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視野が欠ける!48歳男性の症状から考える眼科検査の選び方

看護師国家試験 第106回 午前 第85問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第85問

Aさん(48歳、男性)は、右眼の視野に見えにくい部位があることに気付き眼科を受診した。暗い部屋で見えにくいことはない。頭痛や悪心はない。 Aさんの疾患を診断するのに必要な検査はどれか。2つ選べ。

  1. 1.脳波検査
  2. 2.色覚検査
  3. 3.眼圧測定
  4. 4.眼底検査
  5. 5.眼球運動検査

対話形式の解説

博士 博士

今日は48歳男性の視野欠損の症例じゃ。右眼の視野に見えにくい部分があって、夜盲はなし、頭痛や悪心もなしという状況じゃな。

サクラ サクラ

視野が欠ける…まず何を疑いますか?

博士 博士

代表的なのは緑内障、網膜剥離、網膜動脈閉塞症などじゃ。まず一番疑うのは緑内障じゃな。

サクラ サクラ

緑内障って眼圧が上がる病気ですよね?

博士 博士

正確には「視神経障害による視野障害」が本体じゃ。眼圧が高いことが主な危険因子じゃが、正常眼圧緑内障といって眼圧が正常でも発症するタイプもある。日本人に多いんじゃよ。

サクラ サクラ

中途失明原因の第1位って聞いたことがあります。

博士 博士

その通り。40歳以上の約5%が緑内障といわれるほど多い疾患じゃ。特に開放隅角緑内障は自覚症状がないまま進行するから「沈黙の病」と呼ばれる。

サクラ サクラ

じゃあ症状が出たAさんはかなり進行している可能性が?

博士 博士

視野欠損を自覚するのは中期以降が多い。だから早急な検査と治療が必要じゃ。では何の検査をすべきかの?

サクラ サクラ

眼圧測定は必須ですよね。選択肢3です。

博士 博士

正解じゃ。もう一つは?

サクラ サクラ

眼底検査ですか?網膜と視神経を見るために。

博士 博士

その通り、選択肢4じゃ。眼底検査で視神経乳頭の陥凹拡大、いわゆる「cupping」を見ることができる。緑内障の診断に重要な所見じゃ。

サクラ サクラ

網膜剥離の診断にも眼底検査が必要ですもんね。

博士 博士

その通り。網膜剥離、網膜動脈閉塞症、網膜色素変性症など、眼底検査はあらゆる網膜疾患の基本じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の脳波検査は?脳腫瘍とかで視野が欠けることもありますよね。

博士 博士

確かに後頭葉の病変で半盲が起こることはある。じゃが今回は頭痛も悪心もなく、意識障害もない。脳波はてんかんや意識障害の評価が中心なので、ここでは優先度が低い。

サクラ サクラ

選択肢2の色覚検査はどうですか?

博士 博士

色覚異常は色の見え方の問題じゃが、Aさんは色の訴えはない。後天性色覚異常は視神経疾患や網膜疾患で起こることがあるから関連はあるが、第一選択ではないのう。

サクラ サクラ

選択肢5の眼球運動検査は?

博士 博士

これは複視や斜視、外眼筋麻痺の評価。動眼・滑車・外転神経の麻痺を疑うときに行う。Aさんに複視はないから不要じゃ。

サクラ サクラ

緑内障の治療はどうするんですか?

博士 博士

点眼薬で眼圧を下げるのが基本。プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬など。効果不十分ならレーザー治療や手術じゃ。

サクラ サクラ

看護師としては、点眼指導が重要ですね。

博士 博士

その通り。毎日の確実な点眼と定期受診が視野維持のカギじゃ。高齢者では点眼手技が難しいこともあるから、家族への指導も含めた支援が必要じゃよ。

POINT

片眼性の視野欠損を呈する中年男性の症例では、緑内障や網膜疾患の鑑別が第一に必要であり、眼圧測定と眼底検査がその診断に不可欠な基本検査です。緑内障は日本人の中途失明原因の第1位で、40歳以上の約5%に認められる頻度の高い疾患ですが、開放隅角型では自覚症状がないまま進行するため早期発見が鍵となります。眼底検査では視神経乳頭の陥凹拡大や網膜の病変を直接観察でき、視野検査やOCTとあわせて総合的に診断します。看護師は、緑内障点眼薬の確実な使用支援、生涯にわたる通院継続の動機づけ、家族への点眼手技指導など、慢性疾患管理の視点から患者を支えることが求められます。

解答・解説

正解は 3 4 です

問題文:Aさん(48歳、男性)は、右眼の視野に見えにくい部位があることに気付き眼科を受診した。暗い部屋で見えにくいことはない。頭痛や悪心はない。 Aさんの疾患を診断するのに必要な検査はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3 と 4 です。Aさんは48歳男性で、右眼の視野の一部が見えにくい(視野欠損)という症状があり、夜盲はなく、頭痛や悪心といった急性緑内障発作や頭蓋内圧亢進を示唆する症状もない。片眼性の慢性的な視野欠損を呈する代表的疾患は開放隅角緑内障や網膜剥離・網膜動脈閉塞症・網膜色素変性症など。これらの鑑別に必要な基本検査は眼圧測定(緑内障の診断)と眼底検査(視神経乳頭陥凹、網膜病変の観察)であり、まずこの2つで原因を絞り込むのが標準的な眼科診療の流れである。

選択肢考察

  1. × 1.  脳波検査

    脳波検査はてんかんや意識障害、脳症などの評価に用いる検査。Aさんには頭痛や悪心、意識障害などの症状がなく、中枢神経系の疾患を積極的に疑う所見はないため不要。

  2. × 2.  色覚検査

    色覚検査は色覚異常(先天性・後天性)の評価に用いる。Aさんは色の見え方の異常を訴えていないため、今回の主訴の鑑別には必要性が低い。

  3. 3.  眼圧測定

    視野欠損の代表的原因疾患である緑内障の診断に眼圧測定は必須。緑内障は視神経障害による視野狭窄・欠損をきたし、早期診断・早期治療が失明予防に重要である。

  4. 4.  眼底検査

    眼底検査では視神経乳頭の陥凹拡大(緑内障)、網膜剥離、網膜動脈閉塞、網膜色素変性などの病変を直接観察できる。視野欠損の原因を特定する上で不可欠な検査である。

  5. × 5.  眼球運動検査

    眼球運動検査は複視や斜視、外眼筋麻痺、脳神経障害(動眼・滑車・外転神経)などの評価に用いる。Aさんには複視の訴えがないため優先度は低い。

緑内障は日本人の中途失明原因の第1位。開放隅角緑内障は自覚症状がないまま視野が徐々に欠けていくため「沈黙の病」と呼ばれ、40歳以上の約5%が罹患している。診断には眼圧測定、眼底検査(視神経乳頭の観察)、視野検査(ハンフリー視野計など)、OCT(光干渉断層計)などが用いられる。視野欠損の自覚は中期以降に出るため、定期的な眼科検診が重要。一方、急性閉塞隅角緑内障では頭痛・悪心・眼痛・霧視などの強い自覚症状があり、緊急対応が必要となる。

片眼性の視野欠損を主訴とする症例で、必要な眼科検査を選ばせる問題。緑内障・網膜疾患の鑑別に必要な基本検査を押さえる。