甲状腺ホルモン亢進の所見を体の反応から考えよう
看護師国家試験 第107回 午後 第84問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.徐脈
- 2.便秘
- 3.眼球突出
- 4.皮膚乾燥
- 5.手指振戦
対話形式の解説
博士
甲状腺ホルモンは体のアクセルじゃ。亢進するとどうなるか想像してみようぞ。
アユム
代謝が上がってエネルギーをどんどん使うイメージです。
博士
そうじゃ。ではまず選択肢1の徐脈は正しいか。
アユム
代謝が上がるなら心臓も速く動きそうなので、頻脈のはずです。誤りですね。
博士
正解じゃ。β受容体感受性も高まって脈が速くなる。
アユム
選択肢2の便秘はどうでしょう。
博士
腸も動きが活発になるから、むしろ下痢傾向じゃ。便秘は低下症じゃな。
アユム
選択肢3の眼球突出は、バセドウ病の特徴ですよね。
博士
その通り、Merseburgの三徴の一つじゃ。自己抗体で眼窩組織が浮腫を起こすのじゃよ。
アユム
選択肢4の皮膚乾燥はどうですか。
博士
発汗が増えて皮膚は湿っぽくなる。乾燥するのは低下症じゃな。
アユム
選択肢5の手指振戦は交感神経の亢進で起きるんですよね。
博士
よく覚えておるな。紙片を手背に乗せて確認する古典的な診察法もあるぞ。
アユム
では正解は3と5ですね。
博士
その通りじゃ。アクセルを踏んだイメージで所見を整理するとよい。
アユム
低下症と対にして覚えると混乱しないですね。
POINT
甲状腺機能亢進症は代謝と交感神経活動の亢進により、頻脈・発汗過多・体重減少・下痢・手指振戦などが出現します。正解は3と5で、バセドウ病では眼球突出も特徴的です。徐脈・便秘・皮膚乾燥は機能低下症の所見で、亢進と低下は対にして覚えると効率的です。Merseburg三徴や甲状腺クリーゼなどの合併症も合わせて学習しましょう。
解答・解説
正解は 3 ・ 5 です
問題文:甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 5 です。甲状腺ホルモンは基礎代謝と交感神経活動を高めるため、亢進症では頻脈・発汗過多・体重減少・下痢傾向などが生じます。眼球突出(バセドウ病に特徴的)と手指振戦は代表的な身体所見で、逆に徐脈・便秘・皮膚乾燥は甲状腺機能低下症に特徴的です。
選択肢考察
-
× 1. 徐脈
甲状腺ホルモンはβ受容体の感受性を高め、心拍数を増加させます。亢進症では頻脈が典型的で、徐脈は機能低下症の所見です。
-
× 2. 便秘
腸管運動が亢進するため排便回数が増え、下痢傾向になります。便秘は代謝低下が起こる機能低下症で認められます。
-
○ 3. 眼球突出
バセドウ病では自己抗体により眼窩脂肪組織や外眼筋が炎症・浮腫を起こし、眼球突出をきたします。Merseburgの三徴の一つです。
-
× 4. 皮膚乾燥
代謝亢進により発汗が増え皮膚は湿潤・温感があります。皮膚乾燥は甲状腺機能低下症に特徴的な所見です。
-
○ 5. 手指振戦
交感神経の活動亢進により、微細な手指振戦が出現します。紙片を手背に乗せて確認する古典的な診察手技が用いられます。
バセドウ病のMerseburg三徴は甲状腺腫・眼球突出・頻脈です。治療は抗甲状腺薬(チアマゾール、PTU)、放射性ヨウ素、手術があり、無顆粒球症や甲状腺クリーゼなど重篤な合併症に注意します。亢進と低下の所見は対になって問われるので、両方をセットで整理しておきましょう。
甲状腺機能亢進症では頻脈・発汗・体重減少・眼球突出・手指振戦が出現し、低下症とは真逆の所見を示します。
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