ADL評価指標を使い分けよう
看護師国家試験 第110回 午後 第42問 / 成人看護学 / 慢性疾患とリハビリテーション看護
国試問題にチャレンジ
脳梗塞( cerebral infarction )による右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作<ADL>の評価として適切なのはどれか。
- 1.NYHA分類
- 2.Borg<ボルグ>スケール
- 3.Barthel<バーセル>インデックス
- 4.主観的包括的アセスメント<subjective global assessment>
対話形式の解説
博士
今日は評価スケールの使い分けをまとめるぞ。まずADLとは何かの?
アユム
食事や排泄、入浴など日常生活を送るための基本動作のことです。
博士
そうじゃ。脳卒中後は片麻痺などでADLが低下するから、定量的に評価する必要があるのう。
アユム
代表的なのがBarthelインデックスですよね。10項目を0〜100点で評価すると習いました。
博士
うむ。点数が高いほど自立度が高く、リハビリの効果判定にも使えるのじゃ。
アユム
FIMという評価もありますよね。
博士
その通り、FIMは18項目を各7点満点で評価するより詳細なスケールじゃ。Barthelは簡便、FIMは精緻と覚えておくと良いぞ。
アユム
NYHA分類は心不全ですよね。
博士
その通り、身体活動の制限度合いからI〜IVに分類する心不全重症度指標じゃ。
アユム
Borgスケールは運動強度の主観評価ですよね。
博士
うむ、息切れや疲労の程度を数値化するもので、心臓リハや呼吸リハで活躍するのじゃ。
アユム
SGAは栄養の主観的包括的アセスメントですね。
博士
正解じゃ。体重変化や食事摂取量、身体所見から栄養状態を判定する手法じゃ。何を測るための尺度か、目的別に整理しておけば迷わんぞい。
POINT
Barthelインデックスは食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行・階段・更衣・排便・排尿の10項目を評価するADLの代表的指標で、脳卒中リハビリテーションの効果判定に広く用いられます。NYHA分類は心不全重症度、Borgスケールは主観的運動強度、SGAは栄養状態のアセスメントと、それぞれ評価対象が異なります。国試では各指標の対象領域を混同しないよう、一覧で整理して覚えることが得点につながります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:脳梗塞( cerebral infarction )による右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作<ADL>の評価として適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。Barthel(バーセル)インデックスは食事・移乗・整容・トイレ動作・入浴・歩行・階段昇降・更衣・排便・排尿の10項目で構成される日常生活動作(ADL)の代表的評価指標であり、脳卒中リハビリテーションの効果判定にも広く用いられます。0〜100点で評価し、点数が高いほど自立度が高いと判定します。
選択肢考察
-
× 1. NYHA分類
NYHA分類は心不全の重症度を身体活動能力に基づいてI〜IVに分類する指標です。心疾患の評価に用いるもので、ADLそのものを多角的に評価するものではありません。
-
× 2. Borg<ボルグ>スケール
Borgスケールは運動時の主観的運動強度(息切れ・疲労感)を6〜20(または0〜10の修正版)で表す指標で、心臓リハビリテーションなどで用いられます。ADL全体の自立度評価ではありません。
-
○ 3. Barthel<バーセル>インデックス
Barthelインデックスは10項目のADLを100点満点で評価する代表的なADL評価尺度です。脳卒中患者のリハビリテーション効果判定や介護量の目安として国際的に広く利用されています。
-
× 4. 主観的包括的アセスメント<subjective global assessment>
SGAは体重変化・食事摂取・消化器症状・身体所見などから栄養状態を総合的に判定する栄養アセスメント手法であり、ADL評価には用いません。
ADL評価尺度にはBarthelインデックスのほかにFIM(Functional Independence Measure)があり、FIMは運動13項目・認知5項目の計18項目を各1〜7点で評価します。Barthelは簡便、FIMはより詳細という特徴があり、使い分けや目的を理解しておきましょう。
各種評価指標が何を測るためのものかを区別して理解しているかが問われる知識問題です。
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