思春期の心理的離乳 〜友人の存在の大きさ〜
看護師国家試験 第108回 午前 第8問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル
国試問題にチャレンジ
思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。
- 1.教師
- 2.祖父母
- 3.友人
- 4.両親
対話形式の解説
博士
今日は思春期の心理社会的発達について学ぶぞ。小児看護や精神看護の基礎じゃ。
アユム
思春期って何歳くらいのことですか?
博士
第二次性徴の発現を機に始まる時期で、おおむね10〜18歳、小学校高学年から高校生くらいじゃ。個人差はあるがな。
アユム
この時期の特徴は?
博士
まず身体的には第二次性徴で大きく変化する。心理的には、エリクソンの発達課題でいう「同一性(アイデンティティ)対同一性拡散」の段階にあたる。
アユム
アイデンティティの確立ですね。
博士
その通り。「自分は何者か」「自分は何をしたいのか」を模索する時期じゃ。同時に、それまで依存していた親から心理的に離れる「心理的離乳」のプロセスが進む。
アユム
親から離れて、誰と近くなるんですか?
博士
そう、同世代の仲間、つまり友人じゃ。正解は選択肢3の友人じゃな。
アユム
どうして友人が大事になるんでしょう?
博士
自立への不安を埋めるため、同じ価値観や体験を共有できる仲間との強い絆が必要になるんじゃ。サリヴァンはこれを「チャムシップ」と呼んだ。秘密を共有し、悩みを打ち明けられる親友関係じゃな。
アユム
ピアグループとも呼ばれますね。
博士
よく知っておるな。ピア(peer)は仲間の意味で、同年代・同じ経験を共有する集団のこと。思春期後半になると恋愛感情を含む異性関係にも発展していく。
アユム
1の教師は?
博士
教師は学童期までは尊敬・依存の対象だが、思春期には心理的離乳の対象となり距離を取るようになる。反抗期もこの時期に現れやすい。
アユム
2の祖父母は?
博士
祖父母も幼少期には親密な存在じゃが、思春期には同世代優先となり、距離ができる傾向にある。
アユム
4の両親は?
博士
両親は乳幼児期〜学童期までは最も親密な存在じゃが、思春期には反発や衝突が起こりやすく、心理的距離が広がる。これを第二反抗期とも呼ぶ。
アユム
反抗期って必要なんですか?
博士
心理的離乳の一環として重要なプロセスじゃ。親との葛藤を通じて自己を確立していく過程じゃな。無理に抑え込むと自立の遅れや問題行動に繋がることもある。
アユム
思春期特有の問題にはどんなものがありますか?
博士
不安定な時期じゃから、摂食障害(特に神経性やせ症)、うつ、自傷行為、不登校、非行、ネット依存、性の問題などが出やすい。看護師は温かく見守りつつ、プライバシーを尊重した関わりが必要じゃ。
アユム
思春期の看護で注意することは?
博士
本人の気持ちを尊重し、頭ごなしに否定しない。プライバシーを守る。友人との関係を大切にする。自立を支援する。家族との関係を調整する。これらが基本じゃ。
アユム
エリクソンの発達課題も整理したいです。
博士
乳児期=基本的信頼、幼児期=自律性・自発性、学童期=勤勉性、青年期=同一性、成人前期=親密性、成人期=生殖性、老年期=統合性。セットで覚えるんじゃ。
アユム
思春期の特徴がよく理解できました。ありがとうございました!
POINT
思春期は第二次性徴を機に始まる10〜18歳頃の時期で、エリクソンの発達課題では「同一性対同一性拡散」に該当します。この時期は親からの心理的離乳が進み、両親・祖父母・教師など大人との距離が広がる一方で、同世代の友人(ピアグループ、チャムシップ)との親密な関係が最も重要になります。サリヴァンのいうチャムシップは秘密を共有できる親友関係で、思春期のアイデンティティ形成に不可欠です。看護師は本人のプライバシーと自立欲求を尊重しつつ、摂食障害や不登校などの問題にも対応できる関わりが求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。
解説:正解は3です。思春期は第二次性徴の発現を機に始まる心身の急激な変化期で、おおむね小学校高学年から高校生(10〜18歳頃)に相当します。この時期の心理社会的発達の特徴は、エリクソンの発達課題でいう「同一性(アイデンティティ)対同一性拡散」の段階にあたり、自分とは何者かを模索します。発達心理学的には「心理的離乳」と呼ばれる、両親からの心理的自立のプロセスが進行し、それまで依存していた親や祖父母、教師など大人から距離を置くようになります。その一方で、自立への不安を埋めるため、同じ価値観や体験を共有できる同世代の仲間=友人(ピアグループ、チャムグループ)との関係が非常に重要になります。この時期の友人関係は「チャムシップ(親友関係、サリヴァン)」と呼ばれ、性が異なっても同じであっても、秘密を共有し悩みを打ち明けられる関係性を通じて、自己理解と対人スキルを育みます。したがって思春期の親密な対象は友人(ピア)が正解となります。
選択肢考察
-
× 1. 教師
教師は学童期までは尊敬・依存の対象になりますが、思春期には心理的離乳の対象となり、距離を取るようになります。
-
× 2. 祖父母
祖父母も幼少期には親密な対象ですが、思春期には同世代との関係が優先され、祖父母とは距離ができる傾向にあります。
-
○ 3. 友人
思春期は親からの心理的自立が進むと同時に、同世代の仲間との強い絆(チャムシップ、ピアグループ)を求める時期で、友人が最も親密な対象になります。
-
× 4. 両親
両親は乳幼児期〜学童期までは最も親密な存在ですが、思春期には心理的離乳により反発や距離を置く対象となります。
エリクソンの発達課題と思春期:乳児期=基本的信頼、幼児前期=自律性、幼児後期=自発性、学童期=勤勉性、青年期(思春期含む)=同一性、成人前期=親密性、成人期=生殖性、老年期=統合性。サリヴァンの対人関係論ではチャム→ピアグループ→異性への関心、と関係性が発展します。思春期は第二次性徴、性自認の確立、性役割の獲得など身体面・心理面で大きく揺れ動く時期で、不安定さから反抗期、摂食障害、うつ、自傷行為などの問題も生じやすく、看護師は温かく見守りつつプライバシーを尊重した関わりが重要です。
思春期の心理社会的発達における対人関係の特徴、特に親から友人へと親密な対象が移行することを理解しているかを問うています。
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