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IgA腎症の減塩食指導の工夫

看護師国家試験 第105回 午前 第94問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第94問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。 AさんはIgA腎症(IgA nephropathy)と診断され、塩分1日6gの減塩食が開始された。入院前は塩辛いものが好物で外食が多かったAさんは「味が薄くて食べた気がしない。退院後も続けられるかな」と話している。 このときの対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「つらいですが慣れてきます」
  2. 2.「最初に甘いものを食べてください」
  3. 3.「各食事で均等に塩分を摂取しましょう」
  4. 4.「酸味や香味を利用するとよいでしょう」
  5. 5.「市販のレトルト食品は塩分が少ないので活用するとよいです」

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは入院前は塩辛いものが好物で外食も多かった。1日6gの減塩食が始まったが「味が薄くて食べた気がしない。退院後も続けられるかな」と不安を口にしておる。

アユム アユム

34歳で仕事も忙しいでしょうし、このまま退院しても続かなければ腎機能の悪化につながりますね。

博士 博士

その通りじゃ。CKD・高血圧・IgA腎症のいずれも塩分制限が治療の柱で、継続できなければ意味がない。だからこそ具体的で実行可能な助言が必要じゃ。

アユム アユム

正解はどれでしょうか。

博士 博士

正解は4の「酸味や香味を利用するとよいでしょう」じゃ。酢・レモン・ゆずなどの酸味、しそ・しょうが・にんにくなどの香味、カレー粉・こしょう・山椒などの香辛料、だしのうま味を効かせると、塩分を減らしても満足感のある味になるのじゃ。

アユム アユム

1の「慣れてきます」ではだめですか。

博士 博士

精神論だけでは具体策がない。患者の困りごとに応じた助言とは言えんな。

アユム アユム

2の「最初に甘いものを食べる」はどうですか。

博士 博士

食べる順番と減塩は直接関係ない。むしろ甘みの後は塩味を薄く感じやすく逆効果のこともあるぞ。

アユム アユム

3の「各食事で均等に塩分を摂取」は一見良さそうですが。

博士 博士

1日6g総量を守ることが大事で、均等配分を強制する根拠はない。むしろ主菜で塩味を効かせ副菜は薄味にするなどメリハリをつけた方が満足感が出て継続しやすい。

アユム アユム

5の「市販レトルトは塩分が少ない」は明らかに違いますね。

博士 博士

その通り。加工食品・レトルト・外食・麺類の汁は塩分の塊じゃ。成分表示を見る習慣を指導するのが大切じゃな。

アユム アユム

他にも減塩のコツはありますか。

博士 博士

汁物は具だくさんで汁を残す、しょうゆやソースはかけずに小皿につけて使う、焼き目や焦げ目の香ばしさを活用する、麺類の汁は飲まない、などの工夫があるぞ。

アユム アユム

運送業で外食が多いAさんには、成分表示の見方やコンビニでの選び方も一緒に考えたいです。

博士 博士

素晴らしい視点じゃ。患者の生活背景に合わせた実践的な指導が継続の鍵じゃよ。

POINT

IgA腎症では塩分制限が腎保護と血圧管理の柱で、1日6g未満が目標です。継続のためには酸味・香味・うま味・香辛料の活用という具体的な味覚補償の工夫を指導することが有効です。精神論や根拠のない食べ方、加工食品の推奨は不適切です。外食の多い患者には成分表示の確認方法や減塩メニューの選び方を生活背景に即して指導することが重要です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。 AさんはIgA腎症(IgA nephropathy)と診断され、塩分1日6gの減塩食が開始された。入院前は塩辛いものが好物で外食が多かったAさんは「味が薄くて食べた気がしない。退院後も続けられるかな」と話している。 このときの対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。減塩食の継続には具体的な味覚補償の工夫が有効で、酢やレモンなどの酸味、しそ・しょうが・カレー粉などの香辛料、だしのうま味を活用すると塩分を減らしても満足感のある食事になります。退院後の長期継続を見据えた具体的助言が最も適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  「つらいですが慣れてきます」

    精神論に留まり具体的な解決策がありません。患者の困りごとに寄り添った実行可能な助言とは言えません。

  2. × 2.  「最初に甘いものを食べてください」

    食べる順番と減塩には直接の関係がなく、むしろ甘みの後は塩味を薄く感じやすくなり満足感が下がる可能性があります。

  3. × 3.  「各食事で均等に塩分を摂取しましょう」

    1日6gを守ることは重要ですが、主菜と副菜でメリハリをつけた方が満足感が得られやすく、継続につながります。均等配分を強制する根拠はありません。

  4. 4.  「酸味や香味を利用するとよいでしょう」

    酸味・香味・うま味・香辛料を活用することで塩分を減らしても味に深みが出て、減塩食を継続しやすくなります。具体的で実行可能な助言です。

  5. × 5.  「市販のレトルト食品は塩分が少ないので活用するとよいです」

    市販のレトルト食品や加工食品は保存のために塩分が多く含まれるものが大半で、減塩食では基本的に避けるか成分表示で確認が必要です。

CKDの食事療法基準では、高血圧や浮腫を伴う場合は1日3〜6g未満の食塩制限が推奨されます。減塩の工夫として、(1)だしのうま味を効かせる、(2)レモン・酢・ゆず・かぼすなどの酸味、(3)しそ・しょうが・みょうが・にんにくなどの香味野菜、(4)カレー粉・こしょう・山椒などの香辛料、(5)焼き目・焦げ目の香ばしさを活用、(6)汁物は具だくさんで汁を残す、(7)しょうゆやソースはかけずにつけて使う、などが有効です。外食や加工食品は高塩分のため、成分表示の確認習慣をつけるよう指導します。

IgA腎症患者への減塩食継続のための具体的かつ実行可能な患者教育内容を判断できるかを問うています。