地域包括ケアシステムの植木鉢モデル 5つの要素と前提条件
看護師国家試験 第106回 午後 第56問 / 地域・在宅看護論 / 地域包括ケアシステムと多職種連携
国試問題にチャレンジ
地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。
- 1.都道府県を単位として構築することが想定されている。
- 2.75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
- 3.本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。
- 4.地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。
対話形式の解説
博士
今回は地域包括ケアシステムじゃ。国試頻出で、実務でも避けて通れないテーマじゃぞ。
アユム
2025年問題って、団塊の世代が75歳以上になることですよね。
博士
その通り。団塊の世代が後期高齢者になる2025年を目途に、医療・介護ニーズが急増するため、それに備える仕組みが地域包括ケアシステムじゃ。
アユム
5つの要素って何でしたっけ?
博士
「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つじゃ。これらを一体的に提供するのが肝なのじゃ。
アユム
構築の単位はどうなっているんですか?
博士
市町村が中心じゃ。なぜなら介護保険の保険者が市町村だからじゃ。選択肢1の「都道府県単位」は誤りじゃな。
アユム
日常生活圏域って何ですか?
博士
おおむね30分以内に必要なサービスが提供される範囲、中学校区くらいの単位と考えればよい。
アユム
地域特性にかかわらず同じサービスというのは?
博士
これも誤り。都市部と離島、過疎地では求められるサービスが全く違う。地域包括ケアは「全国統一」ではなく「地域ごとに最適化」じゃ。
アユム
じゃあ正解は「本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件」ですね。
博士
その通り。植木鉢モデルって知っておるか?
アユム
聞いたことありますけど、詳しくは…。
博士
地域包括ケアの概念図じゃ。皿の部分が「本人・家族の選択と心構え」、鉢が「住まいと生活の場」、土が「介護予防・生活支援」、そして3枚の葉が「医療」「介護」「予防」を表しておる。
アユム
皿がないと植木鉢が倒れちゃうんですね。
博士
うまい表現じゃ!まさにその通り。本人・家族が地域で暮らす覚悟がなければ、いくらサービスを整えても機能せんのじゃ。
アユム
地域包括支援センターはこのシステムでどんな役割ですか?
博士
中核機関として、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの3職種が配置されておる。総合相談・権利擁護・包括的継続的ケアマネジメント支援・介護予防ケアマネジメントが4大業務じゃ。
アユム
多職種連携がキーワードですよね。
博士
その通り。医師、看護師、薬剤師、ケアマネ、ヘルパー、MSW、民生委員、地域住民までが連携する。看護師も多職種連携の要となる存在じゃ。
アユム
地域包括ケアは「深化」と「推進」が謳われていましたよね。
博士
よく覚えておるな。2017年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステムの強化」が打ち出された。障害者、子育て、生活困窮者まで含めた「地域共生社会」へと発展しておる。
アユム
高齢者だけじゃなくて、すべての人を包み込む社会へ進化しているんですね。
POINT
地域包括ケアシステムは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する仕組みです。構築単位は市町村が中心で、地域特性に応じた独自の仕組みづくりが求められます。その出発点となる前提条件が「本人・家族の在宅生活の選択と心構え」であり、植木鉢モデルの皿の部分として位置づけられます。看護師は地域包括支援センターや訪問看護、病院など多様な場で多職種連携の要として関わり、超高齢社会の地域医療を支える中心的役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。地域包括ケアシステムは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援の5つの要素を一体的に提供することを目指す仕組みです。その構築の前提条件として、厚生労働省は「本人・家族の在宅生活の選択と心構え」を挙げており、本人・家族の意思が出発点となります。
選択肢考察
-
× 1. 都道府県を単位として構築することが想定されている。
地域包括ケアシステムは、住民に最も身近な保険者である市町村が中心となり、日常生活圏域(おおむね30分以内に必要なサービスが提供される圏域)を単位として構築される。都道府県単位ではない。
-
× 2. 75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
75歳以上人口の増加ペースや地域特性は自治体によって大きく異なり、人口減少下で高齢化が進む地域もある。特定の地域に限定せず、各地域が実情に応じて構築することとされている。
-
○ 3. 本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。
厚生労働省の「地域包括ケア研究会報告書」では、本人・家族が地域・在宅での生活を選択・覚悟することが地域包括ケアシステムの前提条件とされている。植木鉢モデルの「皿」の部分に位置づけられている。
-
× 4. 地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。
都市部と過疎地、高齢化率、地域資源は自治体ごとに異なるため、地域特性に応じた独自のサービス構築が求められる。全国一律ではなく「地域差を前提に地域ごとに最適化」する仕組みである。
地域包括ケアシステムの概念図として有名なのが「植木鉢モデル」。鉢の皿(=前提条件)が「本人・家族の選択と心構え」、鉢本体(=基盤)が「住まいと生活の場」、土(=土壌)が「介護予防・生活支援」、そして3枚の葉が「医療」「介護」「予防(看護)」を象徴する。中核を担うのが地域包括支援センターで、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの3職種が配置され、総合相談・権利擁護・包括的継続的ケアマネジメント支援・介護予防ケアマネジメントの4業務を担う。
地域包括ケアシステムの5要素・構築単位・前提条件を問う問題。「市町村中心」「地域差前提」「本人・家族の選択が出発点」の3点がカギ。
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