廃用症候群の全身的変化
看護師国家試験 第111回 午前 第84問 / 成人看護学 / 慢性疾患とリハビリテーション看護
国試問題にチャレンジ
安静臥床による廃用症候群(disuse syndrome)で生じるのはどれか。
- 1.1回換気量の増加
- 2.循環血液量の増加
- 3.基礎代謝の上昇
- 4.骨吸収の亢進
- 5.食欲の増進
対話形式の解説
博士
今日は廃用症候群で身体にどんな変化が起こるかを整理しよう。
アユム
廃用症候群って、安静にしすぎると起こるやつですよね。
博士
その通り。長期の安静臥床や活動性低下によって起こる全身の機能低下の総称で、運動器、呼吸器、循環器、消化器、精神神経系すべてに影響が及ぶんだ。
アユム
そんなに広範囲に影響するんですね。
博士
筋力は1週間で10〜15%、3〜5週間で約50%落ちるとも言われている。進行がとても速い。
アユム
選択肢を一つずつ見てみたいです。
博士
選択肢1の1回換気量の増加は誤り。臥床では横隔膜の動きが制限され呼吸筋も弱るので、1回換気量は減少し無気肺や沈下性肺炎のリスクが高まる。
アユム
選択肢2の循環血液量の増加も違いますよね?
博士
臥床で下肢から心臓への還流が増えると、体は循環血液量が多いと判断して尿量を増やす。これが圧利尿で、結果として循環血液量は減少するんだ。起立時にふらつく起立性低血圧の原因の一つだよ。
アユム
選択肢3の基礎代謝の上昇は?
博士
筋肉量減少や甲状腺ホルモン・交感神経活動の低下で基礎代謝は下がる。エネルギー消費も減るから浮腫や体重増加の要因にもなる。
アユム
正解は選択肢4の骨吸収の亢進ですね?
博士
その通り。骨は荷重や筋収縮による機械的刺激で骨形成が維持されているが、臥床で刺激がなくなると破骨細胞が優位になり骨吸収が亢進する。結果として骨粗鬆症や高カルシウム尿症、尿路結石のリスクも上がる。
アユム
選択肢5の食欲の増進も違いますね。
博士
活動量低下、消化管運動低下、便秘、抑うつ傾向などで食欲はむしろ低下する。低栄養から褥瘡リスクも高まる悪循環になるよ。
アユム
予防には何が重要ですか?
博士
早期離床、関節可動域訓練、体位変換、等尺性運動、段階的リハビリが基本だ。「安静1日で回復に3日」と言われるほど、過度の安静は害になる。
アユム
よく理解できました。
POINT
廃用症候群は長期臥床による全身機能低下で、筋萎縮、骨吸収亢進、心肺機能低下、循環血液量減少、基礎代謝低下、食欲低下などが生じます。荷重刺激の消失により骨吸収が亢進し骨粗鬆症につながるため、正解は選択肢4です。予防には早期離床と段階的リハビリテーションが不可欠です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:安静臥床による廃用症候群(disuse syndrome)で生じるのはどれか。
解説:正解は 4 です。廃用症候群は長期の安静臥床や活動性低下により生じる心身の機能低下の総称で、筋萎縮・関節拘縮・骨粗鬆症・起立性低血圧・心肺機能低下・沈下性肺炎・褥瘡・認知機能低下など多岐にわたります。骨には機械的刺激(荷重や筋収縮)が加わることで骨形成が維持されていますが、臥床により刺激が失われると破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を上回り、骨からカルシウムが溶出して骨粗鬆症や高カルシウム尿症を引き起こします。
選択肢考察
-
× 1. 1回換気量の増加
臥床で横隔膜の可動制限や呼吸筋力低下が生じ、1回換気量は減少します。無気肺や沈下性肺炎のリスクも高まります。
-
× 2. 循環血液量の増加
臥床により心臓への静脈還流増加から尿量増加(圧利尿)が起こり、循環血液量はむしろ減少します。起立性低血圧の一因にもなります。
-
× 3. 基礎代謝の上昇
筋肉量の減少や甲状腺機能・自律神経活動の低下により基礎代謝は低下します。エネルギー消費量も減ります。
-
○ 4. 骨吸収の亢進
荷重刺激がなくなることで破骨細胞活性が骨形成を上回り、骨吸収が亢進して骨粗鬆症をきたします。正解です。
-
× 5. 食欲の増進
活動量低下と消化管運動の低下、便秘、抑うつ傾向などから食欲は低下します。低栄養のリスクが高まります。
廃用症候群の進行は非常に速く、筋力は1週間で10〜15%、3〜5週間で約50%低下するとされます。予防には早期離床、関節可動域訓練、等尺性運動、体位変換、段階的リハビリテーションが有効です。安静臥床1日で回復に3日かかるとも言われ、「過度の安静は薬ではなく害」という意識が重要です。
廃用症候群で生じる全身的な機能低下の内容、特に骨・筋・呼吸・循環・代謝への影響を理解しているかを問う問題です。
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