放射線防護と職業安全
看護の統合と実践 / 医療安全と職業安全
解説
放射線防護とは、医療現場で放射線を扱う業務従事者や患者を、電離放射線による健康被害から守るための対策のことです。今回は看護師が知っておくべき放射線防護と職業安全について解説します。
電離放射線と健康影響
電離放射線とは、物質を電離させる能力をもつ放射線のことで、X線、γ線、α線、β線などが含まれます。医療現場では血管造影室、手術室のX線透視、CT、核医学検査(RI検査)、放射線治療室などで使用されています。放射線を受けることを被ばくといい、過剰な被ばくは白血病やがん、白内障などの健康障害を引き起こします。特に眼の水晶体は放射線感受性が高く、白内障のリスクがあるため、防護が重要となります。
被ばく防護の3原則
放射線業務従事者の被ばくを低減するための原則として、時間・距離・遮蔽の3つが基本となります。時間は放射線源に接する時間を短くすること、距離は線源からできるだけ離れること、遮蔽は鉛などの遮蔽材で放射線を遮ることを指します。具体的には、散乱線による体幹部の被ばくを防ぐために鉛エプロンを着用し、水晶体を守るために鉛含有ゴーグルを使用します。また、甲状腺を守る鉛入りネックガードも用いられます。
個人被ばく線量の管理
医療法施行規則により、放射線業務従事者には個人被ばく線量を常時測定・記録することが義務付けられています。このため個人線量計(フィルムバッジ、ガラスバッジなど)を装着します。装着位置は通常、鉛エプロンの内側の胸部(女性は腹部)です。線量限度は、実効線量で5年間に100mSvかつ年間50mSv、水晶体の等価線量は年間20mSv(5年平均)、皮膚は年間500mSvと定められています。妊娠中の女性については、申告から出産までの腹部表面の等価線量は2mSv以下に制限されます。
特殊健康診断
労働安全衛生法に基づき、有害業務に従事する労働者に対して事業者が実施する健康診断を特殊健康診断といいます。電離放射線を扱う業務に従事する看護師は電離放射線健康診断の対象となり、6か月以内ごとに1回実施されます。看護師では血管造影室、X線透視を伴う手術室、核医学検査、放射線治療室での勤務が該当します。
まとめ
放射線防護の基本は時間・距離・遮蔽の3原則であり、看護師は鉛エプロンやゴーグルなどの防護具を適切に使用し、個人線量計を装着して被ばく管理を行います。電離放射線業務に従事する看護師は特殊健康診断の対象となることも押さえておきましょう。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
放射線業務従事者の被ばく防護の3原則は、時間・・である。
- 2.
放射線業務従事者には、個人被ばく線量を常時測定・記録するために(フィルムバッジ等)の装着が義務付けられている。
- 3.
放射線感受性が高く、白内障のリスクがあるため鉛含有ゴーグルで防護すべき眼の部位はである。
- 4.
散乱線による体幹部の被ばくを防ぐために着用する防護具はである。
- 5.
労働安全衛生法に基づき、電離放射線などの有害業務従事者に対して事業者が実施する健康診断をという。
- 6.
血管造影室で勤務する看護師が対象となる特殊健康診断は健康診断である。
- 7.
放射線業務従事者の実効線量限度は5年間でmSvかつ年間50mSvと定められている。
