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看護師の守秘義務—保助看法第42条の2を読み解く

看護師国家試験 第112回 午後 第5問 / 必修問題 / 看護における倫理と法律

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第5問

看護師は正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定している法律はどれか。

  1. 1.刑法
  2. 2.医療法
  3. 3.保健師助産師看護師法
  4. 4.看護師等の人材確保の促進に関する法律

対話形式の解説

博士 博士

今日は看護師の守秘義務について学ぶぞ。職業倫理の核となる知識じゃ。

サクラ サクラ

守秘義務ってよく聞きますが、どこに書かれているんですか?

博士 博士

保健師助産師看護師法、通称『保助看法』の第42条の2に明記されておる。『正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない』とあるのじゃ。

サクラ サクラ

刑法には書かれていないんですか?

博士 博士

ここが引っかけポイントじゃ。刑法第134条には医師、薬剤師、助産師、弁護士などの守秘義務が規定されているが、看護師・保健師はここには入っておらぬ。

サクラ サクラ

助産師は刑法で、看護師は保助看法なんですね。ややこしいです。

博士 博士

歴史的経緯じゃ。助産師(旧称:産婆)は医師と同じく古くから独立した職能として刑法で守秘義務を規定された。看護師は後に保助看法に独自の条文が追加された、というわけじゃ。

サクラ サクラ

違反したらどうなりますか?

博士 博士

6月以下の懲役または10万円以下の罰金じゃ。さらに行政処分として免許取消や業務停止もあり得る。

サクラ サクラ

資格をやめた後も守秘義務は続くんですか?

博士 博士

うむ、条文にも『でなくなった後においても、同様とする』とある。退職しても過去の業務で得た情報を漏らしてはならぬ。

サクラ サクラ

『正当な理由』ってどんな場合ですか?

博士 博士

本人の同意がある場合、法令に基づく届出義務(感染症法、児童虐待防止法など)、緊急の生命保護、司法手続きでの証言などじゃ。

サクラ サクラ

チーム医療での情報共有は守秘義務違反になりませんか?

博士 博士

必要な範囲での共有は業務上適正であり違反にはならぬ。ただし無関係な同僚との雑談、SNSへの投稿、家族や友人への情報漏えいは完全にアウトじゃ。

サクラ サクラ

SNSは怖いですね。匿名でもばれると聞きます。

博士 博士

実際に看護学生や看護師が患者写真や症例を投稿して処分を受けた事例が多数ある。匿名でも特定可能な情報は絶対禁止じゃ。

サクラ サクラ

個人情報保護法との関係はどうですか?

博士 博士

個人情報保護法は一般的な個人情報の取扱いを定め、医療分野では厚生労働省のガイダンスが上乗せ基準を示しておる。守秘義務は刑事・行政責任、個人情報保護法は組織・民事責任という視点で重層的に守られておるのじゃ。

サクラ サクラ

患者さんの秘密を守ることが、信頼関係の基盤なんですね。

博士 博士

その通り。守秘義務は単なる法律ではなく、看護師として患者から信頼される前提条件じゃ。

POINT

看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法第42条の2に規定されており、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならず、資格を失った後も義務は継続します。違反時には6月以下の懲役または10万円以下の罰金が科され、行政処分の対象にもなります。ただし助産師の守秘義務は刑法第134条第1項に規定されており、条文の所在が異なる点は国試頻出の引っかけです。医療現場では感染症法や児童虐待防止法に基づく届出、本人同意、緊急時の生命保護などが『正当な理由』に該当し、チーム医療での必要な情報共有も認められます。SNSへの投稿、院外での雑談、家族への無断開示は重大な違反であり、看護師としての信頼関係の基盤を揺るがすため、倫理的にも法的にも厳守が求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:看護師は正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定している法律はどれか。

解説:正解は 3 の保健師助産師看護師法です。看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法第42条の2に明記されており、『保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなった後においても、同様とする』と規定されています。違反時は6月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。助産師の守秘義務は同法ではなく刑法第134条第1項で規定されている点は要注意です。

選択肢考察

  1. × 1.  刑法

    刑法第134条は医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士などの守秘義務を規定するが、看護師・保健師はこの条文には含まれていない。看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法に独立して規定されている。

  2. × 2.  医療法

    医療法は医療提供施設の開設・管理、医療計画、医療安全などを定めた法律であり、個別職種の守秘義務規定は含まれない。

  3. 3.  保健師助産師看護師法

    第42条の2で保健師・看護師・准看護師の守秘義務を規定しており、資格を失った後も義務は継続する。違反時の罰則(6月以下の懲役または10万円以下の罰金)も同法に定められる。

  4. × 4.  看護師等の人材確保の促進に関する法律

    看護職員の就業促進、処遇改善、ナースセンターの設置などを定める法律。守秘義務に関する規定はない。

守秘義務の『正当な理由』には、本人の同意がある場合、法令に基づく届出(感染症法、児童虐待防止法、医療過誤での司法手続きなど)、第三者の生命保護が必要な場合などが該当する。チーム医療での情報共有も適正な範囲であれば許容される。助産師の守秘義務は刑法第134条第1項に規定され保助看法ではない点は引っかけで問われやすい。また個人情報保護法・医療情報に関する各種ガイドラインも併せて理解が必要で、電子カルテの閲覧権限管理、SNSへの投稿禁止、家族からの問い合わせ対応など、実務上の遵守事項は多岐にわたる。

看護師の守秘義務の根拠法を問う必修問題。『保助看法第42条の2』を押さえ、助産師は刑法第134条で規定される違いに注意する。