HPV検査のホントのところ 陽性でもがんではない理由
看護師国家試験 第112回 午後 第51問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系
国試問題にチャレンジ
ヒトパピローマウイルス<HPV>検査の説明で正しいのはどれか。
- 1.「子宮頸部の細胞をこすり取って検査します」
- 2.「HPVワクチンを接種した人が対象です」
- 3.「陽性であれば子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断されます」
- 4.「HPV抗原検査も同時に行います」
対話形式の解説
博士
今回はHPV検査、つまりヒトパピローマウイルス検査についての問題じゃ。
サクラ
子宮頸がんの原因ウイルスですよね。
博士
その通り。HPVには100種類以上の型があるが、そのうちハイリスク型と呼ばれる16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型などが子宮頸がんの主因じゃ。
サクラ
HPV検査はどうやって行うんですか?
博士
子宮頸部の細胞をブラシやヘラでこすり取る。従来の細胞診と同じ採取方法じゃ。検体からウイルスのDNAやmRNAを検出する。
サクラ
選択肢1が正解ですね。じゃあ陽性=子宮頸がんなんですか?
博士
そこが重要な誤解ポイントじゃ。HPV感染者は性交経験のある女性の50〜80%に一度は経験するとされるほど『ありふれた感染』じゃ。ほとんどは2年以内に免疫で自然消退する。
サクラ
つまり陽性でも多くは問題ないと?
博士
そうじゃ。持続感染が数年〜数十年続く一部の人で前がん病変(子宮頸部上皮内腫瘍CIN)を経て浸潤がんに至る。HPV陽性はリスクを示すに過ぎず、確定診断には細胞診、コルポスコピー、組織診が必要じゃ。
サクラ
HPVワクチンを打った人だけが検査対象ですか?
博士
違うぞ。検査は性交経験のある女性全員が対象で、ワクチン接種歴は問わん。ワクチンはあくまで感染予防であり、カバーされない型もあるからの。
サクラ
ワクチンについて教えてください。
博士
日本では現在9価ワクチン『シルガード9』が定期接種の標準で、16・18型に加え31・33・45・52・58型など9種のHPVをカバーする。対象は小6〜高1相当の女子。
サクラ
キャッチアップ接種って聞いたことがあります。
博士
積極的勧奨が差し控えられていた世代(1997〜2007年度生まれ)のために、2022年度から時限的にキャッチアップ接種が行われておる。接種を逃した人は活用すべきじゃ。
サクラ
男性も接種した方がいいんですか?
博士
そうじゃ。男性へのワクチン接種は咽頭がん・肛門がんの予防のみならず、パートナー間の感染連鎖を断つうえで重要じゃ。先進国では男性にも推奨が広がっておる。
サクラ
検診の推奨間隔は?
博士
日本では子宮頸がん検診は20歳以上の女性、2年に1回が基本じゃ。近年は細胞診とHPV検査を組み合わせる『コ・テスティング』も普及しつつある。
サクラ
検査を受ける側はどんな不安がありますか?
博士
羞恥心、痛みへの不安、陽性結果への恐怖などじゃ。看護師はプライバシー保護、声かけ、陽性でも直ちにがんではないという正確な情報提供が役割じゃ。
サクラ
ワクチン接種と定期検診の組み合わせで、子宮頸がんはかなり予防できる病気なんですね。
博士
そう、WHOは『排除可能ながん』と位置付けておる。看護師の正しい知識提供が本当に命を救う領域じゃ。
POINT
ヒトパピローマウイルス(HPV)検査は子宮頸部を擦過して採取した細胞からウイルスDNAやmRNAを検出する検査で、手技は従来の細胞診と同様です。ハイリスク型HPVの持続感染が子宮頸がんの主因ですが、検査陽性は感染の有無を示すに過ぎず、がんの確定診断には細胞診・コルポスコピー・組織診が必要です。検査対象はワクチン接種歴に関係なく性交経験のある女性で、HPV抗原検査は臨床では用いません。日本では9価HPVワクチンが定期接種となり、キャッチアップ接種や男性接種も進みつつあります。看護師は検診受診勧奨、ワクチンに関する正確な情報提供、検査時のプライバシー配慮、陽性結果への心理的支援を通じて子宮頸がん予防に大きく寄与できます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:ヒトパピローマウイルス<HPV>検査の説明で正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。HPV検査は子宮頸がん検診の一つで、子宮頸部の細胞をブラシやヘラでこすり取ってサンプルを採取し、HPVのDNAやRNAの有無(主にハイリスク型HPV感染の有無)を調べる検査である。手技は従来の子宮頸部細胞診とほぼ同じで、腟鏡診下に綿棒や専用ブラシで擦過する。HPV検査陽性は感染があることを示すに過ぎず、がんの確定診断には細胞診・組織診(コルポスコピー下生検)を組み合わせる必要がある。
選択肢考察
-
○ 1. 「子宮頸部の細胞をこすり取って検査します」
HPV検査は子宮頸部を擦過して採取した細胞を用いて、HPVのDNAまたはRNAを検出する。細胞診と同様の採取方法で、患者への負担も同等である。最も基本的かつ正しい説明である。
-
× 2. 「HPVワクチンを接種した人が対象です」
HPV検査の対象はワクチン接種歴に関係なく、性交経験のある全女性が対象となる。ワクチンは感染予防、検査は感染の有無を調べるもので目的が異なる。ワクチン接種者でもカバーされていない型の感染リスクは残るため、検診は引き続き推奨される。
-
× 3. 「陽性であれば子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断されます」
HPV検査陽性はハイリスク型HPVの感染があることを示すだけで、がんの確定診断ではない。感染しても多くは2年以内に自然消退し、持続感染から発がんに至るのはごく一部。確定診断には細胞診・コルポスコピー・組織診が必要である。
-
× 4. 「HPV抗原検査も同時に行います」
HPV検査は一般的にウイルスのDNAあるいはmRNAを検出する検査で、抗原検査は臨床では用いられていない。抗原検査を同時に行うという説明は誤り。
子宮頸がんは主にHPVのハイリスク型(16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型など)の持続感染により発生する。日本の検診体制では、従来の細胞診(パパニコロウ染色)に加え、HPV検査やHPV検査併用法(コ・テスティング)の導入が進みつつある。対象年齢は20歳以上の女性で、2年ごとの受診が推奨されている。HPVワクチンは9価ワクチン(シルガード9)が2023年より定期接種の標準となり、小学校6年生〜高校1年生相当の女子が対象、加えて接種機会を逃した世代へのキャッチアップ接種も行われている。男性への接種も感染連鎖抑制の観点から推奨が広がっている。看護師は患者の不安軽減、採取時の羞恥心への配慮、検診受診勧奨、ワクチンに関する正確な情報提供を担う。
HPV検査の方法・対象・判定意義を理解する問題。採取手技は細胞診と同様で、陽性イコールがんではない点が重要。
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