肝切除術後のドレーン排液から合併症を見抜く
看護師国家試験 第113回 午前 第42問 / 成人看護学 / 周術期看護
国試問題にチャレンジ
肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。考えられる原因はどれか。
- 1.黄疸
- 2.出血
- 3.腹水
- 4.胆汁漏
対話形式の解説
博士
今日は肝切除術後のドレーン管理について学ぶぞ。
アユム
ドレーンの色や量から合併症を推測するんですよね。
博士
その通り。術後出血、胆汁漏、腹水、感染の鑑別が主要な観察ポイントじゃ。
アユム
今回は術後3日で黄褐色の排液が出ています。
博士
黄褐色〜緑褐色は胆汁の色じゃな。
アユム
つまり胆汁漏ですか?
博士
そうじゃ。肝切除の切離面や胆管結紮部から胆汁が腹腔内に漏れ出しておる可能性が高い。
アユム
出血との違いはどう見分けますか?
博士
出血なら鮮紅色か暗赤色を呈する。加えて血圧低下や頻脈、Hb低下を伴う。
アユム
腹水はどんな色ですか?
博士
腹水は漿液性で淡黄色〜ほぼ透明じゃ。黄褐色ほど濃くはならない。
アユム
黄疸はドレーンに反映されますか?
博士
黄疸は血中ビリルビン上昇による皮膚・粘膜の黄染で、ドレーン排液の性状を直接決めるものではない。
アユム
胆汁漏はどのくらいの頻度で起こりますか?
博士
肝切除後の5〜10%で認められ、多くはドレナージで自然閉鎖するが、遷延すればENBDや再手術も検討する。
アユム
胆汁性腹膜炎や敗血症に進展する可能性もあるんですね。
博士
そのためドレーン排液量・色・臭い・発熱・腹痛を毎日観察することが重要じゃ。本問は④胆汁漏が正解となる。
POINT
肝切除術後のドレーンから黄褐色〜緑褐色の排液がみられた場合、胆汁漏を第一に疑います。出血なら赤色系、腹水なら淡黄色系と性状が異なり、黄疸はドレーン排液を直接変化させません。胆汁漏は肝切除後の代表的合併症で、ドレナージ継続・ENBD・画像評価で対応します。排液の量・色・臭い・バイタルサインの経時観察が看護の基本です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。考えられる原因はどれか。
解説:正解は 4 です。肝切除後のドレーンから黄褐色〜緑褐色の排液が出た場合、肝切離面や胆管断端からの胆汁漏が最も疑われます。胆汁漏は肝切除術後の代表的合併症で、放置すれば胆汁性腹膜炎や敗血症に進展するため、早期発見・ドレナージ継続が重要です。
選択肢考察
-
× 1. 黄疸
黄疸は血中ビリルビン上昇による皮膚・粘膜の黄染であり、ドレーン排液の性状そのものを直接変化させるわけではありません。胆道閉塞による黄疸では皮膚・尿色で評価します。
-
× 2. 出血
術後出血の場合、ドレーン排液は鮮紅色または暗赤色を呈します。術後3日で黄褐色となる所見は出血では説明できず、ヘモグロビン値・血圧・脈拍と併せて鑑別します。
-
× 3. 腹水
術後早期の腹水は漿液性で淡黄色〜透明の性状を示します。黄褐色の濃い色調とは異なり、量が多くても色から胆汁漏と鑑別できます。
-
○ 4. 胆汁漏
肝切離面や胆管結紮部からの胆汁漏では、ドレーン排液が黄褐色〜緑褐色を呈します。排液中ビリルビン値が血清の3倍以上、または画像で胆汁瘤が確認されれば確定診断となります。
肝切除術後の合併症には胆汁漏(5〜10%)、術後出血、肝不全、腹腔内感染、胸水・腹水貯留があります。胆汁漏の多くはドレナージのみで自然閉鎖しますが、遷延例ではENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)や再手術が必要です。ドレーン管理では排液の量・色・性状・臭いを定期的に観察し、発熱や腹痛・炎症反応と併せて総合的に評価することが重要です。
肝切除術後のドレーン排液の色調から合併症を判別する能力、特に黄褐色排液=胆汁漏という臨床判断を問う問題です。
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