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術後の創傷治癒遅延、どの検査値が危険信号?

看護師国家試験 第113回 午後 第42問 / 成人看護学 / 周術期看護

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第42問

術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値はどれか。

  1. 1.アルブミン2.2g/dL
  2. 2.推算糸球体濾過量<eGFR>62mL/分/1.73m 2
  3. 3.動脈血酸素分圧<PaO 2 >88Torr(room air)
  4. 4.ヘモグロビンA1c<HbA1c>5.5%

対話形式の解説

博士 博士

113回午後42問、検査値から治癒遅延のリスクを見抜く問題じゃ。

アユム アユム

基準値との照合が鍵になりそうですね。

博士 博士

その通りじゃ。まず選択肢2のeGFR62、これはどうじゃ?

アユム アユム

eGFRは60以上が正常ですから、62は問題ないですね。

博士 博士

選択肢3のPaO2 88Torrは?

アユム アユム

基準値80〜100Torrですから正常範囲内です。

博士 博士

選択肢4のHbA1c 5.5%は?

アユム アユム

基準値内です。糖尿病の診断基準6.5%にも届いていません。

博士 博士

では残りは選択肢1のアルブミン2.2g/dLじゃな。基準値はいくつかな?

アユム アユム

3.9〜5.1g/dLです。2.2ならかなり低い、高度低栄養ですね。

博士 博士

アルブミンはなぜ創傷治癒に必要なのかな?

アユム アユム

蛋白質の指標で、コラーゲン合成や線維芽細胞の増殖に必要なアミノ酸を供給するためですよね。

博士 博士

その通りじゃ。低アルブミン血症は浮腫も招き、組織灌流も悪化させる。

アユム アユム

縫合不全や感染のリスクも高まりますね。

博士 博士

創傷治癒遅延の因子は全身と局所に分けて覚えておくとよい。

アユム アユム

全身因子は低栄養、高齢、糖尿病、低酸素、貧血、ステロイド使用などですね。

博士 博士

局所因子は感染、壊死組織、乾燥、異物、血腫など。術前にまとめて評価する視点が必要じゃ。

アユム アユム

Alb、HbA1c、Hb、SpO2、BMIをセットで確認するんですね。

博士 博士

よく整理できておる。検査値は常に基準値と比較する習慣をつけるのじゃぞ。

POINT

術後創傷治癒遅延の判断は検査値を基準値と照らし合わせる基本作業です。本問ではアルブミン2.2g/dLが高度低栄養を示し、コラーゲン合成に必要な蛋白質供給が不足するため治癒遅延の明らかなリスクとなります。eGFR62、PaO2 88、HbA1c 5.5%はいずれも正常範囲です。術前評価では栄養・血糖・酸素化・貧血を総合的に評価し必要な介入を行います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値はどれか。

解説:正解は1です。アルブミン2.2g/dLは著明な低栄養を示し、創傷治癒に必要な蛋白質・アミノ酸の供給が不足するため治癒遅延の明らかなリスク因子となります。

選択肢考察

  1. 1.  アルブミン2.2g/dL

    血清アルブミンの基準値は3.9〜5.1g/dLで、2.2g/dLは高度の低栄養状態を示します。アルブミンは膠質浸透圧維持に加え、創傷治癒に必要な線維芽細胞の増殖やコラーゲン合成の基質となるため、低値では肉芽形成や上皮化が遅延し縫合不全や感染のリスクが高まります。

  2. × 2.  推算糸球体濾過量<eGFR>62mL/分/1.73m 2

    eGFR60mL/分/1.73㎡以上は腎機能が保たれている範囲で、62は正常〜軽度低下程度です。高度腎不全(eGFR30未満)では尿毒素の蓄積や代謝異常で治癒遅延を招きますが、この値では直接的な治癒遅延因子とはいえません。

  3. × 3.  動脈血酸素分圧<PaO 2 >88Torr(room air)

    PaO2の基準値は80〜100Torrで、88Torrは室内気でも正常範囲です。創傷治癒には十分な組織酸素化が必要で、PaO2が60Torrを下回る呼吸不全状態では治癒遅延を招きますが、88Torrでは問題ありません。

  4. × 4.  ヘモグロビンA1c<HbA1c>5.5%

    HbA1cは過去1〜2か月の血糖コントロールの指標で、基準値は4.6〜6.2%、5.5%は正常です。HbA1cが7%以上の高血糖状態では好中球機能低下や微小循環障害で創傷治癒が遅延しますが、この値は問題ありません。

創傷治癒遅延因子は全身因子と局所因子に大別できます。全身因子として低栄養(Alb<3.0)、高齢、糖尿病(HbA1c高値)、低酸素、貧血、ステロイドや抗がん薬使用、循環不全、喫煙。局所因子として感染、壊死組織、異物、乾燥、血腫、機械的刺激などがあります。術前評価ではAlb、HbA1c、Hb、SpO2、BMIを組み合わせて全身状態を把握することが大切です。

術後創傷治癒に影響する全身因子の検査値を、基準値と比較して判断できるかを問う問題です。