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肝障害指標と肝性脳症

成人看護学 / 肝・胆・膵

解説

今回は肝障害指標と肝性脳症について解説します。

肝機能検査の主要項目

肝臓は代謝・解毒・胆汁産生・タンパク合成など多彩な役割を担う臓器であり、障害の評価には複数の血液生化学検査を組み合わせて読み解く必要があります。検査項目は大きく四群に分けて理解すると整理しやすいです。第一に肝細胞障害マーカーとしてAST、ALT、LDHがあります。第二に胆道系マーカーとしてALP、γ-GTP、総ビリルビンが挙げられます。第三に肝合成能を反映するマーカーとしてアルブミン、プロトロンビン時間(PT)、コリンエステラーゼがあり、慢性肝障害で肝臓のタンパク合成能が落ちると低下します。第四に慢性肝炎や肝硬変での線維化マーカーとしてヒアルロン酸やⅣ型コラーゲンが用いられます。

ALTとASTの読み方

肝細胞障害の指標として国試で最も問われるのがALT(GPT)です。ALTは肝細胞に特異的に多く存在する酵素で、肝細胞が壊れると血中に漏出して上昇します。基準値はおおむね5〜40 IU/Lで、ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害などで上昇します。ASTは肝臓以外にも心筋・骨格筋・赤血球に含まれるため、肝特異性はALTより低く、両者をセットで評価することが重要です。一般にAST優位(AST>ALT)はアルコール性肝障害や肝硬変ALT優位(ALT>AST)はウイルス性肝炎や脂肪肝で見られやすいと覚えておきます。

肝性脳症の病態と看護

肝硬変など重度の肝機能障害や門脈大循環シャントが存在すると、腸管でタンパク質から生成されたアンモニアが肝臓で尿素に変換されないまま全身循環に流入し、血液脳関門を越えて中枢神経系を障害します。これが肝性脳症で、その直接的な原因物質はアンモニアです。症状は羽ばたき振戦(flapping tremor)、見当識障害、傾眠、昏睡といった意識障害が段階的に進行する点が特徴です。誘因として高タンパク食、便秘、消化管出血、感染、脱水、利尿薬の過剰使用が挙げられ、いずれもアンモニアの産生増加や脱水による濃縮を招きます。治療ではラクツロースが中心となり、腸内pHを酸性に傾けてアンモニアの吸収を抑えるとともに、軟便化により排便を促します。あわせて分岐鎖アミノ酸製剤の投与や厳密な便通管理が行われます。看護では排便回数の確認、意識レベルや羽ばたき振戦の有無の観察、タンパク質摂取量と水分バランスの管理が重要です。

まとめ

肝機能検査ではALTが肝細胞特異性の高い指標であり、ASTとの比から原因疾患を推測できます。肝性脳症はアンモニアの蓄積によって生じる意識障害で、羽ばたき振戦が代表的所見であり、ラクツロースと便通管理が治療と看護の要となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    肝細胞に特異的に多く存在し、肝細胞障害で血中に上昇する酵素はである。

  2. 2.

    肝合成能を反映するマーカーとして、アルブミン、コリンエステラーゼのほかにがある。

  3. 3.

    胆道系マーカーには、ALP、総ビリルビンのほかにがある。

  4. 4.

    AST優位(AST>ALT)となりやすい代表的な肝障害は、アルコール性肝障害とである。

  5. 5.

    慢性肝炎・肝硬変における肝の線維化マーカーとして用いられるのは、ヒアルロン酸とである。

  6. 6.

    肝性脳症を直接引き起こす原因物質はである。

  7. 7.

    肝性脳症の特徴的な不随意運動をという。

  8. 8.

    肝性脳症の治療で、腸内pHを酸性化させてアンモニア吸収を抑える薬剤はである。

  9. 9.

    肝性脳症の誘因として、高タンパク食、消化管出血、感染、脱水のほかに排便に関するものとしてがある。

肝障害指標と肝性脳症」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。