StudyNurse

ばね指はなぜ起こる?狭窄性腱鞘炎のメカニズムと治療の原則

看護師国家試験 第112回 午前 第51問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第51問

成人のばね指(snapping finger)で正しいのはどれか。

  1. 1.男性に多い。
  2. 2.原因は腱の炎症である。
  3. 3.好発部位は示指である。
  4. 4.積極的にストレッチを行う。

対話形式の解説

博士 博士

今日は成人のばね指について学ぶぞ。別名を狭窄性腱鞘炎といい、指の曲げ伸ばしでカクンと引っかかる特徴的な疾患じゃ。

サクラ サクラ

バネみたいに跳ねるから「ばね指」なんですね。どこで何が起きているんですか?

博士 博士

指を曲げる屈筋腱は、腱鞘というトンネルの中を滑って走っておる。このトンネルの入口にあるA1プーリーという靱帯と腱の間で摩擦が繰り返されると、炎症で腱や腱鞘が腫れるのじゃ。

サクラ サクラ

腫れた腱が狭くなった腱鞘を通るときに引っかかって、勢いでポンと抜けるわけですね。

博士 博士

その通り。だから原因は「腱の炎症」で、選択肢2が正解じゃ。実は母指に一番多く、次いで中指、環指の順で、示指は少ないぞ。

サクラ サクラ

男女差はあるんですか?

博士 博士

圧倒的に女性に多い。特に妊娠期・産褥期・更年期の女性じゃ。エストロゲンの変動で腱鞘が浮腫みやすくなるためと考えられておる。

サクラ サクラ

ということは、男性に多いという選択肢1は誤りですね。糖尿病とかリウマチでも多いと聞きました。

博士 博士

よく知っておるな。糖尿病患者では腱鞘のコラーゲンが変性しやすく、難治化しやすい。リウマチ患者でも滑膜炎の影響で生じやすいぞ。

サクラ サクラ

治療では積極的にストレッチしたほうが良いんですか?

博士 博士

それが落とし穴でな、炎症期に無理に動かすとかえって悪化する。原則は安静と局所の冷却、NSAIDsによる消炎じゃ。

サクラ サクラ

薬や注射では治らない場合はどうするんですか?

博士 博士

保存療法で効果が乏しければステロイドの腱鞘内注射を行い、それでも再発を繰り返すなら経皮的腱鞘切開術や開放手術でA1プーリーを切離する。

サクラ サクラ

安易に動かさず、まずは休ませる。これが基本なんですね。

博士 博士

そうじゃ。朝のこわばりや弾発現象があれば早めに整形外科受診を勧めるのが看護師の大事な視点じゃよ。

POINT

ばね指は指の屈筋腱と腱鞘の間で起こる狭窄性腱鞘炎で、使いすぎやエストロゲン変動に伴う腱鞘の浮腫が背景にあります。中年以降の女性に多く、好発指は母指、次いで中指で、示指は少ない点が国家試験で問われます。治療の原則は局所の安静とNSAIDs、効果が乏しければステロイドの腱鞘内注射、難治例では腱鞘切開術が検討されます。糖尿病や関節リウマチ患者でも頻度が高く、看護師は弾発現象や朝のこわばりの有無を観察し、早期受診を支援する役割が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:成人のばね指(snapping finger)で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。ばね指は、屈筋腱と腱鞘の間に生じる炎症(狭窄性腱鞘炎)が本態で、腫れた腱が腱鞘を通過するときに引っかかり、指を曲げ伸ばしする際にバネのような弾発現象(スナッピング)が起こる疾患です。手指の使いすぎや、女性ホルモン(エストロゲン)の変動により腱鞘が浮腫を起こしやすくなることが発症に関与します。

選択肢考察

  1. × 1.  男性に多い。

    ばね指は中年以降の女性、特に妊娠期・授乳期・更年期の女性に多く発生する。エストロゲンの変動による腱鞘の浮腫が背景にあると考えられている。

  2. 2.  原因は腱の炎症である。

    指の屈筋腱とそれを包む腱鞘の間で摩擦が繰り返されて炎症が起こり、腱鞘が肥厚・狭窄し腱の通過が妨げられるのが本質。いわゆる狭窄性腱鞘炎である。

  3. × 3.  好発部位は示指である。

    好発指は母指(親指)で、次いで中指、環指(薬指)に多い。示指は比較的発症頻度が低い。

  4. × 4.  積極的にストレッチを行う。

    急性炎症期に強いストレッチや負荷をかけると炎症が悪化するため、治療の基本は安静。保存療法で改善しない場合はステロイドの腱鞘内注射や腱鞘切開術を検討する。

ばね指は糖尿病患者や関節リウマチ患者でも発症頻度が高い。朝のこわばりや、指を伸ばす際に反対の手で補助しないと伸びない弾発現象が特徴。保存療法としてはサポーターによる固定、NSAIDs、ステロイドの腱鞘内注射があり、難治例には経皮的腱鞘切開術や開放手術が行われる。

ばね指の病態(狭窄性腱鞘炎)、好発者(中年以降の女性)、好発指(母指・中指)、治療原則(安静)を整理して問う一問。