脳梗塞急性期に最も重要な情報を見抜く
看護師国家試験 第107回 午後 第112問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん( 72歳、男性 )。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール< JCS >Ⅱ-10。右片麻痺および失語がみられる。 Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。
- 1.5年前から禁煙していた。
- 2.最近、眠りが浅いと言っていた。
- 3.今朝5時にトイレから戻って来た。
- 4.健康診査を2年間受診していなかった。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
脳梗塞の急性期では『いつから症状があるか』の特定が治療適応を決める鍵となります。最終未発症確認時刻を示すエピソードを最優先で収集しましょう。
解答・解説
正解は3です
問題文:妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。
解説:正解は3です。意識障害・右片麻痺・失語を呈し、頭部CTで出血所見がないことから脳梗塞が強く疑われる状況です。脳梗塞に対するt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)静注療法は、発症から原則4.5時間以内という厳密な時間制限があるため、治療方針を決定するうえで最も重要なのは『最終未発症確認時刻』を示す情報です。3の『今朝5時にトイレから戻って来た』は、その時点で自力歩行が可能であったと確認できるため、発症が5時以降であると推定でき、t-PA投与可否を判断する根拠になります。
選択肢考察
- ×1. 5年前から禁煙していた。
喫煙歴は脳血管障害の背景因子として重要ですが、急性期の治療方針決定(再灌流療法の可否)には直結しません。
- ×2. 最近、眠りが浅いと言っていた。
睡眠状況の変化は生活上の参考情報ですが、発症時刻の特定や血栓溶解療法の適応判断に直接必要な情報ではありません。
- ○3. 今朝5時にトイレから戻って来た。
トイレから自力で戻った5時が最終未発症確認時刻となり、発症からの経過時間を算出できます。t-PA投与の時間枠判定に直結する最重要情報です。
- ×4. 健康診査を2年間受診していなかった。
健診未受診は慢性疾患管理の観点では把握すべき情報ですが、急性期の治療選択を左右する決定的情報とは言えません。
就寝中発症(wake-up stroke)では発症時刻が不明となりやすく、この場合『最後に元気だった時刻(last known well)』を発症時刻とみなすのが原則です。t-PAは発症4.5時間以内、血管内治療は原則発症6時間以内(画像条件を満たせば最大24時間まで延長可)が目安であり、時間情報は家族・目撃者から最優先で聴取します。
脳梗塞の急性期では『いつから症状があるか』の特定が治療適応を決める鍵となります。最終未発症確認時刻を示すエピソードを最優先で収集しましょう。
「脳・神経」の関連問題
右側に寄って歩く高齢患者―慢性硬膜下血腫後に潜む「半側空間無視」を見抜く
右半球(右前額部打撲→右側の慢性硬膜下血腫)の損傷後に「左側の物や人に気付かない」「歩行が右側へ偏る」という限局した左空間認識の低下が出現している点を読み取り、高次脳機能障害である半側空間無視と判断できるかを問う問題。感覚障害・認知障害・関節疾患との鑑別がカギ。
115回(状況設定)
焦る患者さんに「もっと頑張れ」はNG?回復期リハの寄り添い方
回復期リハビリ中の患者が示す焦りや意欲低下に対し、励ましや訓練量の増加ではなく、感情を受け止めて本人のペースを保証する声かけが適切であることを問う設問です。
115回(状況設定)
転ばぬ先の足元灯と家具固定 ── 退院後の住まいを安全にする工夫
本問は、転倒ハイリスクな高齢者の在宅復帰における環境整備を、「転倒予防」と「残存機能を活かす自立支援」の両立という視点で判断できるかが問われています。
115回(状況設定)
うっ血乳頭はなぜ起きる?頭蓋内圧亢進3徴を解剖からひも解く
うっ血乳頭が「頭蓋内圧亢進の3徴」の一つであることを問う問題。発生機序として視神経周囲のくも膜下腔と頭蓋内腔がつながっている点が理解の鍵。
114回
高次脳機能障害——「失行」って結局なに?
高次脳機能障害の症状の中から「失行」に該当する行動を見分ける問題。記憶障害・遂行機能障害・地誌的障害との違いを押さえる。
114回
