与薬経路と血中濃度上昇スピードの違い
看護師国家試験 第105回 午前 第21問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理
国試問題にチャレンジ
薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。
- 1.坐薬
- 2.経口薬
- 3.筋肉内注射
- 4.静脈内注射
対話形式の解説
博士
今日は薬がどれくらい早く血中へ届くか、その経路別の比較を学ぼう。
サクラ
はい、博士!静脈内注射が一番早いイメージはありますが、他の順番が曖昧です。
博士
まずは静脈内注射から。これは血管内に直接薬液を入れるから、吸収というステップを飛ばしていきなり全身を巡る。だから投与の瞬間にほぼ最高血中濃度に達するんだ。
サクラ
なるほど、吸収を飛ばせるのが強みなんですね。経口薬はどうして遅いのですか?
博士
経口薬は消化管で溶けて吸収されたあと、門脈から肝臓を通る。ここで初回通過効果という代謝を受けるので、全身へ届く薬物量が減り、時間もかかるんだ。
サクラ
筋肉内注射と坐薬ではどちらが速いのでしょう?
博士
一般には坐薬のほうが速いと言われる。直腸下部から下直腸静脈に入り、肝臓を経由しない分だけ回り道が少ない。筋肉内注射も血流豊富で皮下注射より速いが、毛細血管からの吸収過程が要るため坐薬よりやや遅いと整理されるよ。
サクラ
では並べると、静脈内注射、坐薬、筋肉内注射、経口薬の順ということですね。
博士
その通り。選択肢4の静脈内注射が正解だ。ちなみに吸入薬は肺胞の広い表面積で吸収されるので、実は静脈内注射並みに速いことがある。
サクラ
速さが武器になる反面、危険もありそうです。
博士
いいポイントだね。静脈内投与はアナフィラキシーや過量投与が即現れる。投与速度、希釈、配合変化、ルート確認など6Rを徹底しよう。
サクラ
なぜ筋肉内注射は皮下注射より速いのですか?
博士
筋組織は皮下組織より毛細血管網が密で血流量が多いからだ。だから同じ薬でも吸収速度に差が出る。
サクラ
わかりやすいです!経路選択は速さだけでなく安全性も踏まえて決めるのですね。
博士
その通り。緊急時は静脈路、持続安定を狙うなら経口、血中濃度を保つなら筋注や貼付剤など、目的に合わせて選ぶ。
POINT
薬物の血中濃度上昇速度は与薬経路で大きく異なり、血管内へ直接入る静脈内注射が最速です。経口薬は消化管吸収と肝初回通過効果を受けるため最も遅く、坐薬は直腸下部静脈経由で肝代謝を一部回避し経口より速く効きます。筋肉内注射は血流豊富な筋組織から吸収されるため皮下注射より速いものの、坐薬・静脈内より遅れます。看護師は速さと安全性のバランスを考え、目的に合わせて経路を選択する視点が重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。
解説:正解は4です。静脈内注射は薬液を血管内へ直接投与するため、吸収過程を経ずに薬物が循環血液へ到達します。その結果、投与直後に最高血中濃度(Cmax)に到達し、作用発現もきわめて迅速です。与薬経路によって吸収機序と速度は大きく異なり、一般に速い順で静脈内注射>吸入>坐薬>筋肉内注射>皮下注射>経口薬と整理されます。
選択肢考察
-
× 1. 坐薬
坐薬は直腸下部粘膜から吸収され、下直腸静脈を経由して肝初回通過効果を一部回避するため経口薬より早く効きますが、直接血管内投与ではないため静脈内注射より遅いです。
-
× 2. 経口薬
経口薬は消化管で吸収された後、門脈を通って肝臓で代謝を受けてから全身循環へ到達するため、選択肢の中で最も血中濃度上昇が遅い経路となります。
-
× 3. 筋肉内注射
筋肉は血流が豊富で皮下注射より吸収が速いものの、毛細血管を介した吸収過程が必要なため、血管内へ直接投与する静脈内注射よりは遅れます。
-
○ 4. 静脈内注射
血管内に薬液を直接注入するため吸収過程が不要で、投与と同時に血中濃度が最大に近づき、最も速く作用が発現します。
静脈内注射は即効性が最大の強みですが、同時に誤薬や過量投与のリスクも最大です。投与前には薬剤名・濃度・投与速度の6Rを確認し、ショックや血圧変動に備えてバイタルサインを観察します。血中濃度が急上昇するためアナフィラキシーや静脈炎の早期発見も重要です。ちなみに吸入薬は肺胞での広大な吸収面積により、静脈内注射に匹敵する速度で効くことがあります。
各与薬経路における薬物吸収の機序と、血中濃度上昇速度の順序を理解しているかを問う基本問題です。
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