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外科的閉経で起こるホルモン変化

看護師国家試験 第110回 午後 第95問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第95問

Aさん( 47歳、女性、会社員)は、夫( 54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。 Aさんは、経腟超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌( uterine corpus cancer )と診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後12日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。 Aさんに出現している症状の原因はどれか。

  1. 1.エストロゲンの減少
  2. 2.プロラクチンの減少
  3. 3.アンドロゲンの増加
  4. 4.オキシトシンの増加
  5. 5.プロゲステロンの増加

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは卵巣も含めて切除したな。そのあとに出ている症状は何が原因かのう。

サクラ サクラ

ほてりや発汗、不眠、イライラというと更年期のような症状ですね。

博士 博士

そうじゃ。更年期症状の主な原因は何ホルモンじゃ?

サクラ サクラ

エストロゲンの減少です。

博士 博士

その通り。卵巣を摘出したことで急激にエストロゲンが下がる、これを外科的閉経と呼ぶぞ。

サクラ サクラ

自然閉経と比べて症状が強く出るのですか。

博士 博士

うむ、ゆっくり下がるのと急に下がるのでは身体への衝撃が違うのじゃ。

サクラ サクラ

プロラクチンの減少は関係しますか。

博士 博士

プロラクチンは乳汁分泌ホルモンで、更年期症状とは結びつかん。

サクラ サクラ

アンドロゲンやオキシトシンはどうですか。

博士 博士

アンドロゲンの増加は多毛や男性化、オキシトシンは子宮収縮や射乳作用じゃから、これらも該当せん。

サクラ サクラ

プロゲステロンも卵巣由来のホルモンですね。

博士 博士

その通り、摘出後は減少する。症状の主因にはならんぞ。

サクラ サクラ

治療としてはどのようなものがありますか。

博士 博士

ホルモン補充療法や漢方薬、生活指導などがあるが、子宮体癌の既往があるからHRTは慎重に適応を判断するんじゃ。

POINT

両側付属器切除によりエストロゲンが急激に減少し、血管運動神経症状や精神症状が外科的閉経として現れます。プロラクチン、アンドロゲン、オキシトシン、プロゲステロンはいずれも本症状の主因にはなりません。治療にはHRTや漢方、生活指導がありますが、子宮体癌既往があるため慎重な適応判断が必要です。看護師は症状に理解を示し、心理的支援と情報提供を行う姿勢が大切です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん( 47歳、女性、会社員)は、夫( 54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。 Aさんは、経腟超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌( uterine corpus cancer )と診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後12日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。 Aさんに出現している症状の原因はどれか。

解説:正解は1です。両側付属器切除により卵巣が摘出されると、卵巣由来のエストロゲン分泌が急激に消失します。その結果、自律神経調節が乱れ、ホットフラッシュや発汗、不眠、イライラといった更年期様症状(外科的閉経)が短期間で出現します。

選択肢考察

  1. 1.  エストロゲンの減少

    卵巣摘出によりエストロゲン分泌が消失することで、血管運動神経症状(ほてり、発汗)や精神症状(不眠、イライラ)が引き起こされます。

  2. × 2.  プロラクチンの減少

    プロラクチンは下垂体前葉から分泌される乳汁分泌ホルモンで、減少しても更年期症状は生じません。病態と結びつきません。

  3. × 3.  アンドロゲンの増加

    アンドロゲンが過剰になると多毛や無月経、男性化徴候が出現します。Aさんの症状とは一致せず、卵巣摘出後はむしろ減少方向に働きます。

  4. × 4.  オキシトシンの増加

    オキシトシンは下垂体後葉から分泌され、子宮収縮や射乳に関与するホルモンです。ほてりや不眠の原因にはなりません。

  5. × 5.  プロゲステロンの増加

    プロゲステロンも卵巣摘出後は減少します。仮に増加しても更年期様症状を起こす主因にはならず、本症例の症状と結びつきません。

手術による急激な卵巣機能消失は外科的閉経(surgical menopause)と呼ばれ、自然閉経に比べて症状が急激かつ強く現れる傾向があります。対応としてはホルモン補充療法(HRT)の検討や、漢方薬、向精神薬の使用、生活指導(冷却、呼吸法、適度な運動)などが行われます。ただし乳癌や子宮体癌既往者ではHRT適応に注意が必要です。

外科的閉経による更年期様症状の原因ホルモンを正確に理解しているかを問う問題です。