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水腎症の原因疾患を解剖学から理解しよう

看護師国家試験 第105回 午後 第81問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第81問

水腎症(hydronephrosis)の原因で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.前立腺癌(prostate cancer)
  2. 2.陰囊水腫(scrotal hydrocele)
  3. 3.ループス腎炎(lupus nephritis)
  4. 4.神経因性膀胱(neurogenic bladder)
  5. 5.腎アミロイドーシス(renal amyloidosis)

対話形式の解説

博士 博士

今日は水腎症の原因について話そう。尿路の解剖学的理解がカギだよ。

サクラ サクラ

はかせ、水腎症ってどういう状態ですか?

博士 博士

尿路、つまり腎盂・尿管・膀胱・尿道のどこかが閉塞または狭窄することで尿の流出が妨げられ、腎盂や腎杯が拡張する病態だ。放置すれば腎実質が萎縮して腎機能が低下してしまう。

サクラ サクラ

この問題の正解はどれですか?

博士 博士

正解は「前立腺癌」と「神経因性膀胱」の2つだ。

サクラ サクラ

前立腺癌がどうして水腎症を起こすんですか?

博士 博士

前立腺は膀胱頸部と尿道を取り囲む位置にあるよね。癌が大きくなると尿管下端、膀胱三角部、膀胱頸部を圧迫したり浸潤したりして尿の流れを塞ぐ。両側尿管が閉塞すれば両側水腎症となり、腎後性急性腎障害を起こすこともあるんだ。

サクラ サクラ

神経因性膀胱はどうですか?

博士 博士

これは脊髄損傷や脳血管障害、糖尿病などで膀胱の排尿機能が障害された状態だ。尿を溜めたり適切に排出する信号が伝わらず、残尿や尿閉、膀胱内圧上昇が起こる。その結果、膀胱尿管逆流や上部尿路への圧波及で水腎症になるんだ。

サクラ サクラ

「陰嚢水腫」はどうしてダメなんですか?

博士 博士

陰嚢水腫は精巣固有鞘膜腔に漿液が貯留した状態で、尿路とは全く別の解剖学的構造なんだ。尿の流出には影響しないから水腎症の原因ではない。

サクラ サクラ

「ループス腎炎」は?

博士 博士

全身性エリテマトーデスSLEによる糸球体障害だ。タンパク尿や血尿、ネフローゼ症候群や腎不全を起こすが、これは実質性腎疾患で尿路閉塞ではないから水腎症にはならない。

サクラ サクラ

「腎アミロイドーシス」も同じですね。

博士 博士

そのとおり。アミロイド蛋白が糸球体や尿細管、間質に沈着してネフローゼ症候群や腎不全を起こすけど、やはり実質性病変で尿路閉塞ではないから水腎症ではない。

サクラ サクラ

水腎症の他の原因も知りたいです。

博士 博士

系統立てて覚えよう。1尿管内腔閉塞なら結石や血塊、腫瘍。2尿管壁病変なら尿管癌や尿管狭窄。3尿管外圧迫なら後腹膜線維症、婦人科腫瘍、妊娠子宮、腹部大動脈瘤。4下部尿路病変なら前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱癌、尿道狭窄。5機能性なら神経因性膀胱、膀胱尿管逆流。6先天性なら腎盂尿管移行部狭窄などだ。

サクラ サクラ

症状は何ですか?

博士 博士

側腹部痛や背部痛、感染合併時の発熱、血尿などだ。ただし無症状で進行する場合もあって、その場合は腎機能低下で発見される。

サクラ サクラ

治療は?

博士 博士

原因疾患の治療が基本だが、緊急時には経皮的腎瘻造設術や尿管ステント留置で尿路ドレナージを行う。感染合併時には早期の減圧が必要だよ。

サクラ サクラ

尿路の解剖を理解すると原因が整理しやすいですね。

POINT

水腎症は尿路の閉塞や機能性障害で尿が腎盂に貯留し拡張する病態です。前立腺癌は尿管や膀胱頸部を圧迫・浸潤して、神経因性膀胱は尿閉と膀胱内圧上昇で上部尿路を拡張させ水腎症を起こします。陰嚢水腫・ループス腎炎・腎アミロイドーシスは尿路閉塞を伴わないため水腎症の原因にはなりません。治療は原因疾患対応と尿路ドレナージが基本です。

解答・解説

正解は 1 4 です

問題文:水腎症(hydronephrosis)の原因で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 4 です。水腎症は尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)のいずれかが閉塞・狭窄することで尿の流出が妨げられ、腎盂・腎杯が拡張する病態です。原因は大きく閉塞性(結石・腫瘍・前立腺肥大・前立腺癌など)と機能性(神経因性膀胱・膀胱尿管逆流など)に分けられます。前立腺癌は尿管下端や膀胱頸部を圧迫・浸潤して閉塞を起こし、神経因性膀胱は膀胱内の尿が排出されず逆流圧で上部尿路が拡張するため、いずれも水腎症の原因となります。

選択肢考察

  1. 1.  前立腺癌(prostate cancer)

    前立腺は膀胱頸部と尿道を取り囲む位置にあり、前立腺癌の進展により尿管下端・膀胱三角部・膀胱頸部を圧迫または浸潤して尿流を妨げ、水腎症を起こします。

  2. × 2.  陰囊水腫(scrotal hydrocele)

    陰嚢水腫は精巣固有鞘膜腔に漿液が貯留した状態で、尿路とは解剖学的に別系統です。尿の流出には影響せず、水腎症の原因にはなりません。

  3. × 3.  ループス腎炎(lupus nephritis)

    全身性エリテマトーデス(SLE)による糸球体障害で、タンパク尿・血尿・ネフローゼ症候群・腎不全の原因となりますが、尿路閉塞ではないため水腎症は起こしません。

  4. 4.  神経因性膀胱(neurogenic bladder)

    脊髄損傷・脳血管障害・糖尿病などで膀胱の排尿機能が障害され、尿が排出できず残尿・尿閉・膀胱内圧上昇が生じます。その結果、膀胱尿管逆流や上部尿路への圧波及で水腎症を起こします。

  5. × 5.  腎アミロイドーシス(renal amyloidosis)

    アミロイド蛋白が糸球体・尿細管・間質に沈着してネフローゼ症候群や腎不全を起こす実質性腎疾患で、尿路閉塞ではないため水腎症の原因にはなりません。

水腎症の主な原因を系統別に整理すると、(1)尿管内腔閉塞:結石、血塊、腫瘍、(2)尿管壁病変:尿管癌、尿管狭窄、(3)尿管外圧迫:後腹膜線維症、婦人科腫瘍、妊娠子宮、腹部大動脈瘤、(4)膀胱・下部尿路病変:前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱癌、尿道狭窄、(5)機能性:神経因性膀胱、膀胱尿管逆流、(6)先天性:腎盂尿管移行部狭窄、尿管膀胱移行部狭窄、後部尿道弁、などです。症状は側腹部痛・背部痛・発熱(感染合併時)・血尿などで、無症状進行例では腎機能低下や腎後性急性腎障害の原因にもなります。治療は原因疾患の治療と、緊急時には経皮的腎瘻造設術や尿管ステント留置で尿路ドレナージを行います。

水腎症は尿路閉塞・機能性障害で起こることを理解し、尿路の解剖学的通過障害を起こす疾患を選べるかを問う問題です。