術前喫煙と手術部位感染の関連
看護師国家試験 第103回 午前 第49問 / 成人看護学 / 周術期看護
国試問題にチャレンジ
術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
- 1.尿閉
- 2.イレウス(ileus)
- 3.手術部位感染
- 4.ダンピング症候群(dumping syndrome)
対話形式の解説
博士
今日は喫煙と術後合併症について学ぼう。喫煙が手術にどんな影響を与えるか考えてみよう。
サクラ
博士、タバコって肺に悪いってよく聞きますけど、手術にも影響するんですか?
博士
大いに影響するよ。呼吸器合併症だけでなく、創傷治癒や感染リスクにも関わるんだ。
サクラ
どうして喫煙が創部に影響するんですか?
博士
ニコチンによる末梢血管収縮、一酸化炭素による組織酸素供給低下、コラーゲン産生抑制、好中球機能低下など複合的な要因があるんだ。
サクラ
今回の問題の正解は?
博士
正解は3番、手術部位感染(SSI)だよ。喫煙者は末梢循環悪化と組織低酸素から創部の治癒遅延と感染リスクが高まるんだ。
サクラ
他の選択肢はなぜ違うんですか?
博士
1番の尿閉は麻酔や骨盤内手術の影響、2番のイレウスは腸管操作や麻薬性鎮痛薬の影響、4番のダンピング症候群は胃切除術後の食事摂取に関連した合併症だね。いずれも喫煙とは直接関連しないよ。
サクラ
術前にどのくらい禁煙すればいいですか?
博士
4週間以上が推奨されているよ。8週間以上ならさらに効果的だ。24時間でも一酸化炭素濃度は下がるから、できる範囲で禁煙を進めるんだ。
サクラ
呼吸器合併症との関連も強いんですよね?
博士
その通り。喫煙者は気道線毛運動障害と気道分泌物増加で、術後に無気肺や肺炎を起こしやすいんだ。
サクラ
禁煙外来を術前に紹介することもありますね。
博士
そう、最近は術前禁煙支援が広く行われているよ。手術の質を高める重要な介入なんだ。
サクラ
血栓のリスクも上がりますか?
博士
上がるね。喫煙は血液凝固能を高め、術後の深部静脈血栓症や肺塞栓のリスク因子になるよ。
サクラ
禁煙によるメリットは大きいですね。
博士
その通り。SSI予防、呼吸器合併症予防、血栓症予防、創傷治癒促進と多面的な効果があるよ。
サクラ
患者さんへの説明も大事ですね。
博士
ぜひ術前外来で具体的に伝えよう。「手術の成功率が上がります」と前向きに伝えるのがコツだよ。
POINT
術前喫煙は手術部位感染(SSI)と最も関連が強い術後合併症である。ニコチンによる血管収縮、一酸化炭素による組織低酸素、コラーゲン産生抑制が創傷治癒を遅延させる。尿閉・イレウス・ダンピング症候群は喫煙との直接関連は乏しく、術前4週間以上の禁煙がSSI予防に推奨される。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
解説:正解は 3 です。喫煙は術後合併症のリスクを大きく高めることが知られており、特に呼吸器合併症(無気肺・肺炎)、創部の治癒遅延・感染(手術部位感染、SSI)、血栓性合併症との関連が強いとされています。ニコチンによる血管収縮で末梢循環が悪化し、一酸化炭素により組織への酸素供給が低下するため、創部の血流障害とコラーゲン産生不足から感染リスクが高まります。術前4週間以上の禁煙が推奨されます。
選択肢考察
-
× 1. 尿閉
術後尿閉の主な原因は麻酔(特に脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔)、骨盤内手術の影響、長時間臥床、抗コリン薬などです。喫煙との直接的な関連は乏しいです。
-
× 2. イレウス(ileus)
術後イレウス(麻痺性イレウス)は腹部手術による腸管操作・腹膜炎症・麻薬性鎮痛薬・電解質異常などが主な原因です。喫煙との関連性は強くありません。
-
○ 3. 手術部位感染
喫煙は末梢血管収縮、組織酸素供給低下、コラーゲン産生抑制、好中球機能低下を引き起こし、創部の治癒遅延と感染リスクを増大させます。SSIとの関連が強く、術前禁煙はSSI予防の重要な対策です。
-
× 4. ダンピング症候群(dumping syndrome)
ダンピング症候群は胃切除術後に食物が急速に小腸に流入することで起こる症候群です。手術術式に関連した合併症であり、喫煙とは関連しません。
術前禁煙の推奨期間:①4週間以上=呼吸器合併症と創傷治癒の改善、②8週間以上=最も効果的、③24時間以上でも一酸化炭素濃度の低下効果あり。喫煙の周術期影響:呼吸器合併症(線毛運動障害・気道分泌物増加)、創傷治癒遅延(血管収縮・組織低酸素)、SSI増加、血栓塞栓症リスク増。多くの病院で術前禁煙外来を導入。
喫煙が術後合併症に与える影響を理解しているかを問う。特に呼吸器合併症とSSI(手術部位感染)との関連を押さえる。
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