一人暮らし高齢者の服薬アセスメント
看護師国家試験 第113回 午後 第67問 / 地域・在宅看護論 / 在宅療養生活を支える看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(78歳、女性、要支援1)は1人で暮らしており、認知機能や嚥下機能の低下はない。訪問看護師は、内科と整形外科から朝2種類、夕3種類の合計5種類の内服薬が処方されていることを確認し、夕方に飲む薬だけが減っていることに気付いた。 訪問看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 1.どの薬を何時に内服しているのかを聞く。
- 2.服薬用のゼリーを用いて内服することを勧める。
- 3.1日に5種類の薬を内服する必要があることを説明する。
- 4.介護予防訪問介護を利用して服薬の介助を依頼することを勧める。
対話形式の解説
博士
博士じゃ。今日は78歳Aさんの服薬問題を見ていくぞ。
サクラ
夕方の薬だけが減っているんですよね。朝の薬が飲まれていないということでしょうか。
博士
そう推測できるのう。じゃが推測だけで動いてはいかん。まず何をすべきじゃ?
サクラ
本人に実際の服薬状況を聞くことだと思います。
博士
その通りじゃ。Aさんは認知機能も嚥下機能も保たれておる。自立した生活者としての尊厳を大切にすることが肝心じゃ。
サクラ
いきなりヘルパーさんを入れるのは違うんですね。
博士
うむ。要支援1で自己管理できる方に過剰介入は禁物じゃ。まずは原因を一緒に探る姿勢が大事じゃのう。
サクラ
服薬ゼリーを勧める選択肢もありましたが、嚥下に問題がないので不要ですよね。
博士
その通り。問題の本質は嚥下ではなく服薬タイミングの認識にある可能性が高いぞ。
サクラ
5種類飲む必要性を説明するのも、まだ早いということですね。
博士
そうじゃ。情報収集なくして指導なし、これが在宅看護の鉄則じゃ。
サクラ
お薬カレンダーなどの工夫も原因を知ってから提案するんですね。
博士
ようわかっておる。本人の強みを活かす支援が一番じゃ。
POINT
本問では、在宅で自己管理している高齢者の服薬トラブルに気付いた際の初動対応が問われました。認知機能・嚥下機能が保たれている場合、看護師はまず本人から具体的な服薬パターンを聴取し、原因を特定することが重要です。そのうえで必要に応じて服薬補助具や介護サービスを検討します。Aさんの残存能力を尊重し、自己管理を継続できるよう支援する姿勢が在宅看護の基本といえます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:Aさん(78歳、女性、要支援1)は1人で暮らしており、認知機能や嚥下機能の低下はない。訪問看護師は、内科と整形外科から朝2種類、夕3種類の合計5種類の内服薬が処方されていることを確認し、夕方に飲む薬だけが減っていることに気付いた。 訪問看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
解説:正解は1「どの薬を何時に内服しているのかを聞く。」です。夕方分のみが減っているという事実だけでは、朝分を飲み忘れているのか、服薬時間を誤認しているのか、あるいは自己判断で調整しているのかを判断できません。まずはAさん本人から具体的な服薬パターンを聴取し、原因をアセスメントすることが在宅看護における第一歩となります。
選択肢考察
-
○ 1. どの薬を何時に内服しているのかを聞く。
認知機能が保たれているAさんから直接情報を得ることで、服薬行動のずれを正確に把握できます。原因が特定できて初めて、教育や環境調整といった次の介入につなげられるため、最初の対応として最適です。
-
× 2. 服薬用のゼリーを用いて内服することを勧める。
嚥下機能の低下がないAさんに服薬補助ゼリーは不要です。問題は飲みにくさではなく服薬タイミングのずれにあるため、介入の方向性がずれています。
-
× 3. 1日に5種類の薬を内服する必要があることを説明する。
服薬の必要性を一方的に説明する前に、現在の服薬状況と本人の理解度を確認する必要があります。原因把握を飛ばした指導は本人の自己管理能力を尊重していません。
-
× 4. 介護予防訪問介護を利用して服薬の介助を依頼することを勧める。
要支援1で自立度が高いAさんに、原因確認前からサービス導入を勧めるのは過剰介入です。残存機能を活かした自己管理支援を優先し、解決困難な場合に限りサービスを検討します。
在宅高齢者の服薬支援では『把握→原因分析→本人と共に方略を検討→必要時に社会資源導入』の流れが基本です。ポリファーマシー対策としてお薬カレンダー、一包化、配薬ボックス、服薬チェック表などが有用で、要支援者ではまず自立支援を優先します。
在宅療養者への服薬支援で、問題に気付いた訪問看護師がまず取るべき情報収集の姿勢を問う一問です。
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