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人工股関節脱臼予防の指導ポイント

看護師国家試験 第110回 午後 第47問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第47問

Aさんは右側の人工股関節全置換術(後方アプローチ)を受けた。Aさんへの脱臼予防の生活指導で適切なのはどれか。

  1. 1.「靴はしゃがんで履いてください」
  2. 2.「右側に身体をねじらないでください」
  3. 3.「椅子に座るときは足を組んでください」
  4. 4.「浴室の椅子は膝の高さより低いものを使ってください」

対話形式の解説

博士 博士

今日は人工股関節全置換術後の生活指導じゃ。後方アプローチの禁忌肢位は何じゃ?

サクラ サクラ

過屈曲、内転、内旋の3つです。

博士 博士

見事じゃ。なぜ後方アプローチだとこの3つが禁忌になるのじゃ?

サクラ サクラ

後方の関節包と外旋筋群を切開するので、後方が弱くなり大腿骨頭が後ろに抜けやすくなるからです。

博士 博士

その通りじゃ。具体的な動作で考えてみようか。足を組むのは?

サクラ サクラ

内転と内旋が同時に起こるので禁忌です。

博士 博士

しゃがむ動作は?

サクラ サクラ

股関節が大きく屈曲する過屈曲なので危険です。

博士 博士

低い椅子は?

サクラ サクラ

座ると股関節が90度以上曲がるので過屈曲になります。膝の高さかやや高い椅子を選ぶべきです。

博士 博士

身体をねじる動作はどうじゃ?

サクラ サクラ

術側を固定したまま上半身を術側方向にねじると、その側の股関節が相対的に内旋する動きになり脱臼リスクがあります。

博士 博士

うむ、だから方向転換するときは体幹全体を動かすよう指導するのじゃ。

サクラ サクラ

前方アプローチだと禁忌肢位が変わるのですよね?

博士 博士

その通り、前方アプローチでは過伸展と外旋が禁忌じゃ。術式で注意点が違うから確認が必要じゃ。

サクラ サクラ

術後3か月が特に脱臼しやすい時期ですね。

博士 博士

そうじゃ。靴はソックスエイドや長柄の靴べらを使って履く工夫も大事じゃ。

サクラ サクラ

日常動作と禁忌肢位を結びつけて指導することが大切ですね。

POINT

人工股関節全置換術の後方アプローチ後は、過屈曲・内転・内旋の3つが禁忌肢位です。右側に身体をねじる動作は右股関節の内旋を誘発するため避け、方向転換は体幹全体で行うよう指導します。足を組む(内転・内旋)、しゃがむ(過屈曲)、低い椅子に座る(過屈曲)などは全て禁忌動作に該当します。術後3か月は脱臼リスクが特に高く、靴の着脱や床の物を拾う動作には補助具を活用し、具体的場面での禁忌肢位回避を繰り返し指導することが脱臼予防の要となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさんは右側の人工股関節全置換術(後方アプローチ)を受けた。Aさんへの脱臼予防の生活指導で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。人工股関節全置換術(THA)の後方アプローチでは、後方関節包と外旋筋群を切開するため、術後は股関節の過屈曲・内転・内旋の3つが禁忌肢位となります。右側に身体をねじる動作は右股関節の内旋を誘発し脱臼につながるため避ける必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  「靴はしゃがんで履いてください」

    しゃがむ動作は股関節を大きく屈曲させる過屈曲肢位であり、後方アプローチ後の禁忌動作です。靴べらやソックスエイドを使用し、膝の高さ程度の椅子に座って履くよう指導します。

  2. 2.  「右側に身体をねじらないでください」

    術側下肢を床につけたまま上半身を右に回すと、右股関節が相対的に内旋する動作となり脱臼リスクがあります。方向転換時は体幹全体を動かすよう指導することが適切です。

  3. × 3.  「椅子に座るときは足を組んでください」

    足を組む動作は股関節の内転・内旋を同時に起こす典型的な禁忌肢位です。両足は肩幅程度に開いて座るよう指導します。

  4. × 4.  「浴室の椅子は膝の高さより低いものを使ってください」

    膝より低い椅子に座ると股関節が90度以上屈曲し過屈曲肢位となります。シャワーチェアは股関節屈曲90度を超えない、膝と同じかやや高い座面の高さを選択します。

後方アプローチ後の禁忌肢位は「過屈曲・内転・内旋」の3点セットで覚えます。一方、前方アプローチでは「過伸展・外旋」が禁忌となり、アプローチによって注意点が異なります。術後3か月は特に脱臼リスクが高いため、靴下や靴を履く動作、床の物を拾う、正座、横座り、低い椅子、浴槽のまたぎ動作などに注意が必要です。

後方アプローチTHAの禁忌肢位を具体的な日常生活動作に落とし込んで指導できるかを問う応用問題です。