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ステロイドの副作用を体系的に学ぶ

看護師国家試験 第105回 午前 第17問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第17問

ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。

  1. 1.便秘
  2. 2.口内炎(stomatitis)
  3. 3.低血圧
  4. 4.骨粗鬆症(osteoporosis)

対話形式の解説

博士 博士

今日はステロイドの副作用じゃ。強力な薬ゆえに副作用も多彩で、国試でも臨床でも必ず押さえておきたいテーマじゃな。

サクラ サクラ

ステロイドって副腎皮質ホルモンの薬ですよね。どんな場面で使われるんですか?

博士 博士

自己免疫疾患(SLE、関節リウマチ)、気管支喘息、ネフローゼ症候群、重症感染症のショック、アナフィラキシー、臓器移植後、悪性腫瘍、皮膚疾患など幅広く使われる。抗炎症作用と免疫抑制作用が二大メインじゃ。

サクラ サクラ

副作用で代表的なのが骨粗鬆症なんですね。

博士 博士

そうじゃ。ステロイドは(1)骨を作る骨芽細胞の働きを弱め、(2)骨を壊す破骨細胞を活性化し、(3)腸からのカルシウム吸収を減らし、(4)腎でのカルシウム再吸収も減らす。四重苦で骨密度が急速に低下するんじゃ。

サクラ サクラ

早い時期から起こるんですか?

博士 博士

実は投与開始3〜6か月で急速に骨量が減少する。だからプレドニゾロン換算7.5mg/日以上を3か月以上使う患者には骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネートなど)を予防的に併用することが推奨されておるぞ。

サクラ サクラ

他に重要な副作用は何がありますか?

博士 博士

たくさんあるから語呂で覚えよう。『易感染・糖尿病・骨粗鬆症・消化性潰瘍・精神症状・ムーンフェイス・高血圧・浮腫・白内障・緑内障・血栓・副腎不全』じゃ。特に易感染性と糖尿病、消化性潰瘍は臨床で要注意じゃ。

サクラ サクラ

選択肢の『低血圧』はどうして違うんですか?

博士 博士

ステロイドはアルドステロン様作用で水・ナトリウム貯留を起こすから、むしろ高血圧になる。低血圧が出るのは急に中止したときの副腎不全、いわゆる離脱症候群のときじゃ。

サクラ サクラ

離脱症候群って?

博士 博士

長期使用で自前の副腎皮質機能が抑制されておるから、急に中止すると副腎不全を起こす。低血圧・ショック・低血糖・電解質異常で命にかかわる。だから漸減(tapering)が鉄則じゃ。

サクラ サクラ

便秘や口内炎は?

博士 博士

便秘はオピオイド、抗コリン薬、Ca拮抗薬などで多い。口内炎は抗がん薬(5-FU、メトトレキサート)の典型副作用じゃ。ただしステロイドによる免疫抑制でカンジダ性口内炎が起こることはある。

サクラ サクラ

副作用対策の看護のポイントは?

博士 博士

感染予防(うがい・手洗い・マスク)、血糖モニタリング、骨折予防(転倒対策・Ca/VitD摂取)、消化性潰瘍予防(PPI内服)、精神症状観察(不眠・うつ・多幸感)、顔貌変化への心理的ケア、内服の自己中断防止指導じゃ。

サクラ サクラ

ステロイドカバーって聞いたことあります。

博士 博士

長期使用中の患者は感染や手術などのストレス時に自前の副腎が対応できないため、ステロイドを一時的に増量する『ストレスカバー』が必要じゃ。救急外来やOPEの現場では必須知識じゃぞ。

サクラ サクラ

ありがとうございます。骨粗鬆症だけでなく副作用全体を体系的に覚えられました。

POINT

ステロイドは強力な抗炎症・免疫抑制作用を持つ反面、骨粗鬆症・易感染性・糖尿病・消化性潰瘍・精神症状・ムーンフェイス・高血圧・白内障・緑内障・副腎不全など多彩な副作用を生じます。本問の正解は骨粗鬆症で、骨芽細胞抑制・破骨細胞活性化・Ca吸収低下が機序です。便秘は抗コリン薬やオピオイドなど、口内炎は抗がん薬、低血圧は副腎不全の症状であり、ステロイドはむしろ高血圧を招きます。長期使用では予防薬併用と漸減中止、ストレスカバーを徹底することが看護管理の核心です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。

解説:正解は 4 です。ステロイド(副腎皮質ステロイド、グルココルチコイド)は強力な抗炎症作用・免疫抑制作用を持つ一方、多彩な副作用(有害事象)を引き起こします。代表的な副作用には『ステロイド性骨粗鬆症』があり、骨芽細胞の機能抑制・破骨細胞活性化・腸管からのカルシウム吸収低下・腎でのカルシウム再吸収低下によって骨量と骨質の両方が低下します。プレドニゾロン換算7.5mg/日以上を3か月以上使用する患者では骨粗鬆症対策(ビスホスホネート製剤など)が推奨されており、選択肢4の骨粗鬆症が正解となります。

選択肢考察

  1. × 1.  便秘

    便秘はステロイドの主な副作用ではありません。むしろ麻薬性鎮痛薬(オピオイド)、抗コリン薬、抗がん薬、カルシウム拮抗薬などで起こりやすい副作用です。

  2. × 2.  口内炎(stomatitis)

    口内炎はステロイドの典型的副作用ではなく、抗がん薬(特にフルオロウラシルやメトトレキサート)の有害事象として知られています。ただしステロイドによる易感染性でカンジダ性口内炎を生じる可能性はあります。

  3. × 3.  低血圧

    ステロイドはアルドステロン様作用でナトリウムと水の貯留を起こし、むしろ『高血圧』や浮腫の原因となります。低血圧は副腎不全(ステロイドの急激な中止による離脱症状)で起こります。

  4. 4.  骨粗鬆症(osteoporosis)

    ステロイドは骨芽細胞抑制・破骨細胞活性化・カルシウム吸収低下などを介してステロイド性骨粗鬆症を引き起こします。長期投与患者では脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折のリスクが上昇します。

ステロイドの代表的副作用は『易感染性・糖尿病・骨粗鬆症・消化性潰瘍・精神症状(不眠・多幸感・うつ)・ムーンフェイス・中心性肥満・にきび・多毛・皮膚萎縮・白内障・緑内障・血栓症・高血圧・浮腫・成長障害・副腎不全』など多岐にわたります。副作用は用量・期間依存のため、最低有効量・最短期間の使用、漸減(突然中止は副腎不全を招く)、カルシウム/ビタミンD補充、胃粘膜保護薬(PPI)併用、感染症予防(ST合剤、B型肝炎再活性化対策)など総合的な管理が必要です。ステロイドカバーの考え方(手術や感染時の増量)も臨床で重要です。

ステロイドの代表的副作用を問い、骨粗鬆症を選べるかを確認する問題です。