うっ血乳頭はなぜ起きる?頭蓋内圧亢進3徴を解剖からひも解く
看護師国家試験 第114回 午後 第33問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
うっ血乳頭が出現するのはどれか。
- 1.舌癌(tongue cancer)
- 2.貧血
- 3.門脈圧亢進
- 4.頭蓋内圧亢進
対話形式の解説
博士
今回は眼底所見の「うっ血乳頭」について学ぶぞ。視神経乳頭が腫れて見える所見じゃが、どこの病気で出現するか分かるかな?
サクラ
眼の所見だから、目の病気ですか?
博士
意外に思うかもしれんが、答えは「頭蓋内圧亢進」じゃ。脳の中の圧が上がっているサインを目で見ているのじゃよ。
サクラ
どうして頭の中の圧が、目の奥の所見に現れるんですか?
博士
視神経はただの神経ではなく、くも膜下腔とつながった髄鞘鞘で覆われておる。だから頭蓋内圧が高まると、視神経周囲の圧も高まり、軸索流が滞って乳頭が浮腫するのじゃ。
サクラ
網膜の血管も影響を受けますか?
博士
うむ、網膜中心静脈もうっ滞するため、血管が太く蛇行して見え、乳頭周囲に出血や軟性白斑も出る。眼底鏡で乳頭の境界が不鮮明になり、隆起しているのが分かるぞ。
サクラ
頭蓋内圧亢進の症状って、他にどんなものがありますか?
博士
「頭痛・嘔吐・うっ血乳頭」が3徴じゃ。頭痛は朝方に強く、嘔吐は前触れなく噴き出すように起こる。これらが揃ったら脳腫瘍・脳出血・髄膜炎・水頭症などを強く疑う。
サクラ
他の選択肢も見ていきたいです。舌癌はどうですか?
博士
舌癌は口腔内の扁平上皮癌で、しこりや潰瘍が主症状。眼底所見とは関係ないのじゃ。
サクラ
貧血ではどうですか?
博士
貧血では眼瞼結膜の蒼白が目立つが、視神経乳頭が腫れることはない。むしろ網膜が蒼白化して見えることがある程度じゃ。
サクラ
門脈圧亢進と頭蓋内圧亢進、似た言葉ですね。
博士
字面は似ておるが循環系が全く違う。門脈圧亢進では食道静脈瘤、腹水、メズサの頭、脾腫などが特徴。脳とは別系統じゃから、うっ血乳頭は出ない。
サクラ
看護のポイントも教えてください。
博士
頭部を30度挙上し頸部を正中に保つ、努責や咳嗽を避ける、便秘予防、急激な血圧変動を防ぐ。意識レベル・瞳孔・バイタルの観察を継続し、クッシング現象(徐脈と血圧上昇)が出たら緊急対応じゃ。
サクラ
眼底所見ひとつから、脳の状態まで読み取れるって面白いですね。
POINT
うっ血乳頭は頭蓋内圧亢進によって視神経乳頭が浮腫した眼底所見で、頭痛・嘔吐とともに「頭蓋内圧亢進の3徴」を構成します。視神経はくも膜下腔につながる髄鞘鞘で覆われているため、脳腫瘍・脳出血・髄膜炎・水頭症などで頭蓋内圧が上がると、視神経周囲圧も上昇して軸索流が停滞し乳頭が腫脹します。舌癌・貧血・門脈圧亢進では発生機序が異なるため出現しません。看護では頭部30度挙上、頸部正中位、努責回避、瞳孔・意識・バイタルの継続観察、クッシング現象の早期発見が重要です。眼底所見から脳の状態を読み解くこの設問は、解剖生理と症状の関連を統合して理解する力が問われる頻出テーマです。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:うっ血乳頭が出現するのはどれか。
解説:正解は 4 です。うっ血乳頭(乳頭浮腫)は、視神経乳頭が腫脹して境界が不鮮明になり、網膜静脈の怒張や乳頭周囲の出血を伴う眼底所見である。視神経はくも膜下腔とつながる髄鞘鞘で覆われており、頭蓋内圧が亢進すると視神経周囲のくも膜下腔の圧も高まり、視神経内の軸索流が停滞して乳頭が浮腫する。脳腫瘍、脳出血、髄膜炎、水頭症など頭蓋内圧亢進をきたす疾患で出現し、頭痛・嘔吐・うっ血乳頭の3つは「頭蓋内圧亢進の3徴」として国家試験頻出である。
選択肢考察
-
× 1. 舌癌(tongue cancer)
舌癌は舌の扁平上皮癌が大半を占める頭頸部悪性腫瘍で、しこり・潰瘍・接触痛・出血などが主症状。眼底所見であるうっ血乳頭とは無関係である。
-
× 2. 貧血
貧血では眼瞼結膜蒼白や倦怠感、動悸などが主体で、眼底ではむしろ網膜の蒼白化が見られることがあるが、うっ血乳頭は出現しない。
-
× 3. 門脈圧亢進
肝硬変などで門脈圧が上昇すると、食道・胃静脈瘤、メズサの頭、腹水、脾腫、痔静脈怒張などの側副血行路症状を生じるが、頭蓋内とは循環系が異なるためうっ血乳頭は来さない。
-
○ 4. 頭蓋内圧亢進
頭蓋内圧亢進により視神経周囲のくも膜下腔圧が上昇し、軸索流の停滞と網膜中心静脈のうっ滞が起こって視神経乳頭が浮腫する。脳腫瘍・脳出血・髄膜炎・水頭症などが代表的原因である。
頭蓋内圧亢進の3徴は「頭痛(朝方に強い)・嘔吐(噴出性)・うっ血乳頭」で、加えて意識障害、徐脈と血圧上昇(クッシング現象)、外転神経麻痺などが見られる。うっ血乳頭は両側性が原則で、急性期には出現しないこともあるが、慢性経過では視神経萎縮へ進行し視力障害を残す。看護では頭部挙上30度・頸部正中位の保持、努責や咳嗽の回避、急激な血圧変動の予防、瞳孔・意識レベル・バイタルの継続観察が重要となる。眼底検査の所見(視神経乳頭の境界不鮮明・隆起・網膜静脈怒張・出血)も合わせて押さえておくと応用が利く。
うっ血乳頭が「頭蓋内圧亢進の3徴」の一つであることを問う問題。発生機序として視神経周囲のくも膜下腔と頭蓋内腔がつながっている点が理解の鍵。
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