に患者を受け持つ方式をという。
