重力を味方につける排痰術—体位ドレナージの仕組み
看護師国家試験 第114回 午前 第24問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
体位ドレナージの目的はどれか。
- 1.関節拘縮の予防
- 2.痛みの軽減
- 3.睡眠の導入
- 4.排痰の促進
対話形式の解説
博士
今日は体位ドレナージについて学ぶぞ。呼吸ケアの基本技術じゃ。
アユム
体位ドレナージって名前は聞きますが、具体的に何のためにするんですか?
博士
目的はずばり「排痰の促進」じゃ。痰が溜まっている肺区域を上にする体位を取り、重力で末梢気道から中枢気道へ痰を移動させるのじゃ。
アユム
重力を使うんですね!例えば右下肺葉に痰が溜まっていたらどうしますか?
博士
右下肺葉が上になるように、左側臥位+頭低位を取る。痰の位置と体位の関係を聴診で見極めるのが看護師の腕の見せ所じゃ。
アユム
ただ寝かせるだけじゃなくて、聴診で痰の位置を確認するんですね。
博士
その通り。さらにスクイージングといって、呼気時に胸郭を圧迫する手技や、タッピング、吸引と組み合わせると効果が高まる。
アユム
他にコツはありますか?
博士
実施前に加湿してネブライザーで気道を潤すと、痰の粘稠度が下がって排出しやすくなる。あとは食後2時間以内は避けるのが基本じゃ。
アユム
食後だと嘔吐や逆流のリスクがあるからですね。禁忌や注意すべき患者はいますか?
博士
頭蓋内圧亢進、循環動態不安定、骨折、出血傾向のある患者では慎重に。1回15〜20分を目安に、バイタルサインと表情を観察しながら行うのじゃ。
アユム
関節拘縮の予防や痛みの軽減は別の方法なんですね。
博士
そうじゃ。関節拘縮にはROM訓練、痛みには鎮痛薬や安楽体位、睡眠には環境調整。それぞれの目的に合った介入を選ぶ必要がある。
アユム
体位ドレナージは寝たきりの患者さんや術後の肺合併症予防にも使えそうですね。
博士
その通り。誤嚥性肺炎や慢性気管支炎、嚢胞性線維症など、痰の貯留が問題になる多くの場面で活用される技術じゃ。
アユム
重力という物理の力を看護に応用しているのが面白いです。
POINT
体位ドレナージは、痰が貯留している肺区域を上方に位置させることで重力を利用し、末梢気道から中枢気道へ痰を移動させて排痰を促進する肺理学療法です。聴診で痰の位置を確認し、適切な体位を選択することが効果の鍵となります。スクイージング、加湿、咳嗽介助、吸引などと組み合わせ、食後2時間以内や循環動態不安定例を避けて実施するのが基本です。呼吸器疾患患者・寝たきり患者・術後患者などで広く活用される基本技術であり、看護師は安全に効果的に実施できる知識と手技を身につける必要があります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:体位ドレナージの目的はどれか。
解説:正解は 4 です。体位ドレナージは、痰の貯留している肺区域を上方に位置させることで重力を利用し、末梢気道から中枢気道(太い気管支・気管)へ痰を移動させ、排痰を促進する肺理学療法である。気道分泌物の多い患者、誤嚥性肺炎、術後肺合併症予防、寝たきり患者などで広く用いられる。
選択肢考察
-
× 1. 関節拘縮の予防
関節拘縮の予防には体位変換やROM訓練(関節可動域訓練)、良肢位の保持などが用いられる。体位ドレナージとは目的・手技ともに異なる。
-
× 2. 痛みの軽減
疼痛緩和には鎮痛薬投与、安楽な体位の工夫、温罨法・冷罨法などが用いられる。体位ドレナージは特定の体位を一定時間保持するため、むしろ患者にとって負担となる場合がある。
-
× 3. 睡眠の導入
睡眠導入には環境調整や不眠の原因除去、必要時の睡眠薬使用などが行われる。体位ドレナージは患側肺を上にする特殊な体位を取るため、安眠とは結びつかない。
-
○ 4. 排痰の促進
重力を利用して末梢気道の痰を中枢気道へ移動させ、咳嗽や吸引と組み合わせて排痰を促す。聴診で痰の貯留部位を確認し、その区域が上になる体位を選択するのが基本。
体位ドレナージはスクイージング(呼気時に胸郭を圧迫)、ハフィング(強制呼気)、咳嗽介助、吸引などと組み合わせて行うと効果的。実施前に気道の加湿(ネブライザー吸入など)を行い痰の粘稠度を下げると排痰効率が上がる。実施は食後2時間以内を避け、循環動態の不安定な患者・頭蓋内圧亢進・骨折・出血傾向などでは禁忌または慎重投与となる。1回15〜20分程度を目安とし、患者の状態を観察しながら行う。
肺理学療法の基本である体位ドレナージの目的を問う問題。重力を利用した排痰促進という核心を押さえる。
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