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脳梗塞の急性期と治療

成人看護学 / 脳・神経

解説

今回は脳梗塞の急性期と治療について解説します。

脳梗塞の分類

脳梗塞は発症機序によって三つに大別されます。アテローム血栓性脳梗塞は、頸動脈や脳主幹動脈の動脈硬化を基盤に血栓が形成されるタイプです。心原性脳塞栓症は、心房細動などにより心臓内で形成された血栓が脳動脈に飛んで閉塞するもので、塞栓子が大きく、突発完成型で重症化しやすいのが特徴です。ラクナ梗塞は穿通枝の動脈硬化により生じる小梗塞で、高血圧との関連が強くみられます。

急性期の診断

脳梗塞が疑われた場合、まず単純CTで脳出血を除外します。CTでは梗塞巣そのものは発症から12〜24時間で低吸収域として明瞭化するため、超急性期では描出が困難です。次に**MRI拡散強調画像(DWI)*を撮像します。DWIは発症30分から数時間の超急性期から梗塞巣を高信号として描出でき、最も早期検出に優れます。実臨床では、CTで出血を除外したのち、MRI(DWI、FLAIR、T2、MRA)で梗塞巣と責任血管を評価する流れが基本となります。

急性期治療と再開通療法

急性期治療の最優先は血流の再開通です。rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法は発症から4.5時間以内が適応となります。さらに近位主幹動脈閉塞例では、機械的血栓回収療法が発症6〜24時間以内に適応されます。

Wake-up strokeと発症時刻

就寝中発症(wake-up stroke)では、発症時刻が不明であるため、最終未発症確認時刻(last known well)を発症時刻とみなします。家族や目撃者から最優先で聴取することが重要です。病院前評価ではFAST(Face:顔のゆがみ、Arm:腕のしびれ、Speech:言葉のもつれ、Time:発症時刻)を用います。

急性期合併症と看護

出血性梗塞や脳浮腫により頭蓋内圧亢進、脳ヘルニアが生じる危険があります。脳浮腫の軽減にはマンニトールが投与されます。頭蓋内圧亢進の3徴は頭痛・嘔吐・うっ血乳頭であり、進行例ではクッシング現象(血圧上昇+徐脈)、瞳孔不同、対光反射の変化を呈します。看護では頭部挙上、頸部正中位を保ち、便秘・咳嗽・吸引刺激を最小化し、PaCO2軽度低下を維持します。

失語と片麻痺への対応

**運動性失語(ブローカ失語)**は左前頭葉ブローカ野の障害で、発話・復唱・書字が障害される一方、理解は比較的保たれます。**感覚性失語(ウェルニッケ失語)**は側頭葉ウェルニッケ野の障害で、流暢だが意味不明な発話と理解障害を伴います。利き手側麻痺と運動性失語が合併すると、筆談も文字盤も困難となるため、**イラスト(絵カード)**の活用が最適です。AAC(拡大代替コミュニケーション)やYes/No質問も有用です。

経管栄養の安全管理

注入前には必ず胃内残渣量を確認します。残渣が多いと嘔吐・誤嚥・腹部膨満のリスクが高まり、200mL以上では医師に報告します。チューブの位置確認は気泡音聴取だけでは不十分で、胃内容物のpH確認やX線撮影と併用します。注入時は30〜45度のファウラー位とし、注入後も30分以上同体位を保ち逆流を防ぎます。

せん妄への対応

高齢者の急性期入院ではせん妄の発症率が高く、脳血管障害・感染・疼痛・環境変化が重なると発症しやすくなります。不穏行動時はまず身体要因の評価としてバイタルサインを測定し、発熱・低酸素・電解質異常・疼痛・脱水を確認します。対応原則は、身体要因の除去、環境調整(見当識補助・家族面会・昼夜リズム)、そして必要時のみ薬物療法という順序です。スクリーニングにはCAM-ICUやDSTを用い、身体拘束や薬剤は最後の選択肢とします。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    心臓内で形成された血栓が脳動脈を閉塞する脳梗塞はであり、背景にが多くみられる。

  2. 2.

    発症超急性期の梗塞巣検出にもっとも優れる検査はMRIのであり、単純CTでは出血のを目的に行う。

  3. 3.

    rt-PA静注療法の適応は発症から時間以内であり、機械的血栓回収療法は近位主幹動脈閉塞で発症時間以内が目安となる。

  4. 4.

    就寝中発症例では発症時刻としてを用い、最優先でから聴取する。

  5. 5.

    頭蓋内圧亢進の3徴は頭痛・であり、進行例では血圧上昇と徐脈を呈するがみられる。

  6. 6.

    脳浮腫の軽減に用いられる薬剤はであり、看護では頭部挙上と頸部の保持が重要である。

  7. 7.

    左前頭葉のブローカ野障害によるでは理解は比較的保たれるが、利き手側麻痺を伴う場合は筆談困難のためでの意思疎通が最適である。

  8. 8.

    病院前評価のFASTはFace、Arm、Speech、からなる。

  9. 9.

    経管栄養注入前はを確認し、mL以上では医師に報告する。注入時は30〜45度のを保つ。

  10. 10.

    せん妄で不穏行動がみられた場合、まずの評価を行い、身体拘束や薬剤はの選択肢とする。スクリーニングにはやDSTを用いる。

脳梗塞の急性期と治療」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。