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法的脳死判定の6項目を完全マスター

看護師国家試験 第105回 午前 第12問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第12問

臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。

  1. 1.低体温
  2. 2.心停止
  3. 3.平坦脳波
  4. 4.下顎呼吸

対話形式の解説

博士 博士

今日は臓器移植法に基づく『法的脳死判定』の話じゃ。看護師国試では毎回のように形を変えて問われる頻出テーマじゃぞ。

アユム アユム

脳死って、心停止と何が違うんですか?

博士 博士

大事な質問じゃ。心停止は心臓が止まった状態、つまり『死の三徴候』の一つ。一方、脳死は心臓が動いている状態で、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に失われた状態を指す。日本では臓器移植の場面で『死』として扱われるんじゃ。

アユム アユム

なるほど、心臓は動いているんですね。だから『心停止』は脳死判定の項目にならないわけですね。

博士 博士

その通り。では法的脳死判定の6項目を確認しよう。(1)深昏睡、(2)瞳孔固定で4mm以上、(3)脳幹反射の消失、(4)平坦脳波、(5)自発呼吸の停止、(6)6時間以上経過後の再検査じゃ。

アユム アユム

選択肢だと『平坦脳波』が入ってますね。

博士 博士

そうじゃ。脳波計の感度を最大にしても30分以上にわたってフラットであることを確認する。大脳皮質の電気活動が完全に失われている証拠じゃ。

アユム アユム

『低体温』が違う理由は何ですか?

博士 博士

低体温では脳活動が抑制されて反射が消えたり脳波が平坦に見えたりする。だから判定前に『体温が32℃以上』であることを確認する、つまり低体温は判定の項目ではなく除外条件なんじゃ。

アユム アユム

『下顎呼吸』はどうですか?

博士 博士

下顎呼吸は自発呼吸の一形態じゃ。脳死判定では無呼吸テストを行って『自発呼吸が完全になくなっている』ことを確認する必要がある。下顎呼吸が見られたら、まだ脳幹の呼吸中枢が一部働いている証拠になるな。

アユム アユム

6時間以上空けてもう一度同じ検査をするのも厳しいですね。

博士 博士

その通り。しかも6歳未満の小児では24時間以上空けねばならん。さらに判定は脳死判定に習熟した2人以上の医師が行い、かつ臓器移植に関与しない医師でなければならない。慎重の上にも慎重に行うんじゃ。

アユム アユム

2010年の臓器移植法改正も重要ですよね。

博士 博士

よく勉強しておるな。改正により本人の書面による意思表示がなくても家族の承諾で提供が可能になり、15歳未満の小児からの提供も可能になった。必修で出題されやすいポイントじゃぞ。

アユム アユム

ありがとうございます。平坦脳波が正解、覚えました。

POINT

法的脳死判定は深昏睡・瞳孔散大固定・脳幹反射消失・平坦脳波・自発呼吸停止・6時間以上経過後の再検査という6項目を、臓器移植に無関係な2人以上の医師が判定します。選択肢のうち『平坦脳波』のみがこの6項目に該当し、『低体温』は判定の除外条件、『心停止』は従来の死の三徴候、『下顎呼吸』は自発呼吸が残っている状態です。死の三徴候と脳死判定基準を混同しないよう整理し、2010年改正の概要も併せて押さえておくことが得点の鍵となります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。

解説:正解は 3 です。『臓器の移植に関する法律(臓器移植法)』に基づく法的脳死判定では、(1)深昏睡(JCS300、GCS3)、(2)両側瞳孔径4mm以上で固定、(3)脳幹反射の消失(対光・角膜・毛様脊髄・眼球頭・前庭・咽頭・咳反射)、(4)平坦脳波(30分以上の連続記録)、(5)自発呼吸の消失(無呼吸テスト)、(6)6時間以上(6歳未満は24時間以上)経過後に同じ検査を繰り返す、の6項目を臓器移植に無関係な2人以上の医師が確認します。このうち選択肢にある『平坦脳波』が正式な判定項目に該当します。

選択肢考察

  1. × 1.  低体温

    低体温は脳死判定の項目ではなく、むしろ判定を行う前提条件として『低体温(直腸温32℃以下、6歳未満では35℃以下)ではないこと』を除外することが求められます。低体温下では脳機能が抑制され判定ができません。

  2. × 2.  心停止

    脳死は心臓が動いている状態で脳機能が不可逆的に失われた状態を指すため、心停止は脳死判定の項目ではありません。心停止は従来の『死の三徴候(呼吸停止・心停止・瞳孔散大と対光反射消失)』の一つです。

  3. 3.  平坦脳波

    脳波計の感度を最大にしても30分以上にわたり脳波活動が認められない『平坦脳波』は、法的脳死判定の必須6項目の一つです。大脳皮質の電気活動が消失していることを客観的に示します。

  4. × 4.  下顎呼吸

    下顎呼吸は死亡直前に現れる異常呼吸であり、自発呼吸がまだ残っている状態です。脳死判定では逆に『自発呼吸の消失(無呼吸テスト陽性)』が必要であり、下顎呼吸は項目に含まれません。

法的脳死判定の6項目は『深・瞳・幹・脳・呼・6』と語呂で覚えると便利です(深昏睡、瞳孔固定、脳幹反射消失、脳波平坦、自発呼吸停止、6時間後再検査)。また、前提条件として器質性脳障害であること、原疾患が確実に診断されていること、治療で回復の可能性がないこと、体温が低くないこと、代謝・内分泌障害や薬物中毒がないことなどが除外されます。2010年の改正臓器移植法により本人の意思が不明でも家族の承諾で臓器提供が可能となり、15歳未満でも提供できるようになった点も押さえておきましょう。

臓器移植法に定められた法的脳死判定の6項目を識別できるかを問う必修問題です。