思春期の心はゆらぐ!アンビバレントな感情の正体
看護師国家試験 第107回 午前 第7問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル
国試問題にチャレンジ
思春期にみられる感情の特徴はどれか。
- 1.情緒的に安定し穏やかになる。
- 2.思い通りにならないと泣き叫ぶ。
- 3.親に対して強い愛情表現を示す。
- 4.依存と独立のアンビバレント< 両価的 >な感情をもつ。
対話形式の解説
博士
今日は思春期の感情について学ぶぞ。君たちも通ってきた道じゃろ?
サクラ
思春期…中学生とか高校生の頃ですね。感情の起伏が激しかったような気がします。
博士
その通り!思春期はおおよそ10歳代で、身体的には第二次性徴が進み、心理的には『自分とは何者か』を模索する時期じゃ。
サクラ
エリクソンの発達課題でいうと?
博士
『自我同一性の確立 対 同一性拡散』じゃ。自分という存在を確立できるか、混乱するかの時期なのじゃ。
サクラ
それで感情の特徴は『依存と独立のアンビバレントな感情』なんですね。
博士
うむ。アンビバレンスとは『両価性』、つまり同じ対象に対して相反する感情を同時に抱く状態じゃ。精神分析学者のブロイラーが提唱した概念じゃよ。
サクラ
具体的にはどんな感じですか?
博士
『親から独立したい、自由になりたい』と思う一方、『守ってほしい、甘えたい』という気持ちも残っておる。この矛盾が反抗や葛藤、不安として現れるのじゃ。
サクラ
思春期の反抗期ってそういうことだったんですね!
博士
そうじゃ。親に反発しながらも本心では頼りたい。友人関係でも同じような揺れが見られる。
サクラ
他の選択肢も見てみましょう。情緒的に安定するのは?
博士
それは成人期以降、特に中年期の特徴じゃ。社会的役割が確立し、感情のコントロールも上手くなってくる。
サクラ
泣き叫ぶのは?
博士
幼児期前期の2~3歳、いわゆるイヤイヤ期じゃ。自我が芽生えるが感情制御がまだ未熟じゃからの。
サクラ
親に強い愛情表現は?
博士
乳児期から幼児期の愛着形成の時期じゃ。ボウルビィの愛着理論で有名じゃな。
サクラ
発達段階ごとに感情の特徴が違うんですね!
博士
その通り。人間の発達は段階的で、それぞれに課題と特徴がある。看護師はこの発達段階を理解して関わることが大事じゃ。
サクラ
思春期の患者さんにはどう接すればいいですか?
博士
プライバシーを尊重し、自主性を認める関わりが大切じゃ。頭ごなしに指示するのではなく、本人の意思を確認しながら進める。治療拒否があっても感情の一部として受け止める姿勢が重要じゃよ。
サクラ
思春期の摂食障害や自傷行為もこの時期に多いですよね。
博士
鋭い!身体と心のギャップが大きい時期じゃからこそ、心の問題が現れやすい。早期発見と支援がカギじゃ。
サクラ
自分の思春期を振り返りながら学べるテーマですね。
博士
まさに。発達は自分の経験とも重ねて理解するとよいぞ。
POINT
思春期(10歳代)は、身体的な第二次性徴と心理社会的な自我同一性の確立という二重の変化を経験する発達段階である。エリクソンは『自我同一性 対 同一性拡散』を課題とし、親からの心理的自立を目指す一方で依存も残るため、アンビバレントな感情(両価性)が特徴となる。幼児期の泣き叫ぶ感情、乳児期の愛着表現、成人期の情緒的安定と区別して発達段階を整理することが重要。看護では、自主性とプライバシーを尊重し、葛藤を成長過程として受け止める姿勢が求められる。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:思春期にみられる感情の特徴はどれか。
解説:正解は 4 です。思春期(おおよそ10歳代)は、身体的には第二次性徴による急激な成熟が進み、心理社会的にはエリクソンの発達課題として『自我同一性(アイデンティティ)の確立 対 同一性拡散』が課題となる時期である。親からの心理的自立を目指しながらも、経済的・情緒的にはまだ依存せざるを得ないため、『親から離れたい』『でも守ってほしい』という相反する感情(アンビバレンス=両価性)を同時に抱えやすい。これに伴い、反抗・葛藤・不安・孤独感など情緒の揺れが大きくなるのが特徴である。
選択肢考察
-
× 1. 情緒的に安定し穏やかになる。
成人期(中年期以降)に見られる特徴で、思春期は情緒の起伏が大きいのが特徴。
-
× 2. 思い通りにならないと泣き叫ぶ。
幼児期前期(2~3歳、いわゆるイヤイヤ期)の特徴で、自我の芽生えと感情制御の未熟さが背景にある。
-
× 3. 親に対して強い愛情表現を示す。
乳児期から幼児期にかけての愛着形成の時期の特徴。思春期はむしろ親への反抗が強まる。
-
○ 4. 依存と独立のアンビバレント< 両価的 >な感情をもつ。
思春期特有の感情で、自立欲求と依存欲求が同時に存在することで葛藤が生じる。
エリクソンの発達段階論では、思春期・青年期の心理社会的課題は『自我同一性の確立』であり、『自分は何者か』を模索する時期。アンビバレンスは精神分析学者ブロイラーが提唱した概念で、同一対象に対する相反する感情の共存を指す。看護では、思春期患者の治療拒否や感情の揺れを成長過程の一部として理解し、プライバシーと自主性を尊重した関わりが求められる。
エリクソンの発達段階論と思春期の心理社会的特徴を理解しているかを問う問題。
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