StudyNurse

経鼻経管栄養、なぜ「投与直前」に胃液を確認するのか

看護師国家試験 第114回 午後 第22問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第22問

経鼻経管栄養法で胃液が吸引できることを確認するタイミングはどれか。

  1. 1.覚醒時
  2. 2.入眠前
  3. 3.経管栄養剤の投与直前
  4. 4.経管栄養剤の投与終了時

対話形式の解説

博士 博士

今日は経鼻経管栄養法の安全管理について学ぶぞ。胃液を吸引して確認するタイミングはいつじゃろう?

アユム アユム

えっと…投与の前ですよね。でも「直前」じゃないとダメなんですか?覚醒時にチェックしておけばいい気もして。

博士 博士

そう思いたくなるじゃろうが、チューブは想像以上に動くのじゃ。咳・嘔気・体動・テープのはがれで簡単に位置がずれる。

アユム アユム

じゃあ朝確認しても、夕方には気管に入っているかもしれない、ということですか?

博士 博士

その通り。だから「これから栄養剤を入れる、まさにその直前」に確認することが鉄則なのじゃ。

アユム アユム

気管に入っていたらどうなるんですか?

博士 博士

栄養剤が肺に流れ込み、誤嚥性肺炎や窒息を起こす。重症化すれば命に関わる。これを防ぐのが看護師の最大の役割じゃ。

アユム アユム

胃液はどう見れば「胃のもの」とわかるんですか?

博士 博士

胃液は通常、無色〜黄褐色〜淡緑色で酸性じゃ。pH試験紙で5.5以下を示せばより確実。シリンジで吸引できないときは、体位を変えたり少量の空気を入れて引き直すこともある。

アユム アユム

気泡音を聴く方法もあると聞きましたが?

博士 博士

心窩部に聴診器を当てて空気を入れる方法じゃな。ただし気管内でも音が聞こえることがあり、単独では信頼性が低い。胃液吸引と組み合わせて使うのが基本じゃ。

アユム アユム

ほかに投与前のチェック項目はありますか?

博士 博士

体位は30度以上のファウラー位、チューブ固定の長さに変化がないか、バイタルサインと呼吸状態、腹部膨満や残胃量の確認も大切じゃ。

アユム アユム

残胃量って、前回分が残っていないか見るんですね。

博士 博士

そうじゃ。前回の栄養剤が消化されず残っていると、注入で嘔吐や誤嚥を招く。残量が多ければ投与延期や流量調整を検討する。

アユム アユム

ひとつの手技でも、確認することがたくさんあるんですね。

博士 博士

そう。経管栄養は日常的なケアじゃが、毎回が「重大事故と隣り合わせ」と意識することが安全の出発点なのじゃ。

POINT

経鼻経管栄養法では、留置チューブの先端位置が体動や咳嗽で容易にずれるため、投与のたびに胃内留置を確認することが必須です。胃液をシリンジで吸引し、酸性の胃内容物が引けることを確かめる「投与直前」のチェックは、誤嚥性肺炎や窒息といった重篤な合併症を防ぐ最重要の安全行動です。気泡音聴取やpH測定を併用するとより確実で、加えて体位・固定長・残胃量・バイタルサインの確認も欠かせません。日常的に行われるケアであっても、一手順を省略すれば致死的な事故につながり得るため、毎回のルーチンとして「直前確認」を徹底する姿勢が看護師に求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:経鼻経管栄養法で胃液が吸引できることを確認するタイミングはどれか。

解説:正解は 3 です。経鼻経管栄養法では、留置されたチューブの先端が確実に胃内にあることを確かめてから栄養剤を注入する必要がある。チューブは挿入時にX線で位置確認しても、体動・嘔気・咳嗽・固定テープのずれなどにより気管・食道に逸脱する可能性がある。栄養剤や薬液を気道へ誤注入すると重篤な誤嚥性肺炎や窒息を招くため、毎回の投与前にシリンジで胃液を吸引し、性状(黄褐色〜緑色の酸性内容物)を確認することが安全管理の基本となる。

選択肢考察

  1. × 1.  覚醒時

    覚醒時に確認しても、その後の体動や時間経過でチューブ位置がずれる可能性があり、投与時の安全を保証できない。位置確認は投与の直前に行うのが原則である。

  2. × 2.  入眠前

    入眠前に確認すると、睡眠中の寝返りや咳嗽でチューブがずれる恐れがある。投与と切り離されたタイミングでの確認は意義が乏しい。

  3. 3.  経管栄養剤の投与直前

    投与直前にシリンジで胃液を吸引し、酸性の胃内容物が引けることを確認することで、その時点での先端位置が胃内にあると判断できる。誤嚥性肺炎・窒息予防の最重要ステップである。

  4. × 4.  経管栄養剤の投与終了時

    投与終了時に確認しても、すでに栄養剤が注入された後では誤注入を防げない。確認は必ず投与前に行う必要がある。

胃液の吸引のほか、心窩部に聴診器を当てて空気注入時の気泡音を聴取する方法も併用されることがあるが、気泡音単独では信頼性が乏しいとされる。pH試験紙で吸引液が酸性(pH5.5以下)であることを確かめる方法も推奨される。投与前にはバイタルサイン、呼吸状態、腹部膨満、嘔気の有無、体位(30度以上のファウラー位)、チューブの固定位置と長さを総合的に確認することが重要である。

経鼻経管栄養における胃内留置確認のタイミングを問う必修問題。誤注入による重篤な合併症を避けるため「投与直前」が必須である点が要。