患者を中心にした多職種連携のかたち
看護師国家試験 第105回 午前 第10問 / 必修問題 / 看護の対象と活動の場
国試問題にチャレンジ
チーム医療で正しいのはどれか。
- 1.国家資格を持つ者で構成される。
- 2.リーダーとなる職種を固定する。
- 3.他施設との間で行うことはできない。
- 4.メンバー間で情報を共有して意思決定をする。
対話形式の解説
博士
今日はチーム医療について学ぼう。現代医療の基本であり、国試でも頻出のテーマじゃ。
アユム
チーム医療って、医師と看護師が連携するイメージがあります。
博士
それは一面にすぎん。チーム医療は医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師・診療放射線技師・医療ソーシャルワーカー・臨床心理士など、実に多くの職種が協働する仕組みじゃ。
アユム
こんなにたくさんの職種が関わるんですね!選択肢4の「メンバー間で情報を共有して意思決定をする」が正解ということでしょうか?
博士
正解じゃ。多職種がそれぞれの専門性を持ち寄って、情報を共有し、対等な立場で意思決定することがチーム医療の本質じゃ。
アユム
他の選択肢がなぜ誤りなのか、詳しく知りたいです。
博士
まず1の「国家資格を持つ者で構成される」じゃが、これは誤りじゃな。医療ソーシャルワーカーや臨床心理士は必ずしも国家資格ではない。介護職、ボランティア、そして何より患者さん本人とご家族もチームの重要なメンバーじゃ。
アユム
患者さんと家族もチームの一員なんですね!
博士
そうじゃ。これは現代医療の重要な考え方で、「患者参加型医療」とか「患者中心の医療」と呼ばれておる。
アユム
2の「リーダーを固定する」も誤りですよね?
博士
そのとおり。リーダーは病期や治療フェーズによって変わる。急性期は医師、回復期はリハビリ職、栄養問題では管理栄養士、終末期は緩和ケア専門看護師がリーダーを取るなど、柔軟に変化するんじゃ。
アユム
3の「他施設との間で行うことはできない」も違いますよね。
博士
違う。むしろ現代の医療は施設を越えた連携が不可欠じゃ。退院支援、在宅移行、地域包括ケアでは、病院、訪問看護ステーション、介護施設、診療所などが密に連携しておる。
アユム
具体的なチーム医療の例を教えてください。
博士
代表的なものは、①NST(栄養サポートチーム)、②ICT(感染制御チーム)、③RST(呼吸サポートチーム)、④緩和ケアチーム、⑤褥瘡対策チーム、⑥認知症ケアチーム、⑦退院支援チームなどじゃ。
アユム
それぞれ何をするんですか?
博士
NSTは栄養状態の評価と栄養管理、ICTは院内感染の予防と制御、RSTは人工呼吸器離脱のサポート、緩和ケアチームは苦痛の緩和、褥瘡対策チームは褥瘡予防と治療、じゃな。
アユム
チーム医療を円滑に進めるためのコツはありますか?
博士
重要なのは、①共通の記録システム、②定期的なカンファレンス、③フラットなコミュニケーション、④各職種の役割と専門性の相互理解、⑤患者・家族を中心に据える姿勢じゃな。
アユム
看護師は24時間患者さんの側にいるので、情報のハブになりますね。
博士
まさにそうじゃ。看護師は患者の状態変化を最も早く察知できる立場じゃから、チーム内の情報ハブとして重要な役割を担う。他職種への橋渡し役もよく担当するんじゃ。
アユム
チーム医療の中で、看護師の果たす役割は大きいんですね。しっかり意識して実践します!
POINT
チーム医療とは、医師・看護師・薬剤師・リハビリ職・管理栄養士・MSW・臨床心理士など多職種が連携・協働して患者中心の医療を提供する仕組みです。本質は「メンバー間で情報を共有し対等に意思決定する」ことで、選択肢4が正解となります。国家資格の有無は構成要件ではなく、患者・家族もチームの一員です。リーダーは病期に応じて変化し、施設間の連携も不可欠です。代表的なチームにはNST、ICT、RST、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、退院支援チームなどがあります。看護師は24時間患者に関わる立場から、チーム内の情報ハブとして重要な役割を担います。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:チーム医療で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。チーム医療とは、一人の患者を中心として、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師・診療放射線技師・医療ソーシャルワーカー・臨床心理士など多職種が専門性を発揮し、情報を共有しながら連携・協働して医療を提供する仕組みです。各職種の専門知識と技術を持ち寄り、総合的に判断・決定していくためには、メンバー間での情報共有と対等な意思決定プロセスが不可欠です。したがって選択肢4「メンバー間で情報を共有して意思決定をする」が正しい記述となります。なお、他の選択肢が誤りである理由は、①国家資格を持たない職種(医療ソーシャルワーカー、臨床心理士の一部、介護職、ボランティアなど)や患者・家族自身もチームの重要なメンバーであること、②リーダーは症例や病期に応じて最適な職種が担うもので固定されないこと(例:急性期は医師、回復期はリハビリ職、終末期は緩和ケア専門職など)、③在宅医療や地域包括ケアでは施設間連携(病院・訪問看護ステーション・介護施設など)が不可欠であること、が挙げられます。
選択肢考察
-
× 1. 国家資格を持つ者で構成される。
誤りです。チーム医療のメンバーは多様で、医療ソーシャルワーカー(国家資格である社会福祉士を持つ場合もあるが、必須ではない)、臨床心理士(公認心理師は国家資格だが臨床心理士は民間資格)、介護職、ボランティア、そして何より患者本人・家族もチームの一員です。国家資格の有無は構成要件ではありません。
-
× 2. リーダーとなる職種を固定する。
誤りです。チーム医療におけるリーダーは、患者の病期や治療フェーズ、問題の性質に応じて最も適切な職種が担います。例えば急性期は医師、回復期はリハビリ職、栄養問題では管理栄養士、終末期は緩和ケア専門看護師など、状況に応じて柔軟に変化します。
-
× 3. 他施設との間で行うことはできない。
誤りです。退院支援、在宅移行、地域包括ケアにおいては、病院・訪問看護ステーション・介護施設・診療所など複数施設間の連携が不可欠です。施設内だけでなく施設を越えた広域的な連携こそ現代のチーム医療の特徴です。
-
○ 4. メンバー間で情報を共有して意思決定をする。
正しい選択肢です。各職種が持つ情報・視点・専門知識をチーム内で共有し、対等な立場で意見交換しながら意思決定していくことがチーム医療の本質です。これにより患者中心の最適な医療が実現されます。
チーム医療の代表的なものとして、①NST(栄養サポートチーム)、②ICT(感染制御チーム)、③RST(呼吸サポートチーム)、④緩和ケアチーム、⑤褥瘡対策チーム、⑥認知症ケアチーム、⑦退院支援チーム、などがあります。それぞれ多職種が連携して専門的ケアを提供します。チーム医療を円滑に進めるためには、①情報共有のための共通記録システム、②定期的なカンファレンス、③フラットなコミュニケーション、④各職種の役割と専門性の相互理解、⑤患者・家族を中心に据える姿勢、が重要です。看護師は24時間患者に関わる立場から、チーム内の情報ハブとしての役割を担うことが多くなっています。
チーム医療の本質は多職種が情報を共有し、対等に意思決定して患者中心の医療を提供すること。
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