StudyNurse

経腸栄養の宿敵!下痢はなぜ起こるのか

看護師国家試験 第107回 午前 第21問 / 必修問題 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第21問

経腸栄養剤の副作用( 有害事象 )はどれか。

  1. 1.咳嗽
  2. 2.脱毛
  3. 3.下痢
  4. 4.血尿

対話形式の解説

博士 博士

今日は経腸栄養剤の副作用について考えるのじゃ。経腸栄養というのは何か覚えておるかな?

サクラ サクラ

はい、口から食べられない患者さんに、経鼻胃管や胃瘻から栄養剤を注入する方法ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。さて、経腸栄養剤の合併症は大きく3つに分かれる。消化器系・代謝性・機械的、この3つじゃ。

サクラ サクラ

3つもあるんですね。この中で一番よく起こるのは何ですか?

博士 博士

消化器系、とりわけ下痢じゃ。報告によっては経腸栄養を受けている患者の2〜5割に下痢がみられるとされておる。

サクラ サクラ

そんなに多いんですか!なぜ下痢になるんでしょう?

博士 博士

理由は複数ある。栄養剤の浸透圧が高いこと、投与速度が速すぎること、栄養剤の温度が低いこと、細菌汚染、乳糖不耐症、抗菌薬併用による腸内細菌叢の乱れなどじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、看護師として気をつけることは何ですか?

博士 博士

栄養剤を人肌程度に温めて、滴下速度は毎時100〜200mLくらいからゆっくり開始すること。そして清潔操作で扱うことじゃ。イルリガートルやチューブも衛生管理が重要じゃぞ。

サクラ サクラ

選択肢の咳嗽や誤嚥は関係ないんですか?

博士 博士

鋭い質問じゃ。誤嚥は機械的合併症に入る。経腸栄養剤が気道に流入すると咳嗽や誤嚥性肺炎を生じるから、頭部挙上30度以上での投与が推奨されておる。

サクラ サクラ

脱毛や血尿は経腸栄養とは関係ないんですね。

博士 博士

その通り。脱毛は抗がん薬などで、血尿は尿路系疾患でみられる症状じゃ。経腸栄養剤の副作用としては非典型的じゃな。

サクラ サクラ

代謝性合併症は具体的にどんなものがありますか?

博士 博士

高血糖・電解質異常・脱水、それから長期絶食後に急に栄養を入れるとrefeeding症候群といって低リン血症や心不全を起こすこともある。慎重に開始することが大事じゃ。

POINT

経腸栄養剤の副作用で最も頻度が高いのは下痢です。浸透圧・投与速度・温度・衛生管理・乳糖不耐など多因子が関与するため、看護師は温度調整、滴下速度の漸増、清潔操作の徹底を行います。合併症は消化器系・代謝性・機械的の3カテゴリーで整理して覚えるとよく、誤嚥予防のための頭部挙上やrefeeding症候群への注意も臨床で重要なポイントです。必修問題として頻出ですので、下痢=経腸栄養の代表的合併症と確実に押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:経腸栄養剤の副作用( 有害事象 )はどれか。

解説:正解は3の「下痢」です。経腸栄養とは、経口摂取が困難な患者に対して、経鼻胃管・胃瘻・腸瘻などを通じて消化管に直接栄養剤を投与する栄養補給法です。経腸栄養剤に伴う合併症は大きく①消化器系合併症、②代謝性合併症、③機械的合併症の3つに分類されます。このうち最も頻度が高いのが下痢であり、報告によっては経腸栄養施行患者の2〜5割に認められるとされます。下痢が起こる機序としては、栄養剤の浸透圧が高いこと(特に半消化態栄養剤・成分栄養剤)、投与速度が速すぎること、栄養剤温度が低いこと、乳糖不耐症、栄養剤の細菌汚染、抗菌薬併用による腸内細菌叢の乱れなど多岐にわたります。看護師は滴下速度を適切に調整し、人肌程度に温めた栄養剤を衛生的に投与することが重要です。

選択肢考察

  1. × 1.  咳嗽

    咳嗽は経腸栄養剤そのものの副作用ではありません。ただし誤嚥や逆流によって栄養剤が気道に流入した場合には咳嗽や誤嚥性肺炎を生じることがあり、これは機械的合併症に分類されます。

  2. × 2.  脱毛

    脱毛は経腸栄養剤の副作用として典型的ではありません。抗がん薬投与など他の治療による副作用として知られています。

  3. 3.  下痢

    経腸栄養剤の合併症として最も頻度が高いのが下痢です。高浸透圧、急速投与、低温、細菌汚染、乳糖不耐などが原因となります。看護師は滴下速度・温度・衛生管理に注意します。

  4. × 4.  血尿

    血尿は尿路系の疾患や出血性膀胱炎などでみられる症状で、経腸栄養剤に特有の副作用ではありません。

経腸栄養の合併症は、消化器系(下痢・便秘・腹部膨満・嘔吐)、代謝性(高血糖・電解質異常・脱水・refeeding症候群)、機械的(チューブ閉塞・誤嚥・胃食道逆流・鼻翼や皮膚の損傷)に分けて覚えましょう。下痢予防には、栄養剤を人肌程度に温め、投与速度を100〜200mL/時程度からゆっくり開始し、清潔操作で投与することが基本です。持続的に下痢が続く場合は食物繊維入りや半固形化栄養剤への変更、止痢薬の使用も検討されます。

経腸栄養剤の三大合併症(消化器系・代謝性・機械的)のうち、最も頻度が高いものを問う必修問題です。