StudyNurse

ODA・JICAと二国間協力

看護の統合と実践 / 国際看護・多文化看護

解説

今回はODA・JICAと二国間協力について解説します。世界には貧困、感染症の流行、母子保健の遅れ、医療従事者不足など、自国だけでは解決が難しい健康課題が数多く存在します。これらに対し国境を越えて取り組むのが国際保健医療協力であり、2015年に国連で採択された**持続可能な開発目標(SDGs)**の達成に向けても、各国政府や国際機関、民間団体が連携して活動しています。看護師もその担い手の一員であり、制度のしくみを理解しておくことが大切です。

ODAとは

**ODA(Official Development Assistance:政府開発援助)とは、先進国の政府が開発途上国の経済・社会開発を支援するために提供する公的な資金や技術協力のことです。第二次世界大戦後の復興支援を背景に始まり、現在ではOECD(経済協力開発機構)の開発援助委員会(DAC)**が国際的な基準を定めています。DACは加盟国に対し、ODAの規模を国民総所得(GNI)比0.7%とすることを目標として掲げています。

日本のODAの基本方針は、2015年に閣議決定された開発協力大綱に示されており、SDGsの達成を中心に据えた包括的な枠組みとなっています。

ODAの2つの形態

ODAは大きく二国間援助と多国間援助に分けられます。

二国間援助(バイラテラル)

援助国が相手国に対し直接行う協力で、贈与と政府貸付からなります。贈与には返済を求めない無償資金協力と、人材育成を中心とする技術協力があり、政府貸付は低金利・長期返済の**円借款(有償資金協力)**として実施されます。

多国間援助(マルチラテラル)

WHOやUNICEFといった国際機関に資金を拠出し、その活動を通じて途上国を支援する方式です。

JICAの役割

日本のODAのうち二国間援助を一元的に担うのが、独立行政法人**国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)**です。JICAは技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力の三つを一体的に実施しています。

技術協力では、専門家の派遣、開発途上国からの研修員受入れ、そして青年海外協力隊をはじめとする海外協力隊事業を展開しています。さらに、自然災害や紛争などの大規模災害時には**国際緊急援助隊(JDR)**の医療チーム等を派遣し、迅速な救援活動を行います。

国際機関とICRCの位置づけ

多国間援助の受け皿となる主な国際機関には、保健分野を統括するWHO(世界保健機関)、子どもの権利と健康を守るUNICEF、開発全般を扱うUNDP(国連開発計画)、食料・農業のFAO、難民支援のUNHCR、開発資金を扱う世界銀行などがあります。

これに対し**赤十字国際委員会(ICRC)**は国連や政府の機関ではなく、スイスに本部を置く独立した民間の国際組織で、紛争地における人道支援や捕虜の保護を担っています。

保健医療分野の重点課題

日本の国際保健医療協力では、母子保健の改善、結核・マラリア・HIVなどの感染症対策、看護師・助産師など医療人材の育成、そして誰もが必要な医療を受けられる**ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)**の推進が重点テーマとされています。

看護師の関わり

看護師は青年海外協力隊の看護師職種として現地病院に派遣されたり、JICAの専門家として保健行政や看護教育に携わったり、JDR医療チームに登録されて緊急援助に加わることができます。派遣前には感染症対策、現地語、現地文化理解などの研修が行われ、安全に活動できるよう備えます。

まとめ

ODAは政府開発援助の総称であり、日本では二国間援助をJICAが、多国間援助を国際機関への拠出として実施しています。看護師は技術協力や緊急援助を通じて国際保健に貢献でき、SDGsとUHCの達成に向けた重要な担い手となっています。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    先進国政府が開発途上国の経済・社会開発を支援するために提供する公的資金や技術協力をという。

  2. 2.

    日本のODAのうち二国間援助を一元的に担う独立行政法人はである。

  3. 3.

    ODAは援助国が相手国に直接行うと、国際機関への拠出によるに分けられる。

  4. 4.

    JICAが実施する二国間援助のうち、低金利・長期返済で行われる政府貸付を(有償資金協力)という。

  5. 5.

    JICAが派遣するボランティア事業のうち、看護師なども参加する代表的な事業はである。

  6. 6.

    大規模災害時に医療チーム等を迅速に派遣するJICAの仕組みをという。

  7. 7.

    ODAの国際基準を定める、OECDの委員会はである。

  8. 8.

    2015年に閣議決定され、SDGsの達成を柱とする日本のODAの基本方針をという。

  9. 9.

    紛争地での人道支援を行う、スイスに本部を置く独立した民間の国際組織はである。

  10. 10.

    すべての人が必要な保健医療サービスを負担可能な費用で受けられる状態を目指す概念をという。

ODA・JICAと二国間協力」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。