自己導尿後に高熱と背部叩打痛 何を疑う?
看護師国家試験 第104回 午前 第53問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系
国試問題にチャレンジ
Aさん(52歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)で広汎子宮全摘術後に排尿障害を発症した。退院に向けて自己導尿の練習を開始したが、39.0℃の発熱と右背部の叩打痛が出現した。 Aさんの症状の原因として考えられるのはどれか。
- 1.膀胱炎(cystitis)
- 2.虫垂炎(appendicitis)
- 3.腎盂腎炎(pyelonephritis)
- 4.骨盤内膿瘍
対話形式の解説
博士
広汎子宮全摘術を受けたAさんが、自己導尿練習中に高熱と右背部叩打痛を訴えたぞ。何を疑うかね?
サクラ
自己導尿に関連した尿路感染が真っ先に浮かびます。
博士
ふむ、ではどの部位の感染と考えるかの?
サクラ
膀胱炎なら排尿時痛や頻尿が中心で、発熱や背部痛は出にくいですよね。
博士
その通りじゃ。膀胱炎で39度の高熱はあまり出ないんじゃよ。
サクラ
すると、もっと上部に感染が広がっているということですか?
博士
ご名答。膀胱から尿管を逆行して腎盂に達した状態が腎盂腎炎じゃ。
サクラ
背部の叩打痛は腎臓の位置と一致しますね。
博士
これをCVA叩打痛と呼ぶ。肋骨と脊柱の角を軽く叩いて誘発される所見じゃ。
サクラ
虫垂炎なら右下腹部痛が特徴ですし、骨盤内膿瘍は下腹部や直腸刺激症状が出ますね。
博士
そうじゃの。広汎子宮全摘では骨盤神経叢が切離されて排尿障害が起きやすいんじゃ。
サクラ
だから自己導尿が必要になり、感染リスクも高まるのですね。
博士
清潔操作・適切な手技・十分な水分摂取を指導することが予防の柱じゃ。
サクラ
今後は導尿時の手洗いやカテーテル管理を丁寧に指導します。
POINT
広汎子宮全摘術後は骨盤神経損傷による排尿障害が生じ、自己導尿が必要になります。導尿手技に伴う尿路感染が膀胱から尿管を逆行し腎盂に達すると急性腎盂腎炎を発症します。高熱・悪寒・片側性CVA叩打痛が三徴で、本症例はこの典型像に一致します。看護では清潔手技の徹底、十分な飲水、症状観察を指導することが重要です。発熱と背部痛を見たら膀胱炎よりも腎盂腎炎を疑う判断力が求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aさん(52歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)で広汎子宮全摘術後に排尿障害を発症した。退院に向けて自己導尿の練習を開始したが、39.0℃の発熱と右背部の叩打痛が出現した。 Aさんの症状の原因として考えられるのはどれか。
解説:正解は3です。広汎子宮全摘術後の排尿障害に対する自己導尿により、尿道から侵入した細菌が膀胱を経て尿管を逆行性に上行し、腎盂に達して急性腎盂腎炎を発症したと考えられます。高熱と片側性のCVA(肋骨脊柱角)叩打痛は急性腎盂腎炎の典型症状です。
選択肢考察
-
× 1. 膀胱炎(cystitis)
膀胱炎では頻尿・排尿痛・尿混濁が主症状で、通常は発熱や背部叩打痛は伴いません。39度の発熱と右背部叩打痛がある時点で膀胱炎単独ではなく、より上部の感染と判断します。
-
× 2. 虫垂炎(appendicitis)
虫垂炎は心窩部痛から始まり右下腹部へ移動する痛み、反跳痛、嘔気などが特徴です。背部叩打痛や自己導尿との関連は乏しく、本症例の症状とは合いません。
-
○ 3. 腎盂腎炎(pyelonephritis)
急性腎盂腎炎では悪寒戦慄を伴う高熱、患側のCVA叩打痛、膿尿が三徴です。自己導尿による逆行性感染で女性に好発し、本症例の経過と症状に合致します。
-
× 4. 骨盤内膿瘍
骨盤内膿瘍は下腹部痛や直腸刺激症状が中心で、背部の叩打痛は典型ではありません。広汎子宮全摘後でも、自己導尿開始という経過と片側性CVA叩打痛から腎盂腎炎が最も疑われます。
広汎子宮全摘術では骨盤神経叢が切離されるため術後排尿障害が生じやすく、自己導尿が必要になります。導尿手技に伴う尿路感染を予防するため、清潔操作・適切な交換・十分な水分摂取を指導します。CVA叩打痛は背部第12肋骨と脊柱のなす角を軽く叩いて誘発される圧痛で、腎盂腎炎の重要徴候です。
広汎子宮全摘術後の自己導尿による逆行性尿路感染を理解し、急性腎盂腎炎の典型症状(高熱・CVA叩打痛)を見抜けるかが問われています。
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